活動履歴(2017年)

本年もお世話になりました。怒涛の大学生活からもやっと解放されたことだし本格的に活動再開、と思っていたのですが、やはりまだまだ二足の草鞋を履きこなして一足に束ねるところまでは至らず、という一年でした。前半はデザインの仕事に追われて疲れ果て、後半は『オカキモチ』文庫化を中心として日本時間で昼夜逆転の打ち合わせをすることが増え、なかなかまとまりがつきませんでしたね。

でも、よかったこともたくさん。英文tweetをきっかけに書いた英語記事「Otaku Girl And Proud」を結構な数の人に読んでもらえたので、今後もサボらずにMediumを続けていきたいと思います。パーソンズの教授と始めた「 #日本の漫画とファッション 」勉強会のようなことは、まだまだやっている人が少ない。今のところ一銭にもならないけど、2018年は軽く日英併記のZINEを出すくらいの活動につなげていきたいと思います。デザイン仕事の副産物も増えてきたし、とにかくモノを作って売ってみたい! という気持ち。

『ユリイカ』の志村貴子特集では論考とは名ばかりの自分語りエッセイをたっぷり書かせていただいて、20代の頃にメインフィールドの一つだった「女子校出身こじらせ」ネタについて、なんだか憑き物が落ちたような気分です。時を同じくして、長年愛読していた「SUUMOタウン」に母校のある街・四谷について寄稿できたこと、それで2017年人気記事ランキングに載ったことも光栄でした。本当はあの三倍くらい書きたかったんだけど、またの機会に。例のマンション建設問題も年内に落着したようで何よりですね。

一時はどうなることかと思った『オトコのカラダはキモチいい』増補完全版も無事に年内刊行されました。私にとって初めての文庫本です。共著者の連名なので、五十音順だと二村ヒトシさん扱いで「に」の棚に置かれるようです、チェックしてみてください。『ハジの多い人生』『嫁へ行くつもりじゃなかった』も、そろそろ廉価版になってもいい時期なんですが、有難いことに親本価格のままの電子書籍が今も動いてはいるので、一時代前のようには簡単に文庫版になったりはしないものなのかもしれない。というわけで、貴重な機会でした。

来年は『天国飯と地獄耳』の書籍化が控えています。これも最初の連載開始からはおそろしく長い時間が経ちました。正月からは新連載も始まります、こちらも……企画段階から紆余曲折して五年越しくらいになるのか……? なんとか年内に着地点を見つけたいところです。大人の事情により『女の節目』の書籍化が宙ぶらりんになってしまっているのもどうにかしたいですね。

過去に書いたものがどんどん自分の手を離れていっているように感じられる一年でもありました。生活環境の変化によって文体もずいぶん変わり、「書かないこと」のほうに意識的になる一年でもありました。エッセイストとして依頼を受けるようになって五年、「ひたすら自分自身の内面についてノンフィクションを書く」(評論やデータ分析の手法からは距離を置く)ことを厳しく自分に課していたのですが、来年はその辺りも少し柔軟に捉え直しつつ、一方で、ものすごく久しぶりにフィクションを書くことに手を出してみてもよいかな、と考えたりしております。まぁ、考えるだけならタダなんですけれども! ご意見ご感想、こんなものを書くと面白いんじゃないか、といったご提案もお待ちしております。2018年もよろしくお願いいたします!

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書籍

キノノキ連載「天国飯と地獄耳」

cakes連載

その他の記事

解説&レビュー

  • 2017-03-30 webDICE「骰子の眼」に上記映画評が転載されています。→ 記事へ
  • 2017-04-05 映画『作家、本当のJ.T.リロイ』パンフレット寄稿
  • 2017-07-27 『本の旅人』8月号に書評を寄稿(二村ヒトシ『僕たちは愛されることを教わってきたはずだったのに』)
  • 2017-08-22 「カドブン」に下記書評が転載されています。→ 記事へ

note連載「35歳で、ガールと呼ばれる(仮)」

Medium連載「Otaku Girl And Proud」

イベント登壇&番組出演

その他

  • 2017-05-20 前野ウルド浩太郎『バッタを倒しにアフリカへ』(光文社新書)の文中に名前が出てました。名著に名を刻めて嬉しい。
  • 2017-10-07 趣味のInstagramアカウントをもう一つ作りました。のら数字の蒐集。 → Wild Numbers

