モンティ・パイソンを好きになったきっかけは?
一番最初は憶えてないですね……いつなんだろう? 両親がテレビで特集番組や一挙放送みたいなプログラムを観ていて、存在を知ったのだと思います。当時はさほど関心がなく、もちろん笑いのツボもわからないし、むしろ声優ヲタだったので「広川太一郎がよく喋るキュートな金髪の声をあてている英国の古いコメディ」という認識でした。エリックアイドルの美貌おそるべし。あと「水道管ゲーム」が流行ったときに「これってあの番組と関係ある商品なのかな」とか思っていたっけ。
高校生くらいになると、雑誌などで新しくて素敵そうなコンテンツを褒める形容に「パイソニアンにはたまらない」などと評されているのを見ては、「どうやらアレは教養として必須らしいぞ」と気になりだします。ところがレンタルビデオ店などにも置いてないし、観る方法がわからない。仕方なくテリーギリアムの映画なんか観ながら、「Silly Walk」「Dead Parrot」に「SPAM」くらいは知ってるけど……と思いつつ、スパムメール一つにキャッキャするパイソニアンたちを羨ましく眺めていました。ちなみに当時は『Mr.ビーン』全盛期だったのですが、あれを観て「イギリス人のジョークセンスってちょっと苦手だな」とも思っていましたね。
だから、ちゃんと本格的に観て好きになったのは、大学生以降です。ファイル交換ソf……いえ、ほらあの、YouTubeとかでね! 極東の島国にいながらにして過去の外国のテレビ番組とか観放題じゃないですか。あれでぐいぐい世界が広がっていったうちの一環です。YouTube設立の2005年にはもう社会人のはずですが、いろいろ記憶違いでしょうか、ははは。「あんた四カ国語麻雀くらいで喜んでちゃダメよ」と大人たちから内容だけ聞いて知っていて、観る前から絶対に好きだと思っていた「International Philosophy(哲学者サッカーW杯)」やなんかの実物を、初めて観たときの感動……! もちろん話で聞いていた以上に面白かった。そこから一気に、ジョンクリーズの薄いくちびるが好き、などと中の人たちに騒ぎだすようになります。
そう、この「観る前から絶対に好きだと思っていた」「けど実際には観たことがない」という長年のジリジリする感じ、最近は、ないですよね。何かを観たいと思ったら、ぐぐれば何でも出てくるんだもの……。野蛮な時代になったものです。2008年に『空飛ぶモンティ・パイソン“日本語吹替復活”DVD BOX』を買って、ようやく全部通して観ることができました。今は、いつ来日するのかとわくわくしていたお正月の『Spamalot』が、まさかの日本人キャストと知って一気にテンションが下がっているところです。意味がわからないよ。