diary

ザ・インタビューズ転載日記(社会人)

社会人になりたての頃のエピソードなどを聞かせてください


2004年に24歳で出版社に就職しました。同期入社は私と年下男子の二人きりでした。何をするにも「あの新人の女のほう」ですぐバレるんだな、と思ったのをよく憶えています。最初の一箇月は書店研修です。スーツ姿での入社式と座学研修が終わると「明日からは、ジーンズにスニーカーなど動きやすい服装でこちらの書店様へ出勤するように」と地図か何か渡されて、せっかく会社員になったのに派遣のバイトでも始めたような気分。拍子抜けしました。

その直前、私の学生時代の最後に、所属していた研究室が1冊の単行本を出版しました。教授の指導のもと、編集や装幀なども学生たちがチームを組んで手がけたものです。それがちょうど三月末の発売で、四月に店内でレジ番をしていると、何人かのお客さんがその本を立ち読みして、レジまで持って来てくれました。もちろん彼らは、たまたまその書店で手にしたその本を、エプロンかけてレジに立っているこの私が作ったことなんて知りません。どきどきしながらお釣りと「お品物」を渡しました。

何日か経って、大学研究室の恩師がこっそりその書店を訪ねて来てくれました。保護者参観気取りです。「先生、あの本、売れたんですよ」「えっ、本当? 渡すときに、私が作りました、って言ったの?」「言いませんよ!」などと話したのを憶えています。サラリーマンとして働くことにやりがいを見出せなかったらどうしよう、という事前の心配は、すでに消えていました。大学に残るべきかどうかさんざん迷っていたけれど、ああ、やっぱり社会に出てよかったのかな、と思いました。

ザ・インタビューズ転載日記(座右の銘)

座右の銘など、あなたの好きな言葉はありますか?


「コールドチキンをお食べ 大きくなるために」(萩尾望都『ポーの一族』)

「俺の身体は一本のフラスコだ。何ものよりも、先ず透明でなければならぬ」(横光利一『春は馬車に乗って』)

「音楽なんて、なくても死にはしない。だからこそ僕は命をかけることができる」(青木達之)

「然しお前は知るだろう 歩くことだけでお前の魂が満足することを」(堀口大学『月の招待』)

「背伸びをすると足が攣る」

「ほこりは上から下へとふりつもる」

「この地球上で人間だけが、森の木々を伐採して自然を破壊する。そしてまた人間だけが、土を選んで種を蒔き、苗を植えなおし、砂漠に失われた水を引き込むことができる」(黒川紀章ほか)