文庫(共著)『オトコのカラダはキモチいい』

書題 オトコのカラダはキモチいい
英題 Males, Enjoy Your Sexualities
著者 二村ヒトシ・金田淳子・岡田育
発売日 2017年12月20日
出版社 KADOKAWA
仕様 文庫
価格 640円+税
APRON
装画 雲田はるこ
ISBN-10 4041058759
ISBN-13 978-4041058756
紙書籍 https://www.amazon.co.jp/dp/4041058759/
電子書籍 https://www.amazon.co.jp/dp/B078H8S7M4/

僕たちは、本当の快楽についてまだ何も知らない――。AV監督の二村ヒトシ、ボーイズラブ研究家の金田淳子、腐女子で文筆家の岡田育。現代の性の三賢人が「男性の肉体の官能」を徹底考察! 二次元と三次元の垣根を越え、男女双方のポルノグラフィからゲイ文化まで、縦横無尽に語りおろした画期的な入門書。誰もが自分の肉体に向き合えば、毎日がちょっと生きやすくなる!? 各界で話題騒然の一冊に、「BL界の最前線」について大幅加筆した完全増補版。(親本は2015年02月27日刊行)
解説:レイチェル・ソーン
推薦:ライムスター宇多丸
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痴女ものAV監督として、マゾ男性や女装美少年の肛門をほぐし続けてきた二村ヒトシ。ボーイズラブと腐女子文化の研究者として、二次元のやおい穴を掘り進めてきた金田淳子。同じく腐女子で、前職の編集者時代にはアダルトグッズ業界を取材してきた岡田育。三者が初めて集ったのは、東京五反田・ゲンロンカフェにて開催されたトークイベントであった。
それぞれの専門領域から「やおい穴≒アナル」(第一章)と「雄っぱい=男性の胸」(第二章)について対話を深め、新宿二丁目からゲイ男性を迎えた鼎談(第三章)を加えて、二〇一五年二月に単行本として刊行されたのが本書である。文庫化に際し、約三年弱の空白期間に起きた出来事を振り返る新たな巻末座談会を収録、ここに増補完全版をお届けする。
本書のテーマは、男性の肉体の官能。「男のカラダは、もっともっと快感を受容して、キモチよくなれる」というのが我々の見解である。二次元に嫁がいる童貞も、三次元に夫がいる腐女子も、同性愛者もセックスレスも、誰もが対象読者となりうる。勃起に始まり射精で終わるチンコ主体のセックスやオナニーしか知らない、そんなあなたにこそ、手に取っていただきたい。

※本書に関するお問い合わせ、取材依頼等は、版元へご連絡ください。
https://www.kadokawa.co.jp/product/321703000818/

2017-12-05 / 東京の地図が書き換わる

11月21日の昼便で日本へ向けて出発。何に驚いたって、JFK空港の保安検査場で素通りしろと言われたこと。「Go, Go, PC, Phones, Everything, Inside!」という調子で、靴も脱がず、カバンから電子機器も取り出さず、セキュリティシアター(360度スキャンされるやつ)もなし、コートだけ脱いでゲートをくぐるのだが、ゲートのランプも点灯していない。こんなザル状態の保安検査、日本の国内線でだって受けたことがない。JFKの、国際線ターミナルだよ? 一応、事情をざっと検索してみたのだがとくに言及している記事も見つからず、緊急で決まった現場職員のストライキか何かなんだろうか? と心配になる。それか、乗客にまったく気づかれないかたちの新しい監視システムを試験運転中だとか? 結局、最後まで謎のままだった。並ばずに済んでラッキーだったけど、毎回こうだとそれはそれで不安だ。

