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ザ・インタビューズ転載日記(陽水ユーミンYMO)

okadaicさんのツイートを見ていると文化的に豊かな家庭で育ったのだなぁとうらやましくなります.そこで,自発的にモノを選ぶようになる前に親から与えられたもの(例えばベタなところでは絵本とか映画とかですがもっと広く取ってもらっても構いません)で良かったなぁと思うものがあれば教えてください.


これは即答、「YMO」「井上陽水」「松任谷由実」です。

私の母は子供のために好きでもない子守唄を流すといったことはいっさいしない人でした。童謡のカセットテープも「あたしこの曲嫌い」と勝手に早送りされたりして、選別して残されるのは「コンピューターおばあちゃん」「メトロポリタン美術館」「ラジャマハラジャー」……そして「あの歌を作った人たちの、他の歌も聴いてみる?」と全然別のレコードをセットし……あの、単に自分がそっち聴きたいだけですよね、母上。YMOについては、「世界で一番カッコイイものが東京で作られているって、最高にカッコイイでしょ」みたいに言い聞かされて、へー、そうなのかー、と思って育ちました。バブル絶頂期のことです。物言いに時代を感じますね。「あなたもそういうカッコイイものをたくさん吸収するのよ」「うん!」と頷いて、そうして「初めて自発的に選んで好きになった」のがTM NETWORKで、周囲の大人たちにさんざん嘆かれたわけですが……これ、私と同い年の坂本美雨嬢がまったく同じ道程を辿ってるんですよね。我が家はともかく、あんなスゴイ家に生まれ育ってすらそうなのかと、彼女のことはいつも他人と思えません。

そうやって家庭内のあらゆるチャンネル権を独占している母に「何か日本語の歌をかけて」と頼むと大抵が陽水かユーミンで、彼らは私にとって歌のお兄さん、歌のお姉さんみたいな存在でした。それでまた母が、ひらがなも書けないような子供たちに「なんでこの人が謝ってばかりいるのか、本音はどうなのか考えてごらん」(御免)とか、「自分が後ろから追いかけて来てほしいのに、私の声に振り向いて、って要求は位置関係がおかしいわよね」(夕闇をひとり)とか、歌詞の内容を延々とレクチャーしてくれるのです。国語のテストで苦労しなかったのは、こうした家庭内教育で「深読みする力」を鍛え上げられたおかげだと思っています。いや、でもさ、未就学児童に「恋人がサンタクロース」聴かせるとか、普通に考えたら超ひどくないですか……。

両親やその友人たちが、私たちを子供扱いせず、いつもいつも「小さな大人」として接してくれたことには、大変感謝しています。そのことが人格形成に及ぼした多大なる影響も自覚しているつもりです。しかしながら、前述のような我が母の振る舞いには、子供に文化を与えるといった意図はまったく感じられず、単に子育てより自分本位がまさるサブカル系ヤンママだったというだけのことだと思われます。だって私、初めて映画館へ連れて行かれて観た映画が『グレムリン』で、それがトラウマになって以後、まだ子供なのに、ぬいぐるみの類いが大ッ嫌いになりましたからね……なんか、そういうの、「文化的に豊か」って言わないと思うんですよ……。