ザ・インタビューズ転載日記(のりもの)

車、バイク、自転車、鉄道など、なにか好きな「のりもの」はありますか



楽しい質問ですね。自転車が一番好きです。燃料の補給が要らず、自分で漕いだ分だけ進むというところが好きです。乗っているうちに身体と一体化するように感じられ、停めて下りたときに身体の一部をもがれたような寂しい気持ちになるところも好きです。街歩きをしていても、自分の足で歩ける距離というのにはやはり限界がありますから、そこそこの疾走感と、気が向いたらすぐに停められる気軽さを兼ね備えた、自転車があると鬼に金棒ですね。一時期はキックボード愛用者でしたが、やっぱり両足で漕ぐ自転車のほうが好きです。原付やバイクに挑戦してみたこともありますけれど、足を動かしていないのに自分の意志の及ばないスピードが出る、その機構が苦手で、うまく乗りこなせませんでした。自動車は、教習所内のコースを走っているときが一番楽しかったです。密度の高い東京の街中で「交通の流れに従って運転する」というのが苦手なんでしょうね。

公共交通機関では、子供の頃から通学通勤で慣れ親しんでいるから地下鉄が大好きです。明るくて狭苦しくて何も面白いことのない閉鎖空間、それが逆に、純粋に移動のための移動手段という感じがして。誰がいつどんなふうにこの穴を掘ったのだろうと想像しながら窓の外を眺めたり、いまどこの地面の下を走っているのだろうと想像したり、轟音とともになまぬるい風を受けたり、地上出口からさしこむ光を見たり、地下駅から地上へ出るために長い上りエスカレータに乗って運ばれたりする時間も好きです。だからこそ、たまに、地上をまっすぐ走る電車、たとえば夕暮れ時の中央線などに乗ると、景色の移り変わりが美しくて、それはそれで見惚れてしまいます。単線で二両編成などの電車もかわいくて好きですが、長く連結された電車内を目的の車両まで縦に歩きながら、龍のお腹の中にいるような気分になるのも好きです。

バスも好きです。非常にまわりくどい移動手段で、普段はめったに乗りませんが、いつ乗っても、どんなに短区間でも、小旅行のようにテンションが上がります。時間が有り余っているときは、電車で行けばうんと早いところを、わざわざ時間をかけてバスで行ったりすることもあります。そこまでいくと娯楽の一種ですよね。ローカル線で旅をする感覚に近いのかもしれません。市電やケーブルカーも好きです。その他「はたらくくるま」こと商用車や建設機械の類いはどれも好きで、工事現場など飽かず眺めています。