機内では『ワンダーウーマン』と『キング・アーサー』を観る。どちらもそれぞれに素晴らしい映画、おすすめ。とくに『ワンダーウーマン』は前評判がよかったので相当期待値を上げていたのだが、「肉体的快楽論」のくだりと、「それでも、私は行く」とノーマンズランドに飛び出して行くところはやっぱり、グッとくる。ラスボスにだって改変できたはずのドクターポイズンを巨悪として描かないのもよい。あと観ながら思っていたのは「永野護は、つまり、コレをやりたかったんだよね?」と。ラキシス@WW2ベルリン攻防戦の話です。ほらー、長期連載でダラダラやってる間にハリウッドに先越されちゃいましたよー、でも私はコレあなたの漫画で読みたかったよねー、と残念な気持ちになる。

『キング・アーサー』は、ただのガイリッチー映画だった、が、それがいい。すごくいい。もとの物語に思い入れが薄いぶん、『シャーロック・ホームズ』より好みだったとさえ思うのだが、興行的には振るわなかったのだろうか……。ガイリッチー、このノリでミュージカルかオペラの映画を撮ってほしい。あと一応アニメ版『打ち上げ花火、〜』も観たんですけど記憶から消しておきます。私は岩井俊二はセーフもセーフなんですが、そこに大根仁と川村元気が乗っかって実写がアニメになるとこんなにもアウトになるかと絶句した。「岩井俊二ファンは観ないほうがいい」と言われていたのはこういうことか。英語字幕付きで見ていたのでセクハラネタが一層キツい。松田聖子も観月ありさも松たか子の無駄遣いも要らんやろ、「打ち上げ花火」という言葉から想起される記憶には奥菜恵の映像だけ残しておきたいよ私は。

22日夕方着、竹葉亭でうなぎを食す。年に一、二度、帰国時だけ、きちんとした店で節度ある量のうなぎを食べる、と決めていて、他ではいっさいの鰻食を断っている。絶滅させたくない好物だからです。ガイドブック片手に辛抱強くテーブル席があくのを待っているアジア系観光客、さすがにやりすぎだろ時流を鑑みろよってくらい無節操に贅沢うなぎディナーを満喫している日本人サラリーマンに混じって、いろいろ物申したいことはあるが黙々とお重だけ食べて帰って寝る。

転居して2年以上が経った。東京も、もうすっかり「知らない街」という感じがする。たとえば人とごはんを食べるときは大抵、お店を選んでもらうようにしている。私が行きたい懐かしい店は、もうなくなっていたり、だいぶ味が変わったりしているかもしれない。「到着した晩に銀座でうなぎを食べる」というのは完全に旅行者としての習慣で、東京在住の頃には竹葉亭ってもっと特別な日の敷居が高い店という認識だった。そうやってゆっくりと自分の中で東京地図が書き換わっていくのを感じる。前に来たときはまだオープンしていなかった銀座SIX、あるいは、すっかり外装が新しくなり舗道も含めて「ネオ・花のみち」の様相を呈している日比谷シャンテなどを見上げて、ちょっと怖いような気分になる。どちらも、帰国前に足を踏み入れてみたら何も怖いことなかったけどね。六本木も同じで、「ここは昔、これこれこういう用事でしょっちゅう通った裏の近道」ということを歩くとハッキリ思い出すのだが、そのことが今の自分の人生と直接結びついてはいない感じ。なるほど、みずから選んで場を移し、そして一定の時が経つと、こんなふうに過去を置き去りにすることもできるのか、と吹っ切れたような思い。

23日、余力があれば午後までコミティアへ行きたかったのだが、そんな余力は、もちろんなかった。アメリカでは絶対に食べられない繊細に和風アレンジされた中華料理を食べ、kamuroへ立ち寄って夫婦で眼鏡を新調。のち六本木でオトコのカラダ*チャンネルの生放送番組「【文庫化記念特番】岡田育✕金田淳子✕二村ヒトシ*オトコのカラダ*生放送 #10」を収録。うっかりしてたらタイムシフト視聴の期限を過ぎていた! ので、自分で見返せてはいないのだが、結構面白い話ができたんじゃないでしょうか。収録前、こりゃもう飲まなきゃやってらんないね、とスタッフと一緒に近所のドン・キホーテまで酒を買いに行ったのだが、あまりの物量に涙が出そうになる。帰国時には必ず立ち寄るビックカメラやロフトでも思うこと、ただただ「すごいな、日本」という感想です。業務用のポテチとか、米国産とは比べ物にならないほど食べやすいビーフジャーキーとか買い込む。結果的に、飲みながら放送してよかったと思う。

