富樫倫太郎『謙信の軍配者』(文庫解説)

富樫倫太郎『謙信の軍配者』(中央公論新社)の文庫化にともない、文庫解説を書きました。

樋口有介さんの作品と同じく、元担当編集者として執筆させていただいております。「軍配者」シリーズは私が中央公論新社の文芸編集部へ異動してすぐに手がけた書き下ろし作品で、書籍編集者としての「初仕事」のうち一つです。単行本はおかげさまでシリーズ累計十万部超、晴れて文庫化されました。文庫解説には、その辺りの思い出話っぽいことも書いています。内輪ネタではありますが、手前味噌というほどのことでもありません。作品そのものの魅力でここまでの人気作になったのだと思っています。そのお役に立てて、今なおご縁が続いているのは非常に光栄なことです。

もちろん一作ずつ読んでも面白いですが、せっかくの続き物ですので是非、『早雲の軍配者』『信玄の軍配者』と併せてどうぞ! 私の推しメン、ならぬ「推し軍配者」はやっぱり四郎左!……なんだけど、あらためて読み返してみると、残念なイケメン・冬之助もいい味出してるんですよねー。戦国時代版「結婚できない男」。「俺様の美技に酔いな」とか言い出しそうな軍配者ナンバーワン。しかも仕える先が上杉謙信。他の主人公二人がキャラ濃すぎるせいで影が薄いですが、読みようによってはちゃんと主役張ってるので、かわいがってあげてください。そして続編でのスネイプ化に期待ッッ!!(←盛大すぎるネタバレ)