2005-03-08 / 主なき存在

戦争反対=戦死上等の私でも、軍隊の名残には心惹かれるものが幾つかある。詰襟の制服。行進とマスゲーム。手旗信号。男のママゴトとしてのボーイスカウト。視覚化された階級差。無用の宇宙開発。

名残、形骸化。ファッション、トマソン。かつて意味を持ち、そして失った物事は、誰のための存在でもないことがいじらしい。ベルリンの壁の欠片。最古の橋ポンヌフの名。ピクトグラムの黒電話。

だけど私は、飛ばない豚のフライトジャケット、前髪を垂らす娘の三角布、伊達眼鏡などはどうも嫌いだ。服飾品にはいつも、纏う人の邪念が含まれてしまう。