夏至の日の赤葡萄酒

 夏至の日に、仕事で昼間から飲む。昼間から飲むのが仕事である夏至。午後2時から5時半くらいまで、5人で集まってワインを3〜4本あけ、明るいうちに解散する。

 CAFE PICON BER
 http://salus.jp/ensen/area/detail.php?v=%2Fgourmet%2F20030221

 とてもいいお店だった。フランスワインで口を慣らし、とびきり上等のチリワインをいただく。生ハムとクレソンのサンドイッチ、ピザやシーザーズサラダも美味しい。広くて薄暗いトイレにパリの地図が貼ってあり、一瞬どこにいるのかわからなくなる。マレ地区の安ホテルを思い出す。

 置いてあった『風の旅人』をながめる。普段キチキチの雑誌をつくっているので、こうしてゆるく贅沢に組んである誌面を見ると時間の流れ方の違いを感じる。同じエッセイが載っていても、『風の旅人』と単行本とでは、読むスピードが変わるだろう。昼間から下ネタ話。童貞がどうとか、バイアグラの哀しさとか、男子校/女子校論とか。

 ソーセージ盛り合わせがあんまりにも美味しかったので、遊歩道を挟んだ「冨永精肉店」へ案内してもらって同じものを買う。いい雰囲気。豪徳寺住民のおすすめ、青いぎざぎざ模様で包まれたハムはピスタチオ入りのもの。並びにはおいしいハチミツ屋さんもあるのだが、水曜定休だった。

 カメラを忘れたのが口惜しい! 商店街にはミシン屋があって、ひなびた喫茶店があって、天井からコードが伸びる大きな黒いアイロンをあやつるクリーニング屋があって、14時にひらくカフェバーがあって、踏み切りがあって世田谷線が走っている。文句なし。小田急線の駅は立派になりすぎたし、各駅停車しか停まらないけど、なんだか、すっかり豪徳寺に住みたくなってしまった。

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 帰宅してから夜食代わりに、冨永精肉店のハムでレリッシュを巻いたものをつまむ。ウマー。西洋の酒が合うのだろうが、私はもう酒なんか要らないな。この肴で満足。最近ずっと真面目にケモノの肉を食べていなかった。久しぶりにきちんとした肉を食べると格別の味だ(って今週は金田中の最高級しゃぶしゃぶも食べたか)。肉は肉で生きていくためには必要なものなのだろう。

 


【追記】(2019/10)
これは一週間のうちに羽生善治さんと保坂和志さんの両方にお会いして来週死んでもいいなと思っている週の日記だな。