鹿賀丈史御大は再演してほしい演目だけでも数えきれませんが、あえてこれから挑戦してほしい作品・役柄といったら、何でしょうか?
以前にも書きましたが、アンソニーウォーロウが演じた『ドクトル・ジバゴ』は、日本語版を鹿賀丈史主演で観てみたいなと思います。あんまり激しい動きもないと思うし、いま買い付けるなら初演は鹿賀様以外に考えられない。60代のうちに一度くらいやってみてもいいんじゃないかと。いかがでしょうか。
あと、御大の『ラ・マンチャの男』が観たいですよね……。高麗屋ラマンチャもそれはそれで素晴らしいのですが、おかげで他の日本人キャストがイメージしづらいというのはもったいない話。コンサート形式でもいいから鹿賀様が歌ったらどんなか観てみたいと思っています。『シラノ』世界初演に感激したのは「Alone」に幻の「Impossible Dream」を重ねたようなところもあるかもしれません。まぁ、まだ若いうちはシラノの再演を重ねていただけたほうが嬉しいですけれどね。
それから、どこでおっしゃっていたのか、御本人が森繁久彌の『屋根の上のバイオリン弾き』に感激して、自分も幾つになっても末長く舞台に立てる役者になりたいと思った……といった話をなさっていたはず。ああいうの聞くと、「YOU、テヴィエやっちゃいなよ、鹿賀&市村Wキャストでいいんじゃない」と妄想したりもします。いや、今のところはシラノで十分ですけどね。笑。
先日、Twitter上では「吸血鬼の役をやるなら『ドン・ドラキュラ』が観たい」なんて話題で盛り上がりましたし、これまたものすごく昔から『ファイブスター物語』の剣聖ダグラス・カイエン(ヒッター子爵)を演じてほしいという見果てぬ夢もありますが、まぁ、漫画実写化のお仕事を受けるのはほどほどにして、そのぶん舞台に心血を注いでいただけたらいいなぁ、という思いがあります。
少し視点を変えますと、鹿賀ファンには『せつない探偵・柚木草平の殺人レポート』原作者としておなじみの樋口有介の最新連載小説『猿の悲しみ』の羽田愁作。裏稼業にも手を染めて周囲からは悪徳弁護士と呼ばれつつ、お世話係の老嬢のお仕着せでダンディなスーツに身を包み、私生活がまったく謎のロマンスグレーな60代独身貴族、少女の頃に拾ったヒロインを陰日向に支えて更正させ、父娘ほど年が離れているのにちょっと好い雰囲気も漂っている……という、名脇役。これは完全に、現在の鹿賀様のイメージですねぇ。永遠の38歳・草平ちゃんをふたたび演じるのはなかなか困難だと思いますので、『猿の悲しみ』映像化のあかつきには是非、愁作ちゃん役でご出演いただきたいものです。