ザ・インタビューズ転載日記(レミゼ最強キャスト)

okadaicさんの考えた最強のLes Misérablesキャストを教えてください。

ラミンジョ最強伝説
ラミンジョ最強伝説



うー、これは、非常に難しい質問です。でも逃げるわけにもいかないので手短に回答します。とりあえず、Wikipedia記載のプリンシパルキャストだけで御容赦ください。

■ジャン・バルジャン
鹿賀丈史ですね。世界中の名だたるミュージカル俳優が演じている役柄だということは重々承知なんですが、やっぱりちょっと、他には考えられないです。ちなみに、CDと動画で聴いてるだけですが、英語圏では断然ジョン・オーウェン・ジョーンズが好き。アルフィー・ボーの萌えバルジャンとかドリュー・サリッチのロックバルジャンは、あくまで別腹であって「最強」ではないよね。まぁ、ちょっと上手いテノールが「Bring Him Home」歌えば感動して当然ですから。それだけでは「最強」にはなれないし、むしろ歌唱以外の部分で「最強」になっちゃう鹿賀様が、本当にすごいと思います。神の子バルジャン。狂気のバルジャン。10周年コンサートでも明らかに一人だけ浮いてるもんなぁ。アジア人だとか関係なく、質感が違う感じ。まぁこの御方はバルジャンに限らず何をやらせてもそうなんですけど……。私にとって「鹿賀丈史のバルジャン」というのは、『レ・ミゼラブル』のみならず、すべてのミュージカルの中でも「最強」の存在です。

■ジャベール
これも鹿賀丈史かな。鹿賀バルジャンに鹿賀ジャベールを合わせるわけにはいかないのが悩ましいところですが、「それぞれのコンサート」で聴いた「ひとり対決」(バルジャンとジャベールの掛け合いを一人で演じ分ける)には本当に驚きました。いやー、こんな演目で主演が一人二役の日替わり交代キャストとか、日本版の初演はマジ狂気の沙汰ですよね。いいぞもっとやれタイムマシンに乗って観に行きたい。実際に生で観たうちでは村井国夫と川崎麻世が好きでした。外国人の演じるもっさりした警部殿と見比べると日本男性の演じるジャベールは皆さん、ポニーテールのおリボンも乱れ髪も警棒捌きもぴんと伸びた背筋も差し出した指一本に至るまで耽美で、じつに素晴らしいなと思います。日本のジャベたん全員最強。しかしやっぱりこの役は「若さ」が大事な条件だと思うので、そこいくと還暦の鹿賀ジャベってのは別腹の扱いになって「最強」とは違うか……。今一番観たいのはハドリー・フレイザーです。観てないから最強認定はできないけど、かなり私好みのジャベのはず。

■エポニーヌ
島田歌穂。ここは譲れないですね。他のどんな上手い役者を観ても「歌穂ニーヌの役を別の人がやっているんだ、これはこれでいいな」としか思えない。あのレア・サロンガですら「へー、あのキムの人、歌穂ニーヌの役やっても上手いのね」という感想ですので……。正直、歌手としての彼女をさほど評価してるわけではないんですが、それとこれとは無関係。歌穂ニーヌは、歌穂ニーヌです。

■ファンテーヌ
これもエポニーヌとまったく同じ理由で、岩崎宏美。仕方ないですよ。英語圏はじめ海外のファンテーヌは、気が強すぎるんです。ちっとも夢破れてないんです。工場の時点からスベタ臭がするんですよ。世間知らずの清純派お嬢さんがみるみる転落していく様子をきちんと描ききっているのは日本版だけ、もしあの白く可憐な夢見る夢子ちゃんが泥まみれに穢されていく嗜虐的な感じが日本版特有のレイプファンタジーだというなら、私は日本版ファンテーヌこそ最強だと思います。そして、熟女になっても見事にそれを演じきっているヒロリンが最強でいいと思います。