収録後もそのまま、同じ場所で打ち合わせを兼ねたグダグダの慰労会。モニタとして使っていたテレビにNETFLIXがつながるのをよいことに『ハウスオブカード』のセンチネル軍事大学回を流してもらい、「アンダーウッド夫妻はやおい」をプレゼン。吹替版って初めて観たけどこっちもエロいな。ところでフードファイターとして名を馳せる文庫担当編集Kさんの配偶者の話になり、なんと私が高校生の頃から知っている男の子と大学同期同士で結婚していたのが彼女だと判明、めちゃくちゃ驚く。ちなみに、オカキモチ関係者で東宝ミュージカルの話が通じるのはKさんだけ。番組中では二村さんが酔って大変なことになっていたが、慰労会の最後は私もすっかり泥酔して「育三郎もいいけど! 禅ちゃんも! よろしくお願いします!」と泣きついていた。

というわけで、文庫版もよろしくお願いします! 12月21日発売! 番組内で本邦初公開した美麗な表紙もそろそろお目にかけられるはず!

このあと新潟と佐渡を回る旅、関西出張という名目での『レディ・ベス』大阪遠征、太地くんの王座就位式、その他のもろもろを終えて帰国。相変わらず時差ボケがひどいので小出しにしておく。新潟へは久しぶりに将棋竜王戦を観に行った。決定局ではないけれど、羽生永世七冠が生まれるその直前の姿を生で観られて本当によかったです。改めて、おめでとうございます。

2017-11-20 / 四谷、もつ鍋、時差のない暮らし

ちょっと日本行って帰ってきました、今は12月5日。また日記をためていたので思い出せる範囲のことを書いておく。
11月のサンクスギビング前、時事的な需要もあり、久しぶりに『日の名残り』や『美女と野獣』など昔懐かしい映画を観る。それぞれ感想はTwitterに書いたりしたので割愛。初見の夫の感想が面白い。夫はずっと『HOMELAND』の二匹目のドジョウを狙ったような、精神を病んだ腕っぷしの強い女主人公が謎を解くような新作ドラマばかり観ている。どの女も同じように精神を病んでいるので私には区別がつかない。最近の流行りなんだと思うが、「精神を病んでいても、病んでいるからこそ、物語の主人公になれる」というストーリーが一般視聴者にもてはやされるのは現代社会の闇っぽくもある。
はてな編集部からお声がけいただき「SUUMOタウン」に寄稿した〈昼はコドモ、夜はオトナのものとなる「四谷」 飲んで飲まれて歩いて帰れる街で暮らした日々〉という記事、あっと言う間に300以上のブックマークがついて驚く。あんまり大した内容じゃない……というと謙遜が過ぎるかもしれないが、もっとずっと実用性の高い記事が多いなか、ごくごく私的な体験だけを書いてこれだけ多くの人に読んでもらえるというのは驚きとともに嬉しい気持ち。そして断言できる、バズッたのは、はてな編集の「編集」の力です。打ち合わせや下調べから校閲、遠隔指示での写真撮影、クライアントチェックに至るまで、ものすごく質の高い編集を手がけてくださって、久しぶりに大船に乗った気持ちで原稿の手直しができた。そういうことを感じるのが、紙の雑誌媒体ではなくウェブ媒体、しかも、はてな!! ということに隔世の感がある。
ちなみに通っていた女子校の所在地について書いたのは今回が初めて。『ユリイカ』志村貴子特集と併せてお読みいただければ、だいたいどんな雰囲気の中で思春期を過ごしたのかおわかりいただけるのではないだろうか。ずっと出身校名を伏せているのは、基本的に学園内情についての取材禁止という校風が続いていて、私が何か書くことで現役の在校生たちに迷惑がかかってはいけないから、というだけのことなんだけれども、さすがにそろそろ時効なんじゃないかと思って書いてみた。こういう機会があると吹っ切れて、『ハジの多い人生』とか、今から全部書き直したくなるね。
その他には、渡辺千賀さんの米国養子事情についての記事から、あれこれ考えたり
17日は、佐久間裕美子さんと唐木元さんとランチ、ブルックリン「NORMAN」にて。食について意識高くならざるを得ない事情のこと、ニューヨークのまだ知らない場所について、女子校生活が人生に落とした影について、などなど。日が傾くまでしゃべっていた。のち、友人宅で餃子ともつ鍋を食べる会。しこたま酔った。もつ鍋は「博多トントン」のテイクアウト。夕方、店内へ引き取りに行ったら待ち行列のできる満席、もうもうと湯気の上がるなかどのテーブルももつ鍋に舌鼓を打っており、「えっ、換気……うわ、カナダグースとかモヘアとか着てる人いますけど……」と心配になったのだが、翌日の匂いが怖くてもつ鍋が食えるか、というあの日本人と同じ感覚をニューヨーカーもとっくに身につけているのかもしれない。いや服装は考えたほうがいいと思うけどね。
19日から20日にかけて、『オトコのカラダはキモチいい』文庫版の入稿責了を終えて、すっかり日本語脳に。昼夜逆転でSkype会議をしていたりもしたので、これでは、ほとんど日本にいるようなもの。21日の朝便で出発してからもまったく時差に悩まされることはなかった。むしろ帰ってきた今がキツいです。というわけで次回は日本滞在記。
 

