2016-11-23 / ももクロとサイダー

19日土曜。今に始まった話じゃないですけど「estela」のブランチが本当にヤバいんですよねー。ヤバすぎてヤバい以外の語彙を失う。そして何度来てもブラッドケーキとラムを食べてしまう。このブログたぶん「NYダウンタウン贅沢食日記」(※ただし日本人標準サイズ2人で夜100ドル以下、昼50ドル以下)とかにしたほうが断然アクセス数伸びると思うんですが、まぁアクセス数伸ばすためにやってるわけじゃないですし、気になった情報は適当にぐぐってください。旅行中の有閑マダムの日本語ブログみたいなやつとか、「イル・ブコの元シェフが手がける」「オバマ大統領が来た」「2014年開業で最高の店」みたいな記事がヒットします。今知りました。知らんで通っててすいません。

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夜は友達に誘われて、ももいろクローバーZの「アメリカ横断ウルトラライブ」NY公演を観にタイムズスクエアのPlay Station Theatreまで。NY在住のガチ勢の方たちがチケットをダブらせてしまったそうでご相伴にあずかることができた。もちろん初めて。最前列を攻めるよりは会場全体の様子が知りたいので最後方の収録用カメラ脇にあるジャンプ不可のお立ち台に陣取る。有給取って遠征に来たという女子モノノフに「こんなこともあろうかと」と予備のペンライトを分け与えていただき本日限定あーりん推し。ちなみに隣も誘われて来た初参戦組だったらしいが「公式じゃなくてすみません〜」と言いながら使い込んだキンブレを振っていた。ここは本当にニューヨークなのか。
ざっと観た感じ、目立つ順番に「まるでももクロのことしか頭にない日本人モノノフ」「同非日本人モノノフ」「ジャパンカルチャー全般が好きでアイドルも大好きだから応援グッズなど一通り揃えて来た普通のオタク」「なんか楽しそうだからあんまり気合い入ってない丸腰で来たオタク(含む俺)」「わけもわからずとりあえず来ている日本人」その他という順番で、やっぱり二番目と三番目を観察してるのが楽しかったです。外国人客は盛り上げ上手、なんていうけどあれはあくまで一般論、はるばる海を越えて来たと思しき、頭おかしい、見た目もおかしい、ガチの日本人モノノフが存分に盛り上がって場を牽引しているからこそ、彼らもそれに倣って自我を解放できている、という感じ。オバンギャの皆様が率先して翌日に響かない適切なヘドバンの仕方を教えてあげないと若い子もなかなか暴れられない、というのに似ているか(似てないだろう)。なお二番目クラスタの人々は最前列に陣取っていたのか公演中は後方からまるで見えず実在を疑うレベルだったが、終演後にぞろぞろ出て来てロビーで大規模オフ会を始め、ヴィジュアルから何から圧巻だった。ヲタに国境はないな。
冒頭「夢の浮世に咲いてみな」(KISSコラボでMVが長添雅嗣&すしおのやつ)の後も、『セーラームーンCrystal』あり『ドラゴンボールZ』の「『Z』の誓い」あり、「いやー、背景に流す映像が豪華でいいよなぁ」という感想。このおかげで大掛かりな舞台装置が何もなくても「辺境のオラが町にもジパングのアイドル様が来た!」感がちゃんと出ている。もちろんガチ勢の皆さんはアニメコラボ以外の曲もたくさん聴きたかったのかもしれないが、「セーラームーンの曲、キタ〜!」って感じで喜んでる上述三番目クラスタの姿とか観てると、この演出が圧倒的に正しい。二次元から飛び出して来た少女たちが、二次元とは違う地球の重力の制約を受けながらも一生懸命に踊っている。背景にアニメが流れているから「手の届く距離にこの子たちがいることの有難味」が増す。子供の頃に縁日で観たスーパーヒーローショーなど思い出したりする。あと、日本の四季を紹介するというテイの着替えタイム演出(サポートメンバーが舞踊と祭太鼓でつなぐ)の間、みんな正直あんまり真面目に舞台を観てなくて、感想をおしゃべりなどしている、でも着替えた5人が出て来たらみんなウオーってなって一糸乱れずペンライト振って、なるほどこれが「アイドル」のための演出のメリハリかー、と新鮮でした。ミュージカルの現場だったら「おまえら闇広以外もちゃんと観ろよ総合芸術だろ」ってキレるところですが、文化の違いだからいいんです。
