京王線に乗って「宮沢和史の世界」展へ

 世田谷文学館「宮沢和史の世界」展(しつこく)。いや、今回は友部正人の黒板を見に来た。「11月18日はたくさんの詩の誕生日」。MIYAの字とイラストはじつはちょっと苦手。友部さんの字は好き。ねじめ正一さんの字もなかなかいい。壁のらくがきスペースには、直筆の『都市バス』の詞が書いてあって嬉しい。展覧会開催の知らせを聞いたときから頭ン中を回っていた。

 ほろ苦い日はバスにのり、となり町まで走ります
小銭集めて宇宙へのおてがるな旅 ミステリーは続く

 でき心でついたうそを信じたやつが連れてきた
黒いマントの殺し屋が追いかけてくる 僕をさらいに来る

 運転手さんとばしましょ
ちっちゃなバス停なんかとばしましょ
後部座席でうたた寝て
鳥や猫や犬や虫でも気の合うやつはつれて行くよ

 都市バスの中 からっぽ頭 遠くへ逃げる勇気ないなら
都市バスの中 世田谷の中 雲隠れの日々を楽しもうよ

 人恋しい日はバスに乗り、古本屋の前で下車
他人の心のぞきたくて、涙でしわになったページさがす

 ハイカラおばさんどきなさい
そこはいつもの僕の席
めがねはずしてうたた寝て
平和や愛や夢や希望もうそでなければ連れて行くよ

 都市バスの中 からっぽ頭 遠くへ逃げる勇気ないなら
都市バスの中 世田谷の中 雲隠れの日々を楽しもうよ

 たぶん一番よく聴いた曲。今でも散歩時のテーマソング。中学生のときは、好きなバンドの曲中に自分の住んでる区が登場するなんて、それだけでびっくりだった。

 たくさんの資料を丁寧に丁寧に読んで、やはり、詩人や作曲家ではなくパフォーマーとして好きであるな、と感じた。いや、詩を書き曲を作る彼が嫌いなわけではない。それを「伝えていく」彼のことが好きなのだ。目立たない場所にラブレタァを貼りつけてくる。

 ライブ会場でも不思議に思うが、支持層が本当に幅広い。男はだいたい似たテイスト(ただし10代から余裕で60代まで)だけど、女性はコンフォートシューズの日教組系オバサマから、ホコテン経由かまやつ女、そして白いファーダウン着てピンクのヴィトン持ったギャルがパンダ目をうるうるさせながら作詞ノートを覗いていたりする。

 のんびりと玄関口のPVを見た。別設の『手紙』『いつもと違う場所で』は映像を丸暗記してて自分が怖い。MIYA監督、永瀬正敏主演の『Seven Days, Seven Nights』の映像は初めて見た。「西日の逆光と自転車(ママチャリ)」「軽トラの荷台の人物を追走」は、それだけでヤヴァイ。王道。王道といえば『Spiritek』の映像も流すべきだと思うのだが。そして、ああ、イントロだけで私を泣かす曲『真夏の奇蹟』。

THE BOOM『真夏の奇蹟』

 このPVのMIYAになら殺されてもいい! と思うくらい、好きだ。ちなみにコーラスはディック・リー。こちらもネ申。この人たちの歌声を聴いてると物欲が減ります。とか言った舌の根も乾かぬうちに財布に金がなくなるまで買い物をした。micro memoを買いに行ったはずがCDを1年分くらい購入。ああ、衝動に火を点けられた。