ザ・インタビューズ転載日記(土地4)

地方、田舎に生まれていたらどんな人生になっていたと思いますか



「土地」に関する質問、四問目。昔から頻繁に「三重県に生まれ育った自分」というのを想像して、現実と比較しながら生きてきました。母親の実家が三重なので、帰省中に近所の子たちと遊びながら、このまま夏休みが終わっても彼ら彼女らとずっと一緒に、祖父母の家からこちらの学校に通うことになったらどんな感じかなー、というのは、つねに考えていたことです。

その結果として「土地よりも家庭環境のほうが大きいだろう」と思います。何しろその田舎の祖父母というのは二人とも教師でしたから、孫の私もどうせそこそこ勉強ができてしまい、柄にもなく学級委員とかやっちゃって、そこそこの進学校へ上がり、大学進学を機に親元を離れることを画策し、でも海外留学とまでは踏ん切りがつかず中途半端な距離にある国内の大学へ進み、実家よりはちょっと都市部に一人暮らししながら、勤め人になる……うん、今と変わらないじゃないか。大学一年生のとき祖父母の家へ行ったら、一緒に遊んでいた同い年の子がさっそく子持ちになってて大層驚いたものですが、あれはあのまま向かい同士の家に住んでいても、やっぱり驚くことになったんだろうと思います。

もちろん、オタク度などはずいぶん変わっていたと思います。東京の女子一貫校というのは、腐女子を醸成するのに最も適した環境ですから。田舎の共学校に通っていたら、きっとここまでひどくはならなかったと思います。しかしながら一方で、母の後輩にあたる友人、プロのミュージシャンがラジオ番組でかける曲を借りに来るというレベルのレコードマニアで、音楽の話で意気投合して親より親しくなり今でも一緒にライブへ行く仲の彼は、私が空想していたその同じ田舎の進学校から早稲田へ進んでずっとそうやって生きて来て、大阪に住んでも東京に住んでもまったくペースを狂わされずに、ただひたすらに淡々と、コレクター系の音楽オタクなので……。そこも、じつはあまり変わらないのかもしれません。むしろ地方に住んでいたほうが、今の私よりも遠征力が身についてオタク度に磨きがかかっていたかもしれません。恐ろしいことです。