アンソロジー『酒呑みに与ふる書』(キノブックス)

キノブックス刊行の「作家と酒」をテーマにした文芸アンソロジー、『酒呑みに与ふる書』に参加しました。単行本『天国飯と地獄耳』より、エッセイ「昼下がりの鮨屋で突然に」を収録しています。表紙にも文中からの引用「おや、昼酒ですか、結構ですなぁ。」が躍っています。古今東西、錚々たる顔触れとともに「無礼講」の酒宴の末席に加えさせていただいた気分です。

酒呑みに与ふる書
キノブックス編
2019年02月02日発売
本体 1,500 円(税別)
ISBN978-4-909689-27-6

作家と酒 陶酔と覚醒の45篇!

【収録作家】(収録順) マラルメ、渡邊守章(訳)、村上春樹、川上未映子、角田光代、小池真理子、いしいしんじ、田村隆一、木山捷平、中島らも、谷崎潤一郎、森澄雄、岡田育、安西水丸、草野心平、菊地信義、夏目漱石、室生犀星、菊地成孔、藤子不二雄A、内田樹、鷲田清一、ボードレール、井上究一郎(訳)、堀口大學、江戸川乱歩、佐藤春夫、井伏鱒二、吉行淳之介、開高健、伊集院静、北方謙三、松浦寿輝、古井由吉、島田雅彦、吉井勇、大伴旅人、折口信夫(訳)、松尾芭蕉、佐伯一麦、福田和也、水上瀧太郎、吉田健一、丸谷才一、中村稔、大岡信、筒井康隆、ヴァレリー、中井久夫(訳)

2019-02-04 / 東京滞在記

こんにちはこんにちは。一月下旬にまた日本一時帰国していました。恒例の、楽しかったことを箇条書きにしておきます。

・1/18、D-Projectデビュー30周年記念ライブ@ブルースアレイ。感無量。12歳の頃から27年ファンやってて初めてナマで動いてるD-Projectの御三方を拝みましたよ。豪華ゲストは、近藤真彦、デーモン閣下、佐藤竹善、麻倉あきら、是永巧一。かっこよかったなー。そしてこちらも念願、D-Projectのフロントマンにして音楽プロデューサーでもあるジョーリノイエ氏に、30年の軌跡を振り返るロングインタビュー。自分で言うのもおこがましいが、「俺にしかできんやろ」と胸を張って言える取材内容となりました。そのうち某所に掲載されます、お楽しみに。

・ミュージカル『レベッカ』@シアタークリエ。保坂知寿&大塚千弘ペアと、涼風真世&平野綾ペアを一回ずつ。CDは聴いてるしYouTubeでウィーン版の動画などは観ていたが、日本プロダクションはまったくの初観劇。滞在中に会った観た人みんなに「禅フランクあれ出番少なすぎません?」と言われたけど、作劇上どう頑張ってもあれ以上は増やせないもんな、出番。でも、すっごい怖くて見事なまでの「非凡な役者の演じる凡人」ぷり、相変わらず尊かったと思います……そう、どんな美女よりも……。

・残念ながら桜井玲香イッヒは観られなかった、そしてグレコメもファントムもラブネバーダイ新春歌舞伎も観られなかった、行けば何とかなると思っていたが予定を詰め込みすぎたな。ところが、もののついでに「私、明日死ぬのかな……?」と思うような僥倖に恵まれた、これはもし明日以降も生きていたら、いずれ皆様に自慢したい。歴史に名を刻む「初めて」に立ち会うというのは喜ばしいことです。演劇の神様に感謝。

・観劇の合間、1/22にはTBSラジオ「アフター6ジャンクション」に出演して、宇垣美里アナと一緒に「ミュージカル俳優」特集。自著宣伝などまったくせずに、ひたすら我が推し・鹿賀丈史と石川禅、そして宇垣アナの推し・平野綾の尊さについて語り倒しております。なぜか新妻聖子と成河と轟悠にいっさい言及していないのは、話すつもりで時間切れになっちゃったから! でも『レディ・ベス』の「秘めた想い」を流せたので悔いはない。第二回開催したいですね。