2017-10-29 / 我ら息絶えし者ども

25日はデザイン仕事の打ち合わせのあと、「英語圏で仕事する際のモヤモヤについて日本語で愚痴をこぼすプロフェッショナルの会」というようなものへ参加。今回が二回目なのだが、みんな話が面白い。とくに、若手経営者たちの生々しい話を聴けるのがいい。「人を雇う」というのは、私はたぶん今後もしないことなのだけれども、人を雇っている人たちの言葉は、やっぱり重みが違うよな。誰かの人生を背負って働く人々は、掛け値無しに尊敬できる。一方、大きな看板を背負って雇われながら働く人たちも、ただ雇われているという以上の使命感を持って働いていて、その感じについてはかつて私自身も熱く抱いていたものなので手に取るようにわかり、直に触れるととても懐かしい。初めて行くラオス料理の店と、テーブルにエイ革を張ったカクテルバー。
26日は講演会のリハーサルがあり、直前に結構頑張ってスライドを作ったら、それで半日も過ぎてしまってびっくり。もう一つの心配していた仕事はつつがなく終わりに向かっている様子。立派なマントルピースのある独身女子の部屋へ上がり込んで、豪奢なすき焼きをごちそうになる。
27日はファッションドローイングワークショップへ。とある人へ『オトコのカラダはキモチいい』を手渡しに行く。そこでの立ち話から生まれた「#日本の漫画とファッション」という研究プロジェクト、一も二もなく実施決定。「こういう話をするといいのでは?」「この漫画のこと忘れてない?」といったご意見ご感想、以下のTwitterにリプライするかたちでコメントをいただければ反映させます。そのうちアンケート調査などもしてみたいけれど、まずは勉強会の開催ですね。


ここまで連日、日本語で日本人と話す日本語漬けの日々。本当はよくないんだよなと反省しつつも、一つ一つを足がかりに、英語圏オーディエンスに向けてできることを積み重ねていきたい。時間がたっぷりあるだけでもダメ、黙々とインプットするだけでもダメであり、もちろんだから、闇雲にアウトプットしているだけでもダメなんである、たぶん。


