ザ・インタビューズ転載日記(就活)

就活をする時に気を付けることなど、何かアドバイスをください



これ、よく訊かれるんですよね。いつも必ず答えるアドバイスがあるので、それを書きます。

「この質問に意気揚揚とズバリ答えてくるような大人の言うことに耳を貸さないこと」

です。「就職活動」というのは、こういう言葉で括られているから、さも「同い年の皆と、いっせいにある同じことをする」行為のように錯覚してしまうのですが(私立の中学受験みたいな感じか?)、実際は全然そんなことありません。質問者はおそらく、四年制大学の三年生で、夏期休暇明けのこの秋から、企業の新卒一括採用が始まる時期に向けて、自分がどう振る舞うべきかを悩んでいる方とお見受けしますが、……いやいやいや、おかしいでしょ、そうやって勝手に質問者のことをお見受けしている時点で、何かが、というか私が、頭おかしいと思いませんか。ここにまったく疑問を挟まずに、いきなり「時事問題とテーマ作文の対策には全国紙の社説の要約を毎日続けることだね」云々言う人の回答は、えええー、いや、知りませんけど、ちょう私見ですけど、たぶん聞き流したほうがいいんじゃないですか……。

だって、世の中にどれだけの数の職業の種類があると思いますか。「働こう、自分で金を稼ごう、そのために『職』に『就』こう」と、ただそんなふうに考えた結果として「実際とる『活動』」が、そのときどんな職業を選択してもみんな同じであると考えるなんて、気持ち悪くないですか。宮大工とITコンサルタントとペットショップ経営とヴァイオリニストと漁師と社長秘書とアニメーターとパン屋と、考えるの飽きたからあとやめますけど、何かの道のプロフェッショナルとなるために第一関門を目指して気をつけるべきこと、どの職業でもみんな同じなんですかね。私はそうは思いませんよね……。

「やれやれ、自分は会社組織の歯車のくせに、綺麗事を言う大人だぜ」と思われるかもしれませんが、私だって今の職業を選択するときに、宮大工とITコンサルタントとペットショップ経営とヴァイオリニストと漁師と社長秘書とアニメーターとパン屋と(以下略)、その他いろいろな職業を思いつくだけ挙げて、あれやこれやと消去法で考えた結果として、学部生のときは「就職活動」をほとんどしませんでしたし、その後、最も合理的と思われるタイミングで、ある会社へエントリーシートを送り、今もだらだらとそこに勤めているだけです。そして、私と同じタイミングでは「就職活動」しなかった同い年の学友もたくさんいます。その彼らも今は「職に就」いたり「職を作」ったりして、社会人になったりならなかったりしています。職を得た当時に何を気を付けていたかと訊かれたら、それぞれバラバラなんでしょうし、もし、あなたの参考になりそうで、万人に共通しそうな回答があるとしたら、きっと「無駄な活動に時間を使わないように気を付けた」なんだと思います。

質問を受けた社会人の一員として、質問をしてきた(推定)非社会人に言えることは、とにかく、あんまり社会人の言ってることを信用しすぎないことだと思います。だってさ、「仕事楽しい」「仕事マジつらい」とかも、「俺の嫁かわいい」「俺の嫁マジ鬼畜」くらいの意味合いですから。そんなのあくまで他人の嫁の話ですし、他人が他人の嫁を娶った自慢話とか成功テクとかいくら聞いても、その嫁を寝取ることすらできないと思うんですよ。むしろ、自分の嫁探しのときに気にしすぎると、本当に大事な嫁候補を見失ってしまったりするんじゃないでしょうか。いやもちろん、居酒屋で面白く聞いて人生訓とする分には結構ですし、そういう話をするのは私も嫌いじゃないんですけど、あんまり熱心に聞かれると、こっちが心配になったりするんですよね。独身なのにこんな比喩で本当すみません。俺の嫁、マジ今夜も俺を離さず朝まで寝かせてくれそうにないぜ。