ザ・インタビューズ転載日記(石川禅)

石川禅さんの好きなところを教えてください。今後彼のどんな役が見たいですか。

ふわっふわぷろんしうす教授。俺の……天使……!!
ふわっふわぷろんしうす教授。俺の……天使……!!

えー、やだぁ、そんなこと恥ずかしくて口に出して言えない……ので、書いていいですか? 書いてもいいですかッッ!! ちなみに以前の回答はこちらです。(https://okadaic.net/archives/1912)あと今回は推奨BGMを挙げておきますので、ぜひ聴きながらお読みください。まぁ1曲目の歌い出しからして私が何を書いているのかわかると思いますよ……。

■石川禅メドレー from ニコニコ動画
http://www.nicovideo.jp/watch/sm7162096

まず、歌が上手い。むちゃくちゃ上手い。それが声楽的な上手さではなく、役者としての上手さなんですよね。芝居を音楽に載せる、言葉を歌に載せる、あるいは、音楽に載せて芝居をする、歌で言葉を伝える……ミュージカルとはそういう演劇形態であって、その中で石川禅の歌の上手さはじつに際立っていると思います。そして技芸を出し惜しみしない、コーラスでもがっつり豊かな大音声を響かせるし、伸ばせるところは一人だけとことん伸ばそうとするお茶目さんなところも好きです。

次に、芝居が上手い。誤解を恐れずに言えば、仕草にちょっとマンガチックなところがありますよね。古いディズニーアニメのモーションキャプチャーみたいに、直線が一本もない躍動的で丸っこいマンガチック。手指の動きなどそこはかとなく中性的なのも手塚治虫作品のキャラクターみたいな妖しいエロスがあると思います。身振りが過剰で笑いも嘆きも全身で表現するし、声音を作るにしても時々くどくて無駄に気迫ありすぎて、正直やりすぎだなーと思ったりすることもあります。でも、暗い客席から観る舞台で、音楽に載せながら、その人物を生身のものとして感じさせるには、あのくらいデフォルメして動くのが一番だと私は思います。俗に「うまい棒」と呼ばれる歌が巧くても芝居はさっぱり物足りない役者、禅ちゃんはその真逆ですね、「こんなに演技が達者なのに、歌唱力だけ抜き出しても歌手に優ってるなんて!」と驚かされる感じです。

そして、彼の声のあのつるっとした美しさは、ちょっと尋常でない……一音一音がちゃんと腹から出ていて、伸ばしたときの通りがよく、小声がダマにならず、喜怒哀楽をなめらかに繋いで、とことんニュートラルなまま、青年役から老人役まで七変化も八変化もする。もう、うっとりするほど綺麗です。普通、一聴してわかるクセや粗があるとか耳に引っかかる息遣いがあるとか、個性的な声の持ち主のほうが人気が出やすいのですが、彼の場合、あまりに喉越しがさわやかすぎてなかなか魅力に気づかれにくい存在なのかなとも思います。だから個性のカタマリみたいな人たちの横で名脇役に徹することが多いのでしょうか、十分に主役を張れる器だと思うのですが……。

自分に他人に厳しいところも好きです。御本人を直接知っているわけではないものの、談話を読み聞きするだけでも十分に伝わってきますよね。とくに、某所にて若手俳優の稽古場での礼儀作法についてしつこくしつこくネタにしていたのが印象的です。面白おかしく話して客席から笑いをとっているんだけど、後輩にはしっかり釘を刺していて、その双方をこなす禅ちゃん自身は何とも邪気のない笑顔で「当たり前のこと」として振る舞っている。指導するでもなく怒るでもなく、でも周囲を甘やかさない感じが、逆に先輩として慕われているのでしょう。自分からはヨゴレにならないのにすぐ人のことを茶化したり、俺のターンになると誰よりはしゃいでみせる、あのズルい立ち位置! 逆に言えば「観られる自分」についてとことん律しているわけで、そこがまた好きです。

一方で、なんであんなに感激屋さんの泣き虫さんなんですか……。本ッ当に涙腺ゆるいですよね。すっかり役に没頭しているようでいてどこかに御しきれない本人が透けて見えるというか、べしょべしょに泣きながらコゼットよりエポニーヌへ積極的にキスしにかかる禅マリウスなんて、まさにその典型でした。そして最近はすっかり顔も好みになってしまって……今まで気づかなかったんだけど、キャピュレット卿のセクシーにもほどがある黒髪オールバックおでこを観て開眼しちゃいましたよ。50代60代とあのまま順調に御髪が後退していっていただくと、ケヴィンスペイシーとかそういう私の大好きなセクシーおやじの系統に属するようになりますよね、私、ますますメロメロになると思います。ベテランなのに挨拶がわりとグダグダなのも、リアクションがいちいち昭和なところも、そのくせ自分のことまだまだ若いと思ってそうなところも好きです。

今後どんな役が観たいか、ですか……とりあえず今年のうちは『ダンス・オブ・ヴァンパイア』のアプロンシウス教授にどれだけ貢げるか、ですね。競争率がものすごいらしいので、ありとあらゆる手段を駆使してあのふわっふわした教授を何度でもつまみに行きたいです。あのふわっふわを、ふわっふわと……ちょっともう……何アレ、天使すぎません……!?

■『ダンス オブ ヴァンパイア』プロモーション映像
http://youtu.be/gwIzYa-2g7o

タイムマシンがあるなら『ピーターパン』のフック船長、もしもボックスがあるなら『ミス・サイゴン』のクリスも観たいです。あとね、いろんなかわいい声の女の子をゲストに呼んで「Anything you can do」とか「Supercalifragilisticexpialidocious」みたいなコミカルなデュエットナンバーばかり歌ったCDを出してほしいです。シリアスなお芝居も素敵だけど、今は底抜けにはっちゃけたコメディが観たい気分です。禅ちゃん演じる『メリー・ポピンズ』のバートとか、私にとっては最強だな……現行ミュージカル版がどんな演出になってるのか知りませんが、「I Love To Laugh」で本当にふよふよ飛んで行きそうだもんな……ぎゃー!! 観たーい!! まぁ新劇上がりがあんなに踊れるものかは知りませんがね……。最終的には座長公演が観たいですね。そのためには動員、動員、もっともっと私みたいなニワカのファンを増やさねばなりません。さぁ一緒に観に行こうぜ。みんなみんな禅ちゃんを好きになればいいんだ!!

以上、ファン歴4ヵ月で書けるのはこの程度で、じつに歯がゆいです……。1年後にもう一度訊いていただけたら、もうちょっとはマシなことが書けるかもしれません。

(10/23追記)
ちょっと!! 読み終わったらこっちも観てくださいね!! TdV稽古場にて、豹柄キャピュレット卿のチョイ悪オールバックからのエロい乱れ黒髪に、顔に見合わぬ分厚い胸板を誇示するピタTで、あのぴょんこぴょんこした老教授のお歌を歌う、どこから萌えていいのかわからないこの倒錯的感情は一体何なのだ……ただ一つ言えることは……禅ちゃんマジ天使……!!

■ギネスの本だ!
http://youtu.be/x8tJwEvz6I0