28日は、月末で閉まってしまうガヴァナーズアイランドを再訪。ピクニックポイントは「パンプキンポイント」と名称を変えていて、島内至るところにカボチャが転がって、大人も子供も仮装して、トリックオアトリートを満喫していた。我々ものんびりそれに参加していたのだが、途中で停めておいたレンタル自転車を盗まれてしまう。若い黒人男女のカップルで、途中で追いついて問い詰め、「こちらが金を払ってるんだから今すぐ返せ、この番号の自転車に紐づいた支払い証明のチケットもあるんだから!」と怒ったのだが、ものすごく堂々と表情一つ変えずに「これは私たちが買ったんだ」と虚偽の主張、挙句にスマホで私の顔を動画に撮り始め、最終的には漕いで逃げながら、半笑いでこちらに向かって侮蔑音を鳴らす始末。悪ガキは悪ガキだなぁ。キツネ目のジェスチャーこそされなかったが、アジア人のオバハンなんかに逃げ足で負けっこないと思ってるんだろうし、仲間内に動画をシェアして笑い者にするんでしょうな。
もちろん狭い島内のことなので、貸出所へ出向いて正当性を訴えると話が通り、ちょっとディスカウントで精算を済ませてのち、屈強な男性係員が「どっちへ逃げた?」とだけ訊いて、自転車でスッ飛んでいった。本物の捕物帳はここからだ。しかしまぁ、見つけたその場で自分で「口論」に勝って引きずり下ろせなかったのは、やっぱり無力さを感じますね。そんなのこれからも一生ずっと、無力感に苛まれながら生きていくんだろうけど。日本語圏では私だって日本語ネイティブの若者というだけで万能感を持っていたのだから仕方ないが。
言われてみれば私、英語で「議論」はさておき「喧嘩」をしたことがない。こんなときいつも、クラスメイトの子がボーイフレンドとの至極どうでもいい痴話喧嘩を重ねながら、どんどんスピーキング上達していったのを思い出す。ネイティブの人々は「恋愛ついでに英語を上達させようというのは絶対によくない、時間を無駄にするだけ、ちゃんとした有償の先生につくほうがずっと近道だ」と言うんだけど、それはさておき、口喧嘩スキルを上げる機会だって必要だと思うんだよなー。若者に怒鳴り散らされてちょっと怯んでしまったのだが、正当性はこちらにあるので、あそこで怯まないスキル、本当に大事なのよ。

日曜は朝から天候が崩れた。日本も台風らしいが、こちらもなかなかの暴風雨。週末かけて『ハウスオブカード』は最新最終回まで追いつき、ついでに夫のオットー氏(仮名)のために「秋のエリザベート祭り」を開催。帝劇『エリザベート』2016年版(Black)宝塚歌劇『エリザベート』1996年初演版と特典の歴代「死ねばいい」ダイジェスト映像(そんな趣旨ではない)、ついでにネットに落ちていた石川禅フランツの扮装映像やら、山口祐一郎と井上芳雄の「闇が広がる」やら、あれこれ見せる。前回の「夫を育てるミュージカルDVD祭り」は今年の7月4日よりも前だったようで、次回はまた少し時間を置いて、『王家の紋章』でも見せたいなー。『レディ・ベス』も映像化が決まって嬉しいですね。
「やっぱり万里生はお歌が上手だねぇー」と言われるたびに「でも禅ちゃんはここもっとミラクルメイクでマザコン皇帝っぷりと演技込みの総合力では負けてなかったから! ちょっと戦争とか指揮してみたいボクちゃんのもぎたてフルーツ感やばかったから!」と何度も何度もうるさく言ったせいだろうか。成河ルキーニが出てくるたびに「成河! 成河! 成河! 成河!」とオタ芸していたからだろうか。あるいは夫婦で闇広ダンスの練習を強要し、一発宴会芸「山口祐一郎の真似」(見えない緞帳衣装を揺らしながら両腕を大きく広げてベイマックスを抱きかかえるように前後にニャンニャンする)まで仕込んだせいだろうか。それとも、轟悠ルキーニと無印良品の部屋着姿の夫を見比べて「ちょっと何なの、同じボーダー柄でもこの着こなしの差! まるでダメ、全然違う、同じ男なのに! って理事様は女だけどな!」とdisったからだろうか。「君、さっきから『うわぁ〜、お花様きれい〜』しか言ってないですけどな、冷静に考えてもごらんよ、20年前に息子ルドルフ役だった香寿たつき様が、20年後に姑ゾフィー役やってんのに、お花様はお花様でずーっとシシィなの、怖くない……?」と怪談を語ったせいか。
最終的に夫は疲れ果てて夕方から知恵熱を出して寝込んだ。悪夢に魘されているようだった。ごめんね。オットー氏のためにしたことよ。すべて彼のためにしたことよ……。