■コゼット
誰でもよすぎる……。役柄にもまったく思い入れないし、日本版はもちろんのこと、英語圏でも「これだ!」と感じる人はいないですね……。ただ、まぁ、禅マリ46歳の相手役できるのは神田沙也加だけだと思います。君たち二人のその過剰さ、マジお似合いよ。そこは譲れない。そして、鹿賀バルジャンに「おいで」ってされてくるくるくるくる回されるリトルコゼットの役は、私がやりたいです。そこも譲らない。

■マリウス
石川禅(※ただし46歳に限る)。え、もう書くことないじゃないですか……だって、マリウスってゆったらすなわち禅マリのことじゃないですか……。他のマリウスと比較とか無理でしょ無理無理。あ、でも若き日のマイケル・ボールのマリウスは是非観てみたかったかな。今は別にいいですが。笑。そうそう、鹿賀様の存在を例外の中の例外とするなら、「25周年コンサートの、マリウスだけ禅ちゃんに変えたら最強」というものぐさな回答もアリかもしれませんね。笑。

■テナルディエ
これまた思い入れがないので誰でもいいんだけれど、コンサートで観た限り、マット・ルーカスはいい仕事してたと思います。後になって彼の実年齢を知ってびっくりしました。テナルディエは痩せ小男派と下卑デブ派とに好みが分かれると思いますが、後者はマット最強でいいんじゃないですかね。少なくともボー様のバルジャンと組むと萌え度では最強。ずるい。

■マダム・テナルディエ
これまた思い入れがない……。夏木マリや前田美波里がやってたとき、美しすぎるといってちょっと不評だったりしたんですが、私は結構、あのくらいが好きでしたね。美女なぶん、だめんず度が高く業の深い感じがして、双方上手かったと記憶してます。2011年に観た阿知波悟美もよかったですが、初演がどんなだったか知らないからなぁ。決められない。

■アンジョルラス
ラミン・カリムルー。ずっといろんな組み合わせを観続けて、やっと見つかった「私の」崇拝すべきアンジョルラス。ハドリーのグランテールとワンセットで、彼らこそが文字通り、私の「最強」「最萌」グラアングラです。25周年コンサートを観る以前なら岡幸二郎かアンソニー・ワーロウと答えていたかもしれませんが、今や桁違いですね。それまで十数年間、下手すると二十年近く、バルジャン&ジャベールを軸にしか捉えていなかった『レ・ミゼラブル』という物語の、全体の見方を覆されるほどの衝撃でした。金髪じゃないとか、リストバンドが中二病っぽいとか、中の人のtweetがいちいちアホの子っぽくて残念とか、小さな問題ですよ! 黒髪おでこはチャームポイント! グッとガッツポーズしただけでフランス全土を焼き落とせそうな、貴様はフェニックスの聖闘士かっつうくらい熱い暑苦しいアンジョルラス最高! まぁ異論は認めるけど……。

■ガブローシュ
ロバート・マッジ。彼はあらゆる意味で「最強」の称号が相応しいと思います、こちらは割と異論は認めません。だって、まさかガブローシュの子役にウィンクされて鳥肌立つとは思いませんでしたもの、私……。ああいう子を観ると、日本の芝居は世界レベルにはいつまで経っても到底敵わないんじゃないかと途方に暮れますよね。でも、一度だけ観た小宮山明日翔もそれはそれですごく上手かったので、再演のあかつきには彼を目当てに観たいです。とかゆって、新演出版で再演される頃にはマリウス役者の歳になってたりして。

結局、圧倒的に観ている本数が少ないので、選ぶほど役者の候補を思いつきませんでした……夜な夜なYouTubeを漁ってみた結果、ポーランドとかドイツとかノルウェーなんかにも、ちょっといいなと思う程度の役者さんはたくさんいましたが、全編通して生で観たわけでもないのに「最強」とは言えませんからね。