・数年ぶりに再会した漫画家はるな檸檬さんとヅカ会。『エリザベート』の女官パートを歌い踊り大合唱しながら「わたし今『ZUCCA×ZUCA』の中にいる……!」と感激し、『ミル星人パピーの冒険』観ながら「えっこれ『ZUCCA×ZUCA』で読んだ……!」と興奮し、一人寂しく茶の間でオタクしてきたので誰かと一緒に「「レ、ビジュー、ブリア〜ン!」」を唱和できる喜びを噛みしめた。あと萬あきら様に堕ちそうです、VHS視聴環境整えて遡らねばならない……。でも大半の時間を山口祐一郎の物真似して過ごした気がする。

・鎌倉に沼田元氣さんご夫妻を訪ねてランチ。個人の創作モチベーションと社会的使命との関係性、余生をどう過ごすか、というような話。ゆっくりおしゃべりするの久しぶり。山のようにおみやげをいただく。準備中の新連載「伯母さん宣言(仮)」はヌマ伯父さん無しには生まれ得なかったテーマ。仁義を切る。初めて会った頃の伯父上の年齢を今年で超えることになるらしい。あっという間ですな。

・『とくダネ!』出演者の皆様ともランチ女子会できてよかったです。コメンテーターとして出演していたのがものすごく昔のことのように感じるけど、人事が入れ替わり立ち代わりながら、今日も今日とて生放送しているのだ、テレビ業界は凄いな。何を話したかは内緒。あんなに壁の薄いお店で大丈夫だったのかしら。

・魔夜峰央先生ご息女、漫画家の山田マリエさんとお目にかかれたのも嬉しかった。もともとは前職出版社の先輩後輩と飲み会する予定だったのが、ちょうど『婦人公論』にお出になったばかりというご縁でご一緒できることに。十数年前は職場で昼日中から臆面もなく腐女子トークしてるのは私だけだったのだが、酒を飲みながらよくよく聞いてみると、先輩編集者も後輩編集者もみんなものすごく素質がある。能ある鷹は爪を隠すとはこのことか。これまた、あんなに壁の薄いお店で大丈夫だったのかしら。

・運転免許証の更新。もう運転しないのにね……。ゴールデンペーパードライバーです。滞在中に更新できないと失効する可能性も高く、絶対に何にも引っかかりたくない! と思ってうんと朝早くに万全の準備を整えて都庁の免許更新センター行ったのだけれど、私よりも早く涼しい顔して並んでいる人たちがたくさん居て、こんなに当たり前のことをするのにここまで気合いを入れなくてはならない自分に、ちょっと凹んだ。

・展覧会はほとんど行けず、「終わりのむこうへ 廃墟の美術史」@松濤美術館、国立トレチャコフ美術館所蔵「ロマンティックロシア」@Bunkamuraミュージアム、三澤遥「続々」@銀座グラフィックギャラリー、ソフィカル「限局性激痛」@原美術館、くらいかな。とにかく野又穣の2018年新作をこの目で観られたのがよかった。相変わらず物欲をそそられる。

・年始廻りを兼ねた打ち合わせ(と観劇)を詰め込みすぎた結果、観光らしい観光はできなかったのだが、前野原温泉「さやの湯処」へ行くことができたのは本当によかった。我が心の故郷・武蔵小山温泉清水湯と迷ったんだけどね、新しいところも開拓したいと思って。露天風呂めちゃくちゃ広かったし、あかすりも大満足。ほんの三時間半くらいしか滞在できなかったけど、次は半日は居たいなぁ。

・乙女美肌室行って全身ととのえて、Twiggyで髪切って、爪塗って、伊勢丹とルミネで服買って、ついでに無重力リュックも買って、鮨食べて鰻食べて中華食べて、ナチュラルローソンで美味しいお菓子どっさり買って、帰るたびに毎回「やっぱり東京は最高だな」と思うんだけど、帰ってきたら帰ってきたでニューヨークも最高なんだぜ。大寒波で外気温体感マイナス24度だけどね。

