2014-12-30 / 東京の賞味期限(仮)

日記。

安藤美冬がフィリピンに語学留学していることを知る。不思議としょっちゅう比較されるのですが、どちらが元祖でも本家でもないです。

「大手出版社をアラサーで脱サラしてフリーランスになって業界にコネもなさそうなのにテレビとか出てる少しビョーキっぽい30代女子」みたいな括りに「2015年からは海外との二拠点生活」という要素も加わって、ますます、彼女のところへ行くべき依頼が私のところへ来てしまったり、するのだろうな(逆はなかろう)、と苦笑いしか出てこない……。

念のために書いておくと、彼女が勤めていた出版社は私が勤めていた出版社とは比べ物にならないほどの超大手であり、かつ、私が経験してきた雑誌編集部や文芸書籍編集部と、彼女のいたという宣伝系の部署とでは業務内容から付き合うクライアントから、まったく異なる。彼女は体調を崩したことをきっかけに退職したそうだが、私はより有利な条件を提示されての転職であるし、彼女は独力で起業して代表取締役の肩書を持っているが、私は今も会社勤めである。立場もキャラクターも全然違う。髪型も似てるけど違う。

それで、彼女はTwitterで「セブ島7日目の朝! 今日もこれから8時間、英語漬け!」「現地の日本人学生たちはつるみすぎでよくない!」みたいな上昇志向の強い留学日記を書いて自分を鼓舞しているのだけれども、私は表のメディアにそういうものを書くつもりはまったくない。だからこの日記を作ったのである。(※編注:もともとはnote.muの有料マガジンに掲載されていた文章です。非公開にするほどでもないので転載しちゃいます。しつこいようですがミッフィーをdisる気は毛頭ない。)

一方で、「52カ国を旅した経験を活かす」「来年は海外生活をする!」みたいなことを、どんどん表のメディアに書ける彼女のことを眩しく感じたりもする。私は今まで自分が何カ国に旅したのか数えてみないとよくわからないし、海外生活そのものを目標に掲げようとも思わないのだけど、なんというか、そうしたほうが一般大衆にも「わかる」というか、キャッチーというのか、まぁとにかく「いやー、やっぱりミッフィーさんには敵わないっすねー」という感じを受けてしまうのである。

私が来秋ニューヨークへ行ったら、おそらく、生まれたときからニューヨーク住んでるみたいな顔して生活を始めると思う。そうなる運命であったかのような振る舞いをすると思う。はっきり言って、それは虚勢である。ものすごく手間のかかる準備をして行ったくせに大変なことは何もなかったかのように言ったり書いたりしそうだし、水面下でものすごくもがいてるんだみたいな話は、まぁ、言わない。私はそういうところに虚勢を張るから、本当によくないよなぁ、と思ったりもする。彼女だったらきっと「海外生活◯日目! 今日はこんな新しいことをしました!」「毎日が勉強!」みたいな日記を書くのだろう。友達になれるかどうかはさておき、偉いよなぁ、と感心はする。「立派な人にはなりたくないけど偉いと思う」(by THE BOOM)。

その真似は到底できないと思うけど、では自分がどんなふうに日記を書くのか、その答えもまだ見つけられていない。ただやっぱり、たとえばTOEFL対策の勉強法について、無事に目標スコアを達成するまでどこにも一言も書かなかったみたいなことは、変えようのない自分の気性なんだろうと、あらためて思う。