キネテツについて4001字以内で自由に語ってください。
ちょっと有村悠さん、仮にもインターネットという公の場で、こんな質問してこないでくださいよ。何をどう考えてもRTで拡散されたら御本人たちの目にふれる可能性だって十分あるじゃないですか。あなたナマモノ萌え腐女子にとって本人バレがどういう意味を持つかとか真剣に考えたことあるんですか。こちとらネットでも実名張って生きてんですよ、いい加減にしてくださいよ……ええはい、それでも、質問されたら答えます。ルールですから。「自由に」ってよくわからなかったので起承転結をなくして書いてみました。
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踊りながら告白します。私は10代半ばの頃、実在の人物団体等(=ナマモノ)であらせられる木根尚登さんと小室哲哉さんを題材にした性描写を含むフィクション、俗にいう二次創作やおいを書いていた過去があります。質問者の言う「キネテツ」とは、かつての私が熱狂的に没頭し今も変わらず萌えている、彼ら二名の排他的で異様な仲良し関係(*1)を指すものと解釈します。以下ではキテツと表記します。
*1:私は現実社会におけるミソジニックでホモフォビックなホモソーシャル構造への遣り場のない怒りを、「あいつらデキてるんじゃねーの?」とエロパロや萌えに転化させることで昇華させてきたところがあり、そのあたりの内面葛藤については共著『オトコのカラダはキモチいい』(2015年刊)などで詳しく言及しています。字数の都合で省いていますが、以下に頻出する「ホモソーシャルに萌えてきた」といった表現に、ホモソそれ自体を礼讃称揚する意図はなく、「男同士のクソデカ感情を性愛になぞらえて読み替えてきた」程度のニュアンスでお読みください。
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二次創作世界における木根×小室は、一言で語りつくすと私にとって理想の「姫と忠僕」カップリングです。私はTM NETWORKを聴きはじめる以前、小学校低学年の頃から、いろいろな物語世界で「姫と忠僕」という関係性に萌えていました。わかりやすく書くとこんな感じです↓
「ねえねえバイキンマン、アタシ壮大なファンタジー組曲作りたくなったから、アンタ原作の小説書きなさいよ!」
「ええー? んもー、ドキンちゃんはいっつもそうやって無茶振りするんだからー」
「囚われのプリンセスがアタシでね、かわいい女の子と食パンマン様が助けに来てくれる話なの」
「って言われてすらすら作れちゃう俺様、天才だな……はいはい、できたよ、こんな感じ?」
「わー、やったぁ! じゃあ次回作の主人公はー、うちのかわいい飼い犬がいいかなー」
「やだよ、本当に人使い荒いなぁ、ドキンちゃんギター抱えて宙吊りになるのがどんなに大変か知らないでしょ」
「何よ、アタシの命令が聞けないっていうの!? もうアンタなんか知らない、クビよ、クビ! 食パンマン様と二人でB’z結成する!」
「はいはいはい、書けばいいんでしょ、書けば……」
「あー、なんだか急にエクレアかシュークリームが食べたいなー、買って来なさいよね。ダッシュで」
「はいはい……」
あああああドキンちゃんかわえええええ!!……は? わからない? これ読んでもまだ私の萌えツボがわからない? じゃあ以下を読み進めても無駄ですね、お引き取りくださいよ。実在の妻子持ちの男同士が架空の肛門性交するとかしないとか正直どうでもいいんです。むしろ哲ッちぁんのお姫様っぷりの前では彼の性別が男か女かなんてことさえ誤差の範囲内、ちょっとしたアクシデントと思えるレベル……え? 思えない?
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よく誤解されがちなのでこの際はっきり書いておきますが、私はけっして食パンマン様こと宇都宮隆さんのことが嫌いなわけではありません。小学生当時はウツ×テツも嗜みました。ボクたち二人とも容姿端麗だからちょっと頬寄せときゃキャーキャー言われるでしょ、という金髪三つ編み策士の心の声が透けて見えるような公式セールスプロモーションにもとづき、晴海のコミックマーケットでもTMファミリーのやおい同人誌が大量に取引されていた時代です。この戦略は門下へと継承され、自重しない一番弟子によって歴戦の腐ANKSも軽く引くほどのあからさまな性的コンテンツがハッテンしていきました(TMはやおい、accessはBL)。しかしながら、TM NETWORKがB’zやaccessと決定的に違うのは、二人組ではなく三人組である点です。そう、私はウツが嫌いなのではなく、まるで木根が存在しないかのように描かれるお耽美系ウツテツ二次創作が大嫌いだったのです。だってTM NETWORKは、三人組ですからね! まぁデビュー当初はオフィシャルに木根さん存在しないことにされてたけどな!
