2021-04-03 / 土曜の閑散

サイトリニューアルしました。新しいテーマは「Eksell」です。2012年にWordPressに移行して以来、頑なに文字ベースのレイアウトにこだわってビジュアル要素を入れることを拒んでいたのだが、もはや時代がそんなことを許してはくれないのだった。ブロックエディタにもだいぶ慣れてきたことだし、新しい環境で扱いやすいテーマが一番。

あんまり快適なので、今は英語版のポートフォリオサイトを、こちらのテンプレートでこのドメインで作り直す誘惑にかられている。当然そんなことしている暇はないんですけど。

引き続き生存確認にはTwitterを使っていただくとして、せっかく新年度なので少しずつ手を入れていきたい。まずはnoteを閉鎖すること。下書きにたまっている過去記事を増やしていくこと。もう少しこまめに日記を書くこと。心がけます。


3月30日にニューヨークへ戻って今日で中三日、入国後の隔離期間が明けた。おそるおそる近所を出歩いてみると、街はとても静か。連日報道されているアジア系住民を狙ったヘイトクライムに怯えていたが、そもそも人通りが極端に減ったため、人とすれ違うときにもソーシャルディスタンスを守るので、接触してどうこうするほど距離が近づかない。もとはごみごみした街だったので、それはそれで奇妙な気がする。隣接する大学キャンパスの長期休暇中はこんな感じだったが、さらに覇気がない。

半年前に家を出て東京へ向かったときは、まだ昨春からのBLM抗議デモを受けてショウウィンドウに板張りした店などが残っていた。そのまま潰れてしまったように見える飲食店も多い。ブランチの人気店もシャッターを閉めている。とてもイースター前の土曜の昼間とは思えない。コーヒーショップとペストリーショップ、99セントピザ屋にだけは長蛇の列。入店制限がかかってテイクアウトのみ営業のところに、カップルや家族連れが並んでいる。近所のランドマークだった教会がファサードだけ残して取り壊されていた。調べてみると昨年12月に火事で焼け落ちたのだとか。桜がほころんでマグノリアもよく咲いているけれど外気温は7度かそこら。晴天なのに見るものすべてが寒々しい。

帰国後の数日間、近所の馴染みの店からデリバリーでヴィーガンカレーだのロブスターロールだのブラジリアンストロガノフだの注文し、昼夜で二度三度に分けて食べては、時差ボケをやり過ごす繰り返し。夫婦揃って体調を崩したときのような見事な引きこもり生活だ。東京でもだいたい似たようなものだったし、この一年でだいぶ慣れてしまった。隔離期間後も似たような生活が続きそうな予感がする。

スーパーで生鮮食料品を少しと水を買って帰る。野菜売場でチルド棚の冷気とともに、りんごとパプリカとケールが混じったような匂いが襲ってくる。空気の滞っている場所が、日本の埃っぽいのとはまた違う、蝋のような匂いを帯びる。石造りの壁と塗料の匂いだろうか。数日経つと鼻が慣れて忘れてしまうのだけど、明らかに日本とは違う匂い。

違うといえば、寝て起きてすぐは喉がヒリヒリ痛いくらいですぐにペットボトルを飲み干してしまう。水を使うたびにハンドクリームを塗らないと追いつかない。風呂場に干した洗濯物も水切りカゴに置いた洗い物もすごい勢いでカラッと仕上がる。数時間ごとに顔がかゆくなる。そうだった、そうだった、日本の気候との違いは、この乾燥。懐かしいな、帰ってきたな。

ワクチンはちょうど先月末から30歳以上が接種可能となり、同世代の友人知人たちもどんどん受けに行ってSNSで報告している。州のアプリAm I Eligibleは形骸化、市のサイトを見ると自宅から徒歩圏内で何箇所も接種可能なスポットが示される。本当は先に隔離明けのPCR検査を受けなければいけないのだが、つい数日前に陰性証明書を取ってから体調に変化もないし、これもうワクチン打ったほうが早いんじゃないの、なんて話しつつ、近場の空き状況を見ながら予約するつもり。

と、書いているところに猛烈な眠気。しばらくは寝て時差ボケを直すのも仕事のうちだと思ってやっていくけど、眠っても眠っても疲れが取れないしクマはどんどん濃くなっている。