以上です。お仕事情報のアップデートはいずれまた。

what’s new

2019-01-03 / 初詣

あけてしまいました、おめでとうございます。今年の年末年始はいつも以上にお正月っぽくないお正月だった。12月31日の昼に年越し蕎麦を食べに行き、その後は散歩して外でコーヒーを飲んで、普通の食事を(ほとんど夫が)作って食べて、私はもう何度も観たことのある映画を夫が初めて観るのにダラダラ付き合い、夫を寝室へ見送った後で夜更かししていたら、ズルッと年が明けてしまった。

帰国するわけでもないし、特別な飾り付けをしたりもしない、紅白歌合戦も観ない。あの派手な「日本のお正月」とは全然違う。ちょっとおせちめいた惣菜を買ったり、ちょっと水回りの掃除をしたり、Happy New Yearと言い合ったりはするけれども、毎年一応はテレビで流していたタイムズスクエアのカウントダウンだって、とうとう観ないまま終わってしまった。午前2時、例年よりずっと暖かく、激しい雨が降っており、窓の下にはタクシーがひっきりになしに通って、たまに酔っ払いが奇声をあげてクラクションに応えるのだが、これだって普段の休日の夜とあまり変わらない。

この、普段と変わらない感覚が、逆に新鮮で喜ばしかったりもする。親元を離れてすぐの頃、生まれて初めて「誰とも言葉を交わさずに寝て起きたら元旦だった」というやつを体験したときの、あの静かな興奮がよみがえってくる。もう数年経つと揺り戻しで、日本の賑やかなお正月とか、旅先で迎える特別なお正月とかが恋しくなるのだろう。今はその手前、「何もしない」贅沢を噛みしめている。


今ちょうど、この「何もしない」時間を大切にしよう、という本を書いている。昨年1年間「大手小町」で連載していたコラム『40歳までにコレをやめる』を書籍化するための作業中。2020年、40歳になるまでに本にしないとシャレにならないので焦っているところ。楽しみにお待ちください。

2018年は『天国飯と地獄耳』というエッセイ集を刊行できて本当によかった。2014年から2015年までの東京と、2016年から2017年までのニューヨーク、自分にとっての大きな境界線を、あのようなかたちで記録に残すことができたのは得難い経験だった。次に出す本はまたちょっと毛色が違うけれど、これもまた一つの節目になるだろうと思う。

渡米した直後、新しい環境を楽しみながらも日々を振り返る余裕がまるでなかった私は、自分はもう日本語で物を書くことはできなくなるのだろうと信じ込んでいた。それでもやっぱり何かしら書いている。不思議。そこには深い意味があるのかもしれないし、ないのかもしれない。そして「あなたが書けなくなるなんてことは絶対にない」と力強く否定してくれたのは、誰あろう、私が書いたものを一行も読めない英語圏の知人たちだった。不思議。それは無根拠な励ましだったのかもしれないし、赤の他人ゆえにアイデンティティをずばりと見抜くような予言だったのかもしれない。別に、どちらでもいいや、と言える図太さだけは身についた。


ところで私が住んでいるこの街には「初詣」に行ける場所がない。日本で暮らしていた頃よりもズルッとした気分になるのは、正月休みの期間が極端に短いこと、クリスマスのような飾り付けの風習がないことに加えて、「初詣に行きたい気持ちの向かう先がない」せいもあるのだろう。

一昨年はニューヨーク市内にある寺と神社(仏教と神道の施設)を探してみたのだが、検索結果に表れた場所がちょっと……こう……想定していたものとはずいぶん違う雰囲気だったので、見なかったことにして終えた。私はまるで信心深い性質ではない。というか、この「初詣がしたい」渇望は、信仰心とはほとんど関係がない。むしろ、年に一度の元日にだけは、宗教的意義すら超えた魂をリニューアルするスポット、どんな神を信じる人であろうと自然と手を合わせて拝むことのできるような「拠り所」が必要だ、という話なのである。