幼い私は三組六通りのカップリングすべてを吟味した上で「ウツテツの絡みに木根も混ぜ、キネウツから小室をハブにさせないために、どんな物語が可能か」と論考を重ねた結果、キテツという解答へ流れ着いたように思います。小室と宇都宮の対腐女子戦略的に仕組まれた距離の近さ、幼馴染である木根と宇都宮のほのぼのする近さ、そして木根と小室のコンポーザー同士ならではの近さ……すべてが揃って初めてあの黄金の三角形が成り立つのであって、どれが欠けてもいけません。私が好きなのはこの三角形の均衡であって、どの二人が架空の肛門性交するとかしないとか関係無い。ここも誤解されがちですが、私エロはどうでもいいんですよむしろエグイので見たくな(ry。
とはいえ、ビートルズならジョン&ポール萌え、というのと同様に、TMでもソングライターの小室&木根が一番好きなのは否定しません。ごめんねウツ、三番目に愛してる。そもそも先生が最初に誘ったのは木根さんでボーカルは別の人が加入する予定だったわけですし。リーダーが想い描くファンタスティックヴィジョンを現実へと落とし込む際、一人の力ではどうしても欠けてしまう部分を二人で補ってきたのです。我々を魅了し続けるあのめくるめく金色の夢はすべて「木根くぅーん、なんとかしてよー」「しょうがないなぁ、はい、うつのみやたかし〜。どんな歌も歌えるよ」に端を発したとも言えます。おまいらマジ、のび太とドラえもんか。
キュートでわがままで気まぐれな姫と、ちょっと冴えないけど頼りがいのある下僕、という構図への私の萌えは、「Looking At You」をはじめとする木根バラにありがちな「色白で負けん気強くどんな男にもなびかない高嶺の花ヒロイン」を「手の届かない位置からそっと見守ってる僕」といった詞世界によっても補強されました。あんなんどう聴いても哲ッちぁんヒロインだろ。そんな詞をみつ子さんに書かせて肉食系ポテンシャル高いウツに歌わせて、そんで後ろでキャッキャと目配せし合ってるお花畑みたいな二人がかわいすぎます。
ちなみに私が一番キテツに腐っていた10代半ばというのは「終了宣言」後のこと。再結成をほのめかしながらもなかなか三人同時にくっつこうとしない、だけど二人ずつちょこちょこ絡み続ける、あの新しいセールスプロモーション戦略がとられた時期。幼馴染コンビは変わらぬ関係性を保ち続け、木根さんと小室さんも変わらぬ……いや、一層強固な結びつきを深めていた時期です。90年代半ばの「ちょ、あなたたちそんなに仲良かったなんて初耳ですけど!?」とツッコミたくなるイチャイチャコラボレーション、一人が「REMEMbER ME?」と問えば一人が「discovery!」と答え、そして一人だけ「looking for the FACES PLACES…」と迷子になったままの、野郎同士の暑苦しい相聞歌の応酬、時代の寵児がヒット曲に載せて深窓の美意識から繰り出す「昔はよかった」「おうち帰りたい」メッセージ……ほんとあの頃は、ベスト・オブ・マイ・ライ腐としか言いようがない。
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そのいち。デビュー前夜、木根さんが待ち合わせに実家の業務用車で乗りつけたら「ボク、こんなクルマ、ヤだ」と言い放たれ、アッシーにもさせてもらえなかったというエピソード。幼い頃からタクシーでお稽古に通っていた姫はその後、真っ赤なフェラーリの助手席に冗談飛ばす木根クンを乗せて高速ぶっとばして違反切符を切られまくるわけですが、ほとんど『ローマの休日』で御目付役を後ろに乗せてベスパで疾走する王女様です。ショルキーであちこち叩き壊す姿も借りたギターで人の頭ぶん殴る王女様に見えてきます。何この世界で一番おひめさま。
そのに。TKファミリー絶頂期、我が世の春を謳歌していた姫が深夜に泥酔してラジオ番組に乱入した事件。globeの残り二人そっちのけでデレデレに甘えきった態度を公共の電波で晒し「木根だけはボクがどんなひどいことしても笑って許してくれるよね?」と言わんばかりの横暴に、普段は陰口叩いて笑い取って飯食ってる木根さんでさえさすがに困惑しはじめた例のアレ。内緒で付き合ってるカップルの公開痴話喧嘩にしか聴こえませんでした。マジ、世界で一番おひめさま。
