ザ・インタビューズ転載日記(マンガ)

あなたにとってマンガとはなんでしょうか?

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デフォルトの質問の次に、いきなり来たのがこれか、という感じで面白いなぁ。

私にとって、漫画は「読むもの」です。自分で描くものでもないし、仕事として作るものでもない。一番わかりやすく「消費」しているもの、という感じです。三度の食事じゃなくて「おやつ」のお菓子、だけどとびきりの大好物、というような。

6歳のとき同級生に貸してもらった『聖闘士星矢』から少年漫画にどっぷりハマって、7歳のときに親戚のお姉さんから『ポーの一族』はじめ24年組の少女漫画をごっそり譲ってもらい、同時期に図書館で『タンタンの冒険旅行』を借りられるだけ借りて夢中で読んでいた、あの三つが原体験だと思います。それまでに親が買い与えてくれたのは藤子不二雄のFFランドだけでしたが、自力でトキワ荘へさかのぼり、昭和天皇崩御より手塚治虫の死にショックを受けていた小学生でした。当時すでに今でいうところの腐女子になっていて、高学年になると「CLAMP新聞」を購読して投稿して掲載されるような、立派なオタクでしたよね。

漫画好きな子供のご多分にもれず、自分で描こうとしたこともありますが、一緒に『星矢』にハマッていた同級生がむちゃくちゃ絵が上手くてね。漫画好きな子供のご多分にもれず、早々に才能がないと悟って筆を折りました。彼女、ただかわいいお姫様を描くだけじゃなくて、網掛けとかベタフラッシュといった背景効果まで、すごく楽しそうにずーっと描いてるんですよ。神と崇拝していたモー様こと萩尾望都も「あの作業を楽しいと思えないと向いてないわね」みたいなこと仰っていたし、ああ、私には漫画家は無理だ、とあっさり諦めました。

じつは、アニメを観るのが苦手です。絵が動くことにあんまり思い入れがないんでしょう。並みのアニメでは傑作漫画の感動に勝てないだろ、というか、ほとんど何を見ても「これだったら紙に墨汁で描いた静止画のほうがよっぽど躍動感あって、コマとコマの間に無限の想像がふくらむじゃん。自分のペースでページめくれるしさ」などと思ってしまうところがあります。学生時代に授業でグラフィックの課題が出されて、何かひねったものを作ろうとしたら「数十年前に赤塚不二夫が全部やっちゃってる」と気づいて愕然としたりもしました。やっぱ漫画って表現はスゲーな、と。

学生時代といえば、オンデマンド復刊された古典漫画を読んで、一巻一巻に販売サイト用のあらすじを付すバイトをしていたことがあります。あれは夢のようだった。一日中ずっと「調べもの」と称して漫画黎明期の作品を横断的に読んでました。でも、あまりに楽しすぎて「このまま漫画を仕事にするのはまずいな」と思った体験でもありました。漫画家の連載を担当したこともありますが、すごいすごいと喜びながら原稿もらって帰るだけだったし……。

私の人生にとってあくまで「おやつ」である漫画は、おそらく今後とも仕事にはしないと思います。だからこそ、お客さんの側に徹して、二次創作のノリで、じつに好き邦題に品評したり感想を書いたりしています。(活字の本と違って)流行とか人気とか売れ筋とか話題作とか社会に与えるインパクトとか気にしたこともなくて、ただ自分が好きなものを好きなだけ読んで、飽きたら手放す。私にとって、漫画は「読むおやつ」です。