目黒駅のフロイライン

 目黒駅のホームで、私立中学の制服を着た、透けるような肌に灰色の瞳をした白人系の美少年が1人ですっくと立っていて、見惚れる。学ランに白いニット帽をかぶっているズレた感じが帰国子女っぽい。あまりに華奢すぎて女の子が男装してるのかと思った。

 と、同じ制服を着たモッサい体格の思春期男子たちが柱の陰でゴソゴソ相談した後、部活の先輩後輩なのか「ぉ、おーす」とか言いながらちょっかい出しに行って、でも一言二言交わすのが精一杯で群れのまま逃げるようにホームの奥へ去って行った。美少年、形式だけの会釈して、きょとんとしてまた1人で電車を待つ。

 伯父と姪、その一部始終を観察して、悶絶。ああ、フロイライン……! むさくるしい男子校に咲いた一輪の白百合よ。その無垢な美しさこそが罪。たまらん。この世に美少女なんていない、いるのは美少年だけだ、と言った稲垣足穂は正しい。