そのさん。某テレビ番組における「小室哲哉ジュニアの名前を考える」企画、私の朧気な記憶がたしかならば、他の出演者はいっさい差し挟まれず木根小室二人きりで進行するコーナー……うん、どういうことなの、どこの世界に我が子の命名について嫁のいぬ間に男友達と二人で決める父親が……? それ借り腹で生まれてくるおまいら二人の愛の結晶ですよね。ほんと、世界で一番おひめさま。
極めつけは50歳を目前に控え、ありえない罪状で逮捕された姫の「拘置所は寒い」コメント。これを聞いて我々はいっせいに「何してるのお世話係! 早くあたたかい毛布持って哲ッちぁん迎えにいったげて! ダッシュで!」と思ったわけですが、木根さんは嘆願署名をかき集めながら全身が痒くなるほどヌクモリティあふれる安心毛布ソング「春を待つ」を献上……なんだこの腐女子の無茶振り要求の斜め上を易々とこなすヘタレ攻、そして平然と享受する誘い受……あああああ哲ッちぁん世界で一番おひめさまぁぁぁぁ!! というわけで小室さん次のソロでは是非「ワールドイズマイン」をカバーしていただきたいです。
以上、はっきり言ってしまえばすべては「そういうプレイ」ということです。消しゴム信者帝国に敷かれた恐怖政治のもと、自分たち下僕がいかに虐げられてきたかを縷々訴えるときの木根さんは本当に嬉しそう。「木根クンのお尻の形はサイテー」と言われた話を披露して「あのひともさ、俺の尻の形なんかどうでもいいだろォ!」と逆ギレする、あの喜びようったら。お姫様の御機嫌ひとつでいかようにも扱われる己にマゾヒスティックな快感をおぼえ、お姫様への忠誠心を強くしていくのは、側仕えする木根さんや宇都宮さんも、その統治下で暮らす我々消しゴム臣民も同じですよね。たとえ虚像のプリンセスが世界中からそっぽ向かれても、木根さんだけはそうやって悪態つきながら姫を愛し続けてほしい、全世界を敵に回してもずっと姫の側にいてあげてほしい、ついでにウツも連れて来て「昔からわかってる、君は正しい」と歌ってあげてほしい……と願ってしまいます。
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この回答を作成したのは2012年4月21日です。公開が4月22日になってしまったのは痛恨の極みです。御寛恕ください。「4001」とか「4.21」とか何にこだわってるのか全然わからないよね。いいんです、こっちの話ですから。TM NETWORKについて詳しくご存じない方のために、以下に参考動画を貼っておきます。
■TM NETWORK「8月の長い夜」
http://youtu.be/NbcGtsfm__4
カップリングではなく「三人組」に萌えるとはどういうことか実感していただけるはずの一曲。
■TMN「Looking At You」
http://youtu.be/ZrqNXLGJXP0
「ヒロイン見てるだけ」系の木根バラの代表作。冒頭キャーキャー言ってる観客は全員キテツ派腐女子と思って間違いない。
■H Jungle with T「WOW-WAR TONIGHT」
https://www.youtube.com/watch?v=-vr6Bm21aJY
TKが絶頂期に忙殺されながら残した無数の「おうち帰りたい/スパ行きたい」系ソングの代表作。つらくなったらいつでも多摩へ嬬恋へ帰っておいでよ、と滂沱の涙を流したFANKS多数。「B-U-S-A-I-K-U-K-O-M-U-R-O」「先生と初めて会ぉーたのはー……」という相方パートは本来ならウツ&キネが吹き込むべき。
■木根尚登「Close To The Night」
https://www.nicovideo.jp/watch/sm3022897
本人たちにここまでおおっぴらにイチャつかれるとフィクションの二次創作とかむなしくなるよな……と私が同人活動から足を洗うきっかけにまでなった、木×哲×朋のすべてが詰まっている一曲。
■TM NETWORK「GREEN DAYS」
http://youtu.be/Oa4MNG_4W8E
対象がオッサンになったら萌える気失せるかと思いきや全然そんなことなかったぜ! 精神状態ギリギリでラリッたMCかます姫のワガママに嬉々として従う下僕ども。かわいい。
■木根尚登「春を待つ」
https://www.youtube.com/watch?v=hvZnevyiHW8
寒い冬が来るよ、と拘置所に届けられた毛布。ちょっとー、五十過ぎのノンケ男同士のくせにしらふでラブソング贈るとかマジきもいんですけどー(愛)!!
