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ザ・インタビューズ転載日記(趣味)

お忙しい中、多くの趣味を深く追求されていますが、ペース配分や時間配分のコツを教えてください



私が最も苦手とするものごと、それがご質問の「ペース配分」や「時間配分」です。とくに趣味の分野に関しては、「本当はもっともっと深く追求したいのに仕事が時間内に終わらず断念」といった事例が多く、毎夜、枕を涙で濡らしております。なので、まずこの問いかけに戸惑いをおぼえております。

一緒にライブなどへ行ったことのある人ならご存じの通り、私は好きなミュージシャンが壇上に登場しただけで演奏前から理性の箍がはずれて絶叫して気絶するタイプの人間です。そんな調子で暴れていたら体力が二時間半もたないじゃないか、などとは考えられない。その場その場を楽しむだけなので、何事にでも熱中しているように見えるのだと思います。たとえば、20代半ばの頃は月に何度も渋谷系クラブイベントへ足を運んでいました。フロアでの様子だけ見た他の客からは朝から晩まで渋谷系に漬かって全身全霊を渋谷系に捧げた毎日ボーダー着てる女だと思われていたでしょうが、翌日はしれっと友部正人のライブへ行ってたりしたわけで、何事に対しても、広く浅いのです。

最近Twitterではミュージカルの話ばかりしてドン引きされていますが、あれにも『レ・ミゼラブル』25周年という明確なきっかけがあります。十数年前に私を「ミュージカル鑑賞」という新たな趣味に引きずり込んだこの作品が見納めとなったので自分の中の引き出しを久しぶりに開けてみた、という感じ。「新しい趣味を作った」わけではありません。中学生のときハマッていたヴィジュアル系なんかもそう。そりゃ「LUNACY復活」なんて言われたら黒服ひっつかんで馳せ参じますけれども、普段それは引き出しの奥の奥にしまってあります。

見ず知らずの方たちとやりとりをしていて不安になるのは、「もしかして、私のことをものすごいオタクだと思っているんじゃないだろうか?」ということです。実際には全然そんなことないんですよ。「一度好きになったら嫌いにならない」というだけで、何十年間も一つのことをコアに追究し続けるタイプではないです。コレクター魂もないしね。たとえばAKB48にハマッたとしても、CDを何枚も買ったりはしないと思います。そうした節度が「ペース配分」ということですかね……え、いやレミゼのCDは、あれは全部キャスト違いだから何枚買ってもいいんだよ、日本公演のパンフレット複数冊買ったのも一部の舞台写真が違うからで……いや、ちょ、待(ry

そして、これは私の思い込みかもしれませんが、一般的に「趣味」というと「稽古事」みたいなものを指すのではないでしょうか? 今の私は、何かを練習して上達していく、という類の趣味はまったく持っていないので、そこはずっと引け目を感じています。もう少し時間の使い方が上手になったら、休日を利用して、スポーツとか、楽器演奏とか、工芸とか、舞踊とか、囲碁将棋とか、あるいは料理とか、誰かお教室の師匠に弟子入りしてみっちり段取りを習い、一定レベルに達して免状取って堂々と言えるような「趣味」が欲しいなと、ずっと思っています。そういう意味では、おそろしく無趣味ですよ私。だって、ただ消費財を消費しているだけじゃないですか。この程度のことなら、どんなに時間がなくたってできますよね。