安野モヨコ『働きマン』には相応の感情移入をしたけれど
『サプリ』には、ハッと我に返るような痛いとこ突かれた。
あれもこれも欲しがる主人公、自分のことのように苛苛する。
通勤カバン選びのエピソードがそのまんま自分だと思った。
大学時代の研究室の伝統「椅子3つ寝」が社会でも有効とは。
卒業してからは一度もしてないのでQOLが上がった気分(錯覚)。
社員同士、同期同士が顔を知らないような大企業でなら
頻繁に社内恋愛もあるんだろうな、と思った。単純に駒が多いし。
仲の悪そうな同士でなぜかつるんでいる女の友情というやつを
すっごく嘘くさく空虚なものに描いているのも見事である。
周囲の男たちは、自分のほうを向いてくれる瞬間だけ
大ゴマにアップですごく素敵なふうに描かれているのに、
ページめくって一歩引いた視点から見るとまったく無能男ども。
このへんが、女性の女性による女性のための漫画の残酷。
凹んでるとき男のヒトに抱きしめられるとほわーんてなるのー、
というあの感覚だけを抽出して反芻させて読者に共振を煽る。
そうそう、本音だなあコレ……しかし男性がかわいそうでもある。
男やもめの子持ち演出家くんがかわいいなと思った。
実写なら宮藤官九郎とかが演じてくれると萌えます。
いや、後朝に子猫の話をしに戻ってくるとか、キモイけど。
年下男はそういうイタさもかわいいのではないかと。漫画だし。
しかし、F1漫画はなぜこんな変なタイトルをつけるのか。
内容が強烈によくても2秒で題を忘れてしまう。命名:西村しのぶ現象。
「広告代理店が舞台で、忙殺されてる優等生長女が主人公で、
一人称で突っ走らず色恋の多角的分析を楽しむインテリ指向性、
モノローグよりダイアローグを重視している点が好感度高い」
……とメモしておかないと、大事なこと全部忘れちゃうよ。