■supercell「ワールドイズマイン」
http://youtu.be/qrwVthk38b0
ええはい、小室先生は別にわがままなんて言ってないですよね、わかります。小室&YOSHIKI&初音ミクで「V3」結成して三人でこれ歌ったら無敵(と書いてエクスタシーと読む)だと思うのは私だけでしょうか。
■TMN「Nights Of The Knife」
http://youtu.be/dpy6AnEvvu8
本文中にわからない語句があった人はこの5分半を見ると大抵理解できます(例:宙吊り)。はいはい愛してる愛してる。なんだろうね。ぶっちゃけ近年の新譜とかろくに追いかけてませんけど、それでもやっぱり行きますよ、来週の武道館。だって春だもん。
私は自分が「腐女子」(厳密には、元腐女子の現ホモソーシャル萌え、程度か)であることを世間様に隠そうとは思わないのですが、やはり対象が非実在の漫画やアニメを用いた二次創作と違って、相手が実在の人物団体等であるとなると、ちょっと目にしただけでも御不快に思われる方たちが相当いらっしゃるのではないかと思います。それについては謝ります。
まぁでもご覧の通り、基本は「嫌なら読まなきゃいいだろ」というスタンスです。腐女子に向かって何かを夢想する行為自体を「そんなことは考えるな」と思想からして禁じることは、誰にもできないと思います。外野から「気持ち悪い」と言われて迫害されるのはもう慣れているから全然平気だし、そのくらいで引き下がるつもりもありません。我が身かわいさで他人にまで「隠れろ」と言って足ひっぱってくる人たちも嫌ですね。撃たれて死ぬのは私だけだから安心しろよバーカ、と思います。
でも、怖いですよ。私に嫌がらせをしたい輩がいるなら、今すぐこの回答のURLを関係者に送りつければいいんだものね。テイよくいけば私一人の人生くらいめちゃめちゃにすることも不可能ではないと思います。そうなる可能性があるとわかっていてなお、どうして私は、義務でもないのに、わざわざこんな質問に回答してあげてるんでしょうね。まぁ、この質問に答えないままザ・インタビューズを辞めたら、質問者たちから「逃げた」と言われそうな気がして、それが癪だったのかな。
この質問をもらって以来、どうにかして「やおい」というフレーズを使わずにうまいこと回答はぐらかす方法はないかと悩み考え続けていたのですが、どんなに隠しても過去の自分を消し去ることはできませんので、きちんと向き合って書いてみることにしました。
訊くほうは軽い気持ちで訊いたかもしれないけど、こちらは何日も何日も悩んで、「どうして私は腐女子を名乗り続けるのか」「そもそも、なぜインターネットに顕名でものを書くのか」というところまで突き詰めて考えて、それで「やっぱり書く」という結論に達しました。この判断は間違っていたかもしれないが、それはそれとして、大好きな木根さんと小室さんについて十数年の時を超えてあらためて何かを書いている時間は、(腐女子フォビアの人たちに何と言われようが)なかなか楽しかったですよ。
もしこの回答が御本人をはじめとする関係各位の目にふれ、かつ、笑って片付けていただけなかった場合は、昔の自分になりかわり、土下座で詫びることからご挨拶を始めたいと思っております。御本人たちに「やめろ」と言われたら止める、そのくらいの自制心は、さすがの私にもありますからね。人間だもの……あ、「Yes, I am a human.」ってこういうときに使えばいいんですかね? 笑。