すごーく頑張らないと『メトロに乗って』のDVDを観てはいけない、というルールを課して二週間ほど経過したが、おそろしいことに一度もすごーく頑張った日がなかった。そしてまた二週間もしないうちに飛行機に乗るのだなと思いながら、一昨日も昨日も読書と運動の他には何もしていない。ニューヨークらしいこと何一つしていないんだけど、捨てる神あれば拾う神ありと信じてまた家から一歩も出ずに求職活動のようなことをしている。一年前の今頃は「send over your rate」と言われただけでビビッていたものですが、もはや何も感じない。無職は痛いが落ちても凹まない。素晴らしい門構えの大企業のサイトをみては「みんな真面目に働いていて偉いなぁ」と尻込みしつつ、埋まっていくアポイントは友人との遊びの約束ばかり。
ところで我が家の流行語に「テロメアを伸ばす」というのがある。これがものすごく便利な言葉で、やるべき仕事があるのにダラダラしたり、うっかり寝過ぎてしまったときなどに、伸びをしながら「うあー、テロメア、伸びたわー」「やっぱ自分と向き合う瞑想の時間を持つ効果は絶大だわー」などと言う。先週から今週にかけては、だいぶテロメッたよなぁ。専門医の診断も仰いでいないくせに「なんだか鬱だ」などと言うよりずっとよい。
染色体の端にあり細胞分裂のたびに短くなるため、年とともに縮むと考えられていたテロメア。ところがテロメアを伸ばして細胞から若返る方法があり、がんを防げる可能性もあるというのだ。それは日常で実践できる生活習慣。最新の研究から健康寿命を延ばす秘策と命の神秘に迫る。
https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/3974/
子供の頃から超のつくロングスリーパーで、半分死んでるようなもんだね、と言われながら生きてきた。一応、社会に適応しようと努力をしたこともあり、「みんなと同じ1日24時間を与えられているのに私ばかりが寝すぎている、こんなに活動時間が短いのでは、どんな競争にも勝てないのではないか……!!」というのが不安で不安で不眠になったりしていたのだが(本末転倒)(なんでも過剰)、最近は「神様から与えられている活動時間がその他の人類よりも圧倒的に少ない、ショートスリーパーと比較したら1日8時間ずつくらい不戦敗のハンデを負わされている状態なのに、それでも38年間でこれだけのことが人並みに達成できているというのは、これはだいぶ頑張っているのでは!?」と自分を励ます方法(という名の面の皮)を体得した。
挙げ句の果てにテロメアである。これからの時代は健康寿命勝負だとか、生活習慣の中に瞑想を取り入れよ、などと言われては、もう戦う前から勝つ気しかしない。「細く長く」なら任せろ。でもテロメラーゼが過剰になると逆に特定の癌のリスクも高まるんだってさ、油断は禁物ですね。ていうかきちんと科学的根拠があるのは承知で言うけど日本人ってこういう「よいことだと信じてやりすぎると逆に罰が当たる」系の戒めで話を締めるが本当に好きよね、やっぱり『ドラえもん』読んで育ったせいですかね。