相変わらず、寝ても寝ても眠い、起きれば起きたで具合悪い、というのが続いて、もはやダッシュで登校というのもできなくなっており、とぼとぼ歩いて行って、連続で朝一番の授業に遅刻してしまう。猛省。とはいえ、直していった課題7と課題8はそう悪くない評価だった模様。来週がファイナル。
ここに愚痴っても仕方ないが、Timの授業でも次のプロジェクトはブックデザインなのだった。しかも、Helenのブックデザインの授業が「三部作」モチーフに移行した途端に、こちらでも題材が「三部作」。そしてまた「過去の装幀は諸君をpoisonするから見るな」「イメージは自分で作ったものだけ使用可」「手作り感あふれる手法は大歓迎、そう、たとえば、描くでもなく、切り貼りでもなく、刺繍なんかしちゃってみちゃったりなんかする、とかね!」……おま、その条件もうHelenで手一杯だよー! 私がHelenのほうでもう4週連続くらいチクチクチクチク「刺繍」の装幀をrevisionし続けていることを大半のクラスメイトは知らないわけで、なるほど、と懸命にメモを取っているのだが、おまえら、刺繍だけはマジやめとけよ!
一瞬、「これ、自由にタイトル選べる三部作の装幀を一つだけ作って、二人の講師に同じもの見せても、バレないんじゃね……?」という悪い考えが頭をよぎったのだが、それは一発OKが出る場合のみ。二人とも何度でもやり直しさせるし、同じもの見せてもバラバラのrevision指示を受けたところでやれることに限りが生じて詰むのは同じだし、むしろ別タイトルより逃げ場が減るかもしれない、そしてポートフォリオには別々のアプローチのものが点数多く載るほうがいいので、断念。
題材は「同じ著者の三部作」「同じ著者の別タイトル三冊」「同じジャンルで別著者の一冊ずつ」どれでもいいのだけれど、作業しながらクラスメイトたちが「同じ作家の本を三冊も、なんて、そうそう読んでないよねー」「うん、だから同じジャンルのほうが選びやすいよねー」というような話をしていて、軽く衝撃を受けた。いや、でも、普通はそうなんですよね……。私、とにもかくにも活字の本を読むのが遅く、周囲の先輩方の読書量がハンパなく、出版業界に勤めている間ずーっとそれがコンプレックスで、期日までにある作家の全著作を読んでくるとかがマジつらくて、いや読むこと自体はむちゃくちゃ楽しいんだけど、期日を区切られた上で内容をごっちゃにしないように感想メモを取りながら上司にも目を通される記録をつけるとかが本当に本当に苦手で、「こんなにつらいんなら、私、本当は本を読むのなんか好きでもなんでもないんじゃないの!?」「この程度の読書愛で世の愛書家の皆様にお届けする作品を送り出す側にいるのは間違ってるんじゃないの!? 死にたい」と思い悩んだり、していたのですよ。落ち着け、タコツボ。オタクでも何でもない普通の人は、同じ作家の本を三冊もなんて、なかなか読まない。どのエピソードがどの作家のなんという作品に描かれたものかを仔細に記憶してないと死ぬとか、世に出てるCD音源を全部を聴き込んでからでないとそのバンドのファンを名乗れないとか、ポケモンが何匹増えても全部言えるかなできねばマスターでないなんて決まりは、オタクの世界の外には、ない。むしろ、そういうライトな層にもふと手に取ってもらえるような、それでたった一冊でも一生分満足してもらえるような読書体験を、と考えて作るほうが正しいのではないか。とぐるぐる考えていたら、そのクラスメイトの会話に加わりそびれているうちに授業が終わった。
先週に引き続きファッションドローイングワークショップ。相変わらず、みんなよくしゃべる。日本人の友達たちも、手を動かしながら英語でガンガン雑談している。私がグラフィック科で足踏みしている間に、ファッション科の子たちは、東京にいた頃よりずっと英語が上達している、気がする。それどころか、ロシア人からロシア語を、台湾人から中国語を習い、彼らには日本語の発音を教えたりと、キャッキャしている。すごい、留学生っぽい! 沈痛な面持ちでインターン情報と溜息の交換ばかりしている我々グラフィック科と何が違うんだろうか……勢い……? まぁしかしこの「おしゃべりしながら手を動かす」というのは、とてもいい何かの訓練になりそう。
ぽっかりあいた時間、Helenからのお達しで「今すぐ行け」と言われたThe Drawing Centerの展示を観に行く。行けと言われたのは階下の「Please Make This Look Nice」展なのだが、階上のLouise Despontの初個展というのもなかなかよかった。街じゅうで、しかも家からこんなに近くで、こんなにたくさん展示があるのに、ほとんど行けていない。空き時間が2時間あればこれだけのものが観られるのに。とはいえ次の予定があるのでギャラリートークの途中で退散。