「ソーシャル時代に女がものを書くということ」終了

10月7日、下北沢B&Bでのトークイベントにご来場いただいた皆様、ありがとうございました。

女子校で12年間一緒だった幼馴染、大学時代の同輩や後輩、乙女美学校のOGとその旦那様、出版社時代の同僚、担当編集者、プロの作家やライター、「残念炎上事件」の張本人などなど……「えっ、あなたが来るの/来てたの!?」といったお客様が多くて驚きました。来るなら先に言え。それぞれの分野について私よりよっぽど詳しい人々へのさまざまな「釈迦に説法」感が積み重なり、最終的には思い返すたび「おまえ何様やねん」と自分へのツッコミが止まりません。編集者ってあらゆることが広くて浅くて、あと基本的に人前に出る仕事でもないので、いろいろ至らなかった点は何卒ご寛恕ください……。
スタッフの皆さんの談話を鵜呑みにするならば(そう、鵜呑みにしていられたら幸福ですよね……)、「開店以来の予約者数、滅多にない来場者数」で「こんなに笑いの絶えないイベントは久しぶり!」とのこと。あんなシャレオツ空間の楽屋で、店長の元重慎太郎さんに「やー、今夜はドッカンドッカンでしたね!」と両手をワキワキさせられてしまい、「そんな、此処『ルミネtheよしもと』じゃないんですから……」とショップコンセプトの先行きに不安を感じたりもしました。
とはいえ、顔馴染みの友人知人の来訪以上に嬉しかったのが、初めてお目にかかった皆さんと終演後にお話しできたことです。同情でも憐憫でもなく恩を売るでもなく、ただただ興味本位で、何者かもよくわからないこの二人組をわざわざ見に来てくださったわけですよね。本当にありがとうございます。
中には、スタッフの誰かが適当に書いた煽り文句「プロのライターや編集者になりたいと考えている人たち、また、ネットでモノを書きたいという人々、必見のイベントです!」を鵜呑みにしたのか(本当、鵜呑みにするのはよくないですよね……)、「岡田有花さんや岡田育さんのようになりたいのですが!」と声を掛けてきてくださる女子学生の姿も。ビール飲みすぎてハイになり適当な応答をしてしまったのが悔やまれますので、あのとき伝えたくてうまく伝えられなかったことを、ちょっと書いてみようと思います。

「ライターになる方法をおしえて」と訊くような子はなれないでしょう (枡野浩一)

これは私の大好きな枡野浩一さんの短歌で、就職活動中の学生に何かコメントを求められると、必ずといっていいほど引用しているフレーズでもあります。いきなり「私、どうしたらいいんでしょうか?」と訊いてくる人に限って、その前段階でこちらに渡してくれる「私」についての情報量が少ないよなぁ、と思うことが多いです。そんな少ない情報にもとづいてこちらが超テキトーにその場で渡したアドバイスを、そのまま鵜呑みにして信じてしまうような心持ちでは、そして翌日には別の人のところへ同じことを訊きに行って別のことを言われて同じように鵜呑みにしていては、いつまでも「なりたい私」には到底なれないんじゃないかなぁ……と、他人事ながら心配してしまいます(ね、鵜呑み、ダメですよ、イカンですよ。自戒を込めて……)。
質問をするな、相談を持ちかけるな、と言っているのではありません(むしろイベントの盛り上がり的にはもう少し質疑応答が欲しかったところ!)。ただ、「編集者とは?」みたいな問いかけは、同じお店で夜な夜なトークイベントに登壇している別のベテランカリスマ編集者に、私だって訊きに行きたいくらいの、深遠な質問なんですよね。本編で話した「その場その場を楽しんで、つねに新しいものを作りたいと思えるか否か」の他に「向き/不向き」を判定するものはないと思いますし、何かを実際に始める前から「クリエイティブになれたら」云々と口に出して言っていると、口だけぽかんと開いたまま、ますます手のほうが動かなくなるんじゃないか、とも思います。
これも本編で話したことですが、私は子供の頃から自分の周囲にいる「ほっといてもどんどん自分で何かを生み出す人たち」に魅了されてきました。なりたいとかなりたくないではなく、誰に頼まれてもいないのに黙々と何かを作っている、作らざるをえない、そうナル前にそうデアルという人種は、この世の中にたしかに存在します。プロのクリエイターでなくとも、自分で料理や手芸するのが得意で出来合い(レディメイド)のものが大嫌いな友達とか、頼んだ枚数以上の原稿を書いてくる文芸部員とか、そこに楽器があれば勝手に俺ソングを弾きがたり始める子供とか、要らんもんいっぱい買ってきてマイホームの室内をあれこれ魔改造し続ける両親とか。
そういうものの延長線上に「職業」がある、それぞれがそれぞれのそういうもので食っていく、というのが理想だよな、と考えていますので、「才能がなくても今から何かを身につけてその分野で就職できたりするものでしょうか、その何かとは何ですか?」といった質問をされると、「この人は『仕事を探す』こと自体が不得手なのでは……迷わず悩まず明日からすぐ就けるような職業のほうが向いているのでは……」などと、こちらのほうが悩んでしまったりもするのです。
以前、ザ・インタビューズでの質問には、こんなふうに答えました。http://theinterviews.jp/okadaic/1577192 要するに今回のイベントは、岡田有花と岡田育による「俺の嫁」についての、ほろ苦いノロケ話でした、というだけ。ネタの一つ一つをマジに捉えて、必死にメモを取っていた若い人もいらしたようですが、とにかく「話半分に聞いとけよ!!」というのが心配で心配で、慌てて筆を執っています。
さて、というわけで久谷女子プレゼンツ「WEB女子対談」シリーズ、おかげさまで過去二回とも大盛況、大好評のうちに大成功をおさめましたので、店長やプロデューサーの藤村さんから口々に言われた通り、第三回、第四回、とシリーズ化して、いずれは総勢十余名の久谷女子メンバーが入れ替わり立ち替わり登壇し、B&Bを乗っ取るくらいのつもりで継続していきたいと思います!! だってお店のスタッフさんたちがみんな「また是非やってください」と言ってたもんねー!!(だから、鵜呑みにするなと……)