2016-11-18 / デトックス

8日火曜1限はAnna、公園のリデザインについて「3案持って来て壁に貼ってプレゼンしろ(pin-up)」というので、3案見せたら、私だけ「どれもこれも素晴らしいアプローチなので、3案全部を組み合わせて、そうだ、全部やれ!」みたいな講評を受ける。これ、褒められてるんですかね!? それとも私だけが「3案」の解釈をなんか間違えてるんですかね!? たしかに他の子は「ビクトリア調か、アレクサンダーカルダー調か、あるいはピクセルを使ったデジタル調」みたいな振れ幅で、コンセプトから何から、まるで違うものを持って来ているのが多かった。私は「巨大タイポグラフィ(立体)、フェンス(垂直)、リボン(床に平面)」という3案で、コンセプトはどれも「公園としての存在感の向上(目立たせる)」みたいな話で。まあ組み合わせやすいといえばそうなんですが。4限は小さなプレゼンテーブルに集まって、一人ずつ簡単にプロジェクトの進捗報告をして、それが一巡したら20時くらいで解散。もちろん大統領選のため。

9日水曜のSallyは休む。夫のオットー氏(仮名)と大統領選についてあれこれ話す。まぁでも、夫婦で話したらずいぶん満足してしまう。積ん読していたトランプ関連書を読み始める。10日木曜は、DavidHのありえない遅刻休講。もー、てっきり大統領選でメンタル病んだんだと思ってたら全然違った上に「サマータイムが……」と意味不明の言い訳をしてマイペースにもほどがあるだろう(萌)。4限ドミちゃん、冒頭はAMCという物流会社のロゴをリデザインした顛末についてのスライド講義。ヒラリー支持だったAbが授業開始前から机に突っ伏したまま身じろぎもしない。マンガみたいなカケアミが渦巻いてて、誰も何も話しかけられない。プロジェクト進捗報告の際にも「本当に申し訳ないけど、先週の木曜日から何もできていないの」と言うだけで、また机に突っ伏していた。11日金曜1限、完璧に宿題を終えて行ったにもかかわらず、私のやってきたことが「次週までの宿題」として説明されてガックリする。チンタラしてるなぁ。12日土曜日、13日日曜日、私もチンタラ過ごす。夫が東京出張へ出かけていく。ガスレンジの掃除など。

14日月曜日、とうとう本格的に鬱っぽくなる。12時間以上寝た後で、ジュースクレンズ。6本のジュースと2本の水を飲むというプログラムなのだが、あんまり活動しなかったので腹も空かず、3本半しか飲めなかった。課題のために何本か映画を観ないといけないので、『トーチソングトリロジー』『ブロークバックマウンテン』『恋人たちの食卓』あと何本か、昔から好きなやつを再度観て、映画について書かれた本なども読み返す。体のデトックスには程遠いけど、心のデトックスにはなったんじゃないだろうか。とにかく眠くてひたすら眠り続ける。15日火曜日、起きると大雨で頭痛。地下鉄が遅れてAnnaに遅刻。一応、何かしら新しいものは見せたけど、ちゃんと作らずに「逃げた」感じ。残りはサンクスギビング後に見せることになる。ユニオンフェアでタコ3個で11ドルの昼飯。いわゆる日本の「小鉢定食」とか「3種のおにぎり弁当」に最も近い食べ物は、結局タコスになるのかもしれない。

4限、ドミトリが『WORK’16』を持って来てくれる。2015年度の学生の優秀作品集で、ドミちゃんが自分の授業から私の作品を推挙してくれて掲載されているのだった。「この子も、この子も、僕の生徒で、そしてほら、このページにはIkuが載ってるよー、うーんみんな優秀だねー」と大変ニコニコ嬉しそうなので「ドミがいい先生だからでしょ!」と返す(愛)。でも刷り部数があまりに少ないので学生はコピーを分けてもらえないのだった。宿題はプロジェクト4のラス前。3案くらいから絞れずにいるのを、一緒に話しながら選んでもらう。卒業するともうドミにこんなふうに相談できなくなっちゃうんだな、と思うと悲しい。

16日はSally、メトロポリタン美術館の所蔵作品をスライド風に仕立てて「She Loves You」の紙芝居調PVを作って提出。やや受け。15時に帰宅して猛烈に腹が減り、作り置きをベースにフルコース作って18時に食べる。普段は20時くらいに食べるんだが、ジュースクレンズで縮まった胃袋が時差ボケ状態で元に戻ったのだろう。明日の宿題は明日やろう、と思って爆睡していたら、ボストンの唐木さんから着信。取りそびれたものの起きてしまい、なんとなくfacebook見てたら、雨宮さんの訃報が目に飛び込んでくる。えー何それ悪い冗談が流行ってんなー、ポールマッカートニー死亡説みたいなやつ? なんか日本で新しいエイプリルフールでも始まったの? と、思っていたのだが、火葬前の挨拶に行くという友人たちのマジレスがばんばん流れてくる。電話、メール、ちょっと泣いて、あとは怒りで眠れなくなる。

17日木曜、朝とても起き上がれなくて2限DavidHのコマもサボり。大統領選から一週間経ってやっといろいろ立ち直ったところに何なんだよ! とにかく胃にものを入れて体温を上げねばと思い、タブネットで重めのラム弁当を買い、無理やり食べながら、UC5階のソファで作業。同じ姿勢のまま6時間経過していた。集中力が高いというよりただの無気力、トイレにも立てなかっただけ。4限ドミちゃんのファイナルプレゼンテーション、マンハッタンミニストレージの新ロゴデザイン提案。「1案に絞って来たのがえらい」と言われ、つつがなく終わる。とっとと帰ろうとするとHと話し込んでいるドミが「Iku、君は僕と話したくて待ってたんじゃないのかい!?」と言ってくるので「えっ、いや、今日はとくに話すことないよ……」と本音が出てしまう。かわいいなー、ドミ。自分が私と話したかっただけじゃねーかよ! マジで乙女感ある。

18日、起きたら授業開始時刻で、ただの寝坊で50分遅刻。でも自習につきお咎めなし。やる気しねー。今季の日記を書いてて思うんですけど、1年前の第一学期目、めちゃくちゃハードだったんですよ!? 成績も宿題も今季の比じゃないくらい厳しかったし、何より「遅刻すなわち死」って風潮があったのですが。もう卒業間近なのもあるし、時間割や講師の選定に失敗したのもあるし、何書いてもグダグダだな……一学期目の私の勤勉さを皆様に読ませたい……。日本人の友達が「SNSに書いてたの雨宮さんのことでしょ、心配になって」と声かけてくれる。でも寝坊はただの寝坊でした。麻婆丼食べながらファッションドローイング、例のファティマ・パルテノそっくりのモデル嬢が、Eの持って来たヴィクター&ロルフのたっぷりしたワンピースを着てたのが最高だった。衣装持ちのEにびっくりした新入生たちが「いったいあなた何者なの……!?」と詰め寄っていた。その正体は本業スタイリストでNYでの世を忍ぶ仮の姿はファッション科の学生、か。本業ライターだと見せびらかすものないよなぁ、私。夫が出張から帰ってくる。2Avのビール屋で雨宮さんに献杯。ちょい悪アレクザンドルのほうが消えて、粗相したブラジル移民の店員のほうがサヴァイヴしていた。