文筆家・岡田育、近況と日記。
本年もお世話になりました。怒涛の大学生活からもやっと解放されたことだし本格的に活動再開、と思っていたのですが、やはりまだまだ二足の草鞋を履きこなして一足に束ねるところまでは至らず、という一年でした。前半はデザインの仕事に追われて疲れ果て、後半は『オカキモチ』文庫化を中心として日本時間で昼夜逆転の打ち合わせをすることが増え、なかなかまとまりがつきませんでしたね。
でも、よかったこともたくさん。英文tweetをきっかけに書いた英語記事「Otaku Girl And Proud」を結構な数の人に読んでもらえたので、今後もサボらずにMediumを続けていきたいと思います。パーソンズの教授と始めた「 #日本の漫画とファッション 」勉強会のようなことは、まだまだやっている人が少ない。今のところ一銭にもならないけど、2018年は軽く日英併記のZINEを出すくらいの活動につなげていきたいと思います。デザイン仕事の副産物も増えてきたし、とにかくモノを作って売ってみたい! という気持ち。
『ユリイカ』の志村貴子特集では論考とは名ばかりの自分語りエッセイをたっぷり書かせていただいて、20代の頃にメインフィールドの一つだった「女子校出身こじらせ」ネタについて、なんだか憑き物が落ちたような気分です。時を同じくして、長年愛読していた「SUUMOタウン」に母校のある街・四谷について寄稿できたこと、それで2017年人気記事ランキングに載ったことも光栄でした。本当はあの三倍くらい書きたかったんだけど、またの機会に。例のマンション建設問題も年内に落着したようで何よりですね。
一時はどうなることかと思った『オトコのカラダはキモチいい』増補完全版も無事に年内刊行されました。私にとって初めての文庫本です。共著者の連名なので、五十音順だと二村ヒトシさん扱いで「に」の棚に置かれるようです、チェックしてみてください。『ハジの多い人生』『嫁へ行くつもりじゃなかった』も、そろそろ廉価版になってもいい時期なんですが、有難いことに親本価格のままの電子書籍が今も動いてはいるので、一時代前のようには簡単に文庫版になったりはしないものなのかもしれない。というわけで、貴重な機会でした。
来年は『天国飯と地獄耳』の書籍化が控えています。これも最初の連載開始からはおそろしく長い時間が経ちました。正月からは新連載も始まります、こちらも……企画段階から紆余曲折して五年越しくらいになるのか……? なんとか年内に着地点を見つけたいところです。大人の事情により『女の節目』の書籍化が宙ぶらりんになってしまっているのもどうにかしたいですね。
過去に書いたものがどんどん自分の手を離れていっているように感じられる一年でもありました。生活環境の変化によって文体もずいぶん変わり、「書かないこと」のほうに意識的になる一年でもありました。エッセイストとして依頼を受けるようになって五年、「ひたすら自分自身の内面についてノンフィクションを書く」(評論やデータ分析の手法からは距離を置く)ことを厳しく自分に課していたのですが、来年はその辺りも少し柔軟に捉え直しつつ、一方で、ものすごく久しぶりにフィクションを書くことに手を出してみてもよいかな、と考えたりしております。まぁ、考えるだけならタダなんですけれども! ご意見ご感想、こんなものを書くと面白いんじゃないか、といったご提案もお待ちしております。2018年もよろしくお願いいたします!
2016年の初めは渡米後半年、大学でも一学期目が終わり二学期目が始まったところ。まだまだ気が抜けない状態で、いろいろお休みしておりました。上半期は単発のお仕事を少しだけ受けたなか、署名原稿だと、古巣である中央公論新社の、退職直前まで所属していた部署から立ち上げられた新文芸誌『BOC』に書かせていただいたのが印象に残っています。あと高校生の頃からファンだった岩井俊二監督の新作に寄稿できたのも。制服着てパルコの『スワロウテイル』写真展へ行ったらナンパされた話を、とうとう書いてしまったよ! 下半期になると休載していたマイナビニュース『女の節目—人生の選択』が再開。学業との両立は正直めちゃくちゃキツかったです、執筆そのものというより、頭を日本語モードに切り替えることが。「外から見た日本について書く」「ニューヨークについて書く」という機会も増えてきました。
ちなみに英語圏では、4/2-4/3に開催された、ソサエティオブイラストレーターズ主催「MoCCA festival 2016」(Metropolitan West)に、絵本『Tales Of Altitude (物語の標高)』を出展しました。平たく言うと「アメリカのコミティア」みたいなもので、大学が持っているブースに選抜作品として置かせてもらった感じ。いずれ、日米二つの活動履歴が一つになるとよいのですが!
こちらはまだ作業中……。
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