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2015-08-04 / 渡米前後日記

快眠、やや寝坊。朝食を摂る。6月にも滞在したホテルのウェイターは我々のことを覚えていて「Good to see you again!」の挨拶から、すらすらといつものメニューを述べる。ブラックコーヒー、オレンジとグレープフルーツのジュースを一つずつ、一人はペストリーセット、一人はヨーグルトグラノーラ、水は氷抜きで。コーヒーのお代わりを持って、ラウンジで預かっている原稿チェック。思ったより時間がかかり、まだ戻せず時間切れ。

10時過ぎに新居へ。洗濯物など不要な荷物を運び込む。あれこれ片付け物をして、空になったトランクを地下倉庫に詰める。管理人はじめ、いろんな人たちが順番に挨拶してきて一度に覚えられない。お隣さんにも遭遇、もふもふしたおとなしい大型犬と女性、こんど大学生になる娘。大変plasticな笑顔で隣人を歓迎してくれる。早口で聞き取れなかったが、もふもふした大型犬の名前だけ覚える。

SOHOののトラットリアで10ドルランチ。トマトクリームのフジッリと、茄子とズッキーニのピザ。どちらもすごいボリュームで大満足、パンを残す。AppleストアへiPhoneを買いに行く。しかし身分証明が不十分ということでうまく買えず。DMVへ行って運転免許証の代わりになるNon-Driver’s Licenceを取得せよとのことだが、オットー氏は出向くと同時に免許証更新の試験を受けろと言われるそうで、そりゃ勘弁、というわけで保留に。キャリア会社へ直接行けば何とかなるかも、と言われる。

ケーブルテレビの業者が来る前に、急ぎテレビを買いにユニオンスクエアの「BEST BUY」へ。ワンフロアの静かな店内はガランとしていて活気がなく、店員ばかりが多い割に商品の品揃えも薄く、陳列も超テキトーで空きが目立つ。日本人の感覚からすると「えっ、廃墟!?」と疑いたくなるような覇気のない家電量販店。世界中から来た外国人観光客が「ビックカメラ」なんか訪れて、入り口で店内を見渡しただけで鼻血噴きそうな勢いでテンション上げて大興奮のち爆買いしている、その理由をようやくきちんと理解する。あの賑やかなBGM、隙間なくびっちり敷き詰められた豊富な品数そして在庫、有り余る専門知識をふんだんに駆使して何を訊いても的確に答えてくれる店員、どれもすごいことだったんですね……。

店員が「持ち帰れるようにhandleをつけてやる」とドヤ顔するので見ていたら、梱包用段ボール箱の上辺中央に縦に幅広のセロハンテープを渡しただけ。持ち上げると、本体の重みでみるみるテープが伸びて剥がれていく。慌ててタクシーを止め、箱についていた持ち手も使いながら二人で自宅まで運ぶ。ひどい適当さだなぁ、と声に出して言うと、「そのうち日本の過剰包装のほうをキモチワルイと思うようになるよー」とオットー氏。盗難防止のためか、購入済みレシートに警備員のサインをもらってから出る仕組み。

近所のAT&Tショップへ行ってみると、パスポート&ソーシャルセキュリティの組み合わせであっさり契約できたので、家族契約扱いにしてiPhoneを2台購入。プランの関係でポータブルWiFiも手に入ることになった、こちらは入荷待ち。手元のタブレットでどんどん手続きが進むのは日本と同じ、だがいちいち「approved!」とか言われて不審がつのる。クレジットカードとパスポート番号なんて紐付いてないだろ絶対に。電話番号を好きに選べるのだが、憧れの「917」始まり(「212」同様マンハッタン限定の市外局番で空きが少ない。東京03みたいな感じ?)は当然ゲットできず。普通に「646」の一覧から選んだ。いや、そのダサさ、田舎者にはよくわからんが。

学割で20%引きになるというので、その手続きもする。「学割って、どこの大学? へぇ、パーソンズ! 俺の友達も行ってたよー、マジでweirdな奴でさー……まぁ、良く言えばartyってことかな?」とショップ店員。その場では「芸術家肌(artistic)」みたいに聞こえたが、よくよく考えたら「arty」って「芸術家気取り」みたいな意味で、「weird」のほうがまだしも褒め言葉なんじゃないの……? 在校生の私を気遣って言い換えたはずなんだが、ニュアンスがよくわからん。

ちょこまか宿と往復しながら、インテリア用品を見に行こうと出かけるも、オットー氏、時差ボケがあまりにひどくて途中退場。私だけ、ユニオンスクエアの「ABC home&carpet」などあちこち見て回る。欲しいものはたくさんあるけど、部屋が狭いし、家具はでかいし、一つ一つの値段も高い。日本の安くてコンパクトなインテリア雑貨ってすごいんだなぁ、と思う。雨宮まみさんがエッセイに書いていたのと同じチェストの色違いを発見する。

玄関マットと地下倉庫につける錠前、iPhoneのケースなど、こまこましたものを買う。雑貨屋の店員に話しかけられ、「日本人? 学生? 秋入学で着いたばかり? NYU? おー、パーソンズ! ようこそニューヨークへ!」という、いつものやりとりをする。「学生? NYU?」は、このご近所の定番挨拶なんだろう。

完全に体調を崩してダウンしてしまったオットー氏のためにジュースとヨーグルトを購入、「CAFE ASEAN」で軽めの食事、ミーゴレンとカリカピタン。食べ終えると私も眠くなって爆睡。時差ボケが少しずつよくなっている。