昨年は「セントラルパーク」を初詣先に選んだ。ニューヨークという名の宗教に総本山があるのなら、きっとこの場所に違いないと考えたのである。ところが折悪しく大雪が降った直後で、一面の銀世界はとても美しかったが、めちゃくちゃ寒く、長い時間をかけて散策しながら新年最初の瞑想をするという目論見は見事に外れ、滞在五分くらいで逃げるように帰ってきた。

今年は「自由の女神」を初詣先に選んだ。ニューヨークという名の宗教に御神体があるのなら、きっと彼女に違いないと考えたのである。こちらは去年よりはうまくいった。ちょうど日暮れどきで、バッテリーパークから西に向かって自由の女神像を拝むと、後光のように日の入りを一緒に拝むことができた。帰宅して現像してみたら、どうってことない遠景の写真の一葉にすぎないのだけど、1月1日にこの場所からこの光景を眺めて一年の「ご加護」を願うという行為それ自体が儀式であって、誰かとシェアすることはできないもので、写真に写ったものはどうでもよいのだ。

もののついでにウォール街へも足を伸ばし、昨年11月から常設展示されることになったFearless Girlと記念撮影した。まだ歴史の浅い、広告塔として建てられた像であるにもかかわらず、ちゃんと「御本尊」という感じがあるのが愛らしい。2018年もさまざまなことがあった。(かつて深澤真紀さんとの対談で述べた通り)私はフェミニストを自称できるほどの人間ではないが、それでもあれこれ告発や事件報道などに打ちのめされて、「これが原因で今ここで憤死してもおかしくないな」と思うほどの怒りに襲われたりもした。絶望で死にたくなるのには慣れているが、生きていたいと思いながら心因性嘔吐に苛まれるなんて、生まれて初めての経験だ。「Girl’s Sideに立つ」というのは当たり前のことではなく、つねにその意味を問い続けながら下す判断、掴んだら手放してはならない自由であり権利、漫然と生きるのからは程遠い営み。そして、立つからには、なるたけ笑顔で。

かたや夫のオットー氏(仮名)は、Charging Bullに触りながら「商売繁盛、金運、金運」と唱えていた。数日前に映画『ウォール街』を観てテンションが高まっていたせいか、証券取引所前にあるEQUINOXを見て「ここだけは絶対スカッシュのコートがあるね!」と嬉しそう。たしかにな、絶対したいよなスカッシュ。でも年末にあの映画を観ていなくたって、世界中から集まった老若男女が、2019年の元日にブルの金玉を触ろうと大行列をなして群がっているのだ。この拝金主義者どもめが……! と言いつつも、「ご利益ありそう」という意味ではFearlessGirlも到底敵わない。行列に並ぶほどの情熱がなくタマには手が届かなかったけど、私も前脚を触っておいた。御神体は自由の女神で、金の雄牛はその狛犬のようなもの、恐れを知らぬ少女は道祖神とか、そんな感じ。今年もよろしくお願いします。あんあん。

活動履歴(2019年)*

書籍

ナポレオン連載「そのかねを」

OTEKOMACHI(大手小町)連載「気になるフツウの女たち」

すばる連載「我は、おばさん」

  • 2019-03-XX 集英社『すばる』で新連載準備中です。

cakes連載「#夫に読ませたいBL」

  • しばらく休載中です。

その他の記事

  • 2019-02-XX ジョー・リノイエ氏にインタビュー取材しました。近日掲載予定。

解説&レビュー

イベント登壇&番組出演

  • 2018-01-23 TBSラジオ「アフター6ジャンクション」出演が記事になりました。TBSラジオクラウドで本編も聴けます!→こちら
  • 2019-01-22 TBSラジオ「アフター6ジャンクション」出演。火曜担当の宇垣美里アナと「ミュージカル俳優」特集。

note連載

Medium連載

その他