それで私は「まるで知りません」というテイで行ったのだが、掛け合いや振り付けが難しいということもなくその場で飲み込めてしまい(新曲初披露の場で予習大前提の盆踊りを踊らされたりしてきた場数でしょうか……)、知ってる曲が流れるとジーンと来て、そして知ってる曲が意外と多くて、いやー、気づかぬうちにずいぶん刷り込まれていたのだなと驚く。「サンタさん」のれにちゃんパート、ちゃんと客席乱入してくれてたらしいのだがイマイチわかりづらくて残念だったなー。そして明らかに元曲への思い入れゼロであろう、誰かに連れられて来てさっきまで大声でくっちゃべってたような客まで、曲中「ココ☆ナツ」のテンドンを理解して大喜びして一緒に踊っててウケた。そして「知ってる曲多くて嬉しかったけど、なんか、なんか足りてない気がする……」と思いながらアンコールしてたら、E2で最後の最後にさらっと「走れ!」歌ってくれて、これは超グッときました。いっつも大ラスなんですかね? 本当に彼女たちが海を走って来た感じがしたよ。
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20日は吉田けえなさんと「ABC Kitchen」でランチ。ここ、日本人同士で来るといっつも(テーブルも用意できるのに)バーへ通される気がする……けど気にしない、気にしない。普段は昼酒を飲まないと決めているのだが、今日は特別にハードサイダーを頼み、いないところで二人を引き合わせてくれた雨宮まみさんに献杯。シリアスな話から可笑しな話まで、とりとめもないおしゃべり。
ハロウィーンの前までは街じゅうがカボチャ味のあれこれに占拠されるのだが、11月に入ると、街じゅうがサイダーの味になる。私は、このサイダーというものが、本当に好きでな……。見かけると飲んでしまう。Wikipediaを何度読んでも違いがうまく説明できないのだけれども、けえなさんと飲んだのは果汁が発酵してアルコール分が含まれている「酒」扱いのハードサイダー、日本だとフランス語読みの商品名「シードル」で想起されるものと同じ、林檎酒。でも炭酸のきつさはまちまちで、メニューでシャンパンのすぐ下に「スパークリング・サイダー」と記されていると、なかなかハードめ。一方でワインの横に記されていると、微発泡で甘い白ワイン程度の感じ。たまに「もはやリンゴ酢の域では」くらい酸味が強いものもあるが、それはそれで大歓迎。
とはいえ私が一番好きなのはやはり、単なる果汁100%リンゴジュースで、無濾過未発酵、炭酸はなく褐色で、強めのスパイスを入れてあたためて飲む、ホットサイダーである。例の「飲むアップルパイ」みたいなやつです。普通のジュースのノリでスーパーで安売りされているほか、喫茶店などで冬季限定メニューに加わる。アシが早いぶん自家製が美味い気がする。マーケットで見かけると不可避。そして、衣料品などの店舗が店の中でアロマキャンドルかなんか焚いてサイダー風の香料をふりまいていることがあって(Anthropology貴様のことだ)、あれはものすごいホリデー気分を喚起させて著しく財布の紐をゆるめるので恐ろしい。日本でいうと「甘酒」くらいの位置づけでしょうかね。春夏の間は頑なに置かない店も多いのだろうが、ニューヨークではアルコールとして東海岸の地ハードサイダーを一年中常備している店も増えてきているように思う。
21日は『クリーピー』と『キャバレー』(栗本薫で鹿賀丈史のほう)を観る。さばみそでサンクスギビング休暇の前夜を祝う。というのは言い訳で、22日火曜の宿題が全然できなかったのだった。この日はサンクスギビング休暇の直前で、学期全体のスケジュールの都合で、「火曜日だけど水曜日の時間割になる」というDesignated Day。世間一般には水曜の午後からが休みで、本番は木曜日。Sallyの授業だけ出て、しばらく自習してのち、日本人の女友達と二人で「Pata Negra」へ。ものすごい人気店なのに20時くらいから客が私たちだけになって驚いた。さすがのサンクスギビング休暇である。23日、24日は街がまったく機能していないので家でゴロゴロ過ごし、とはいえニューヨークにおけるそれは「いつもは満席で入れない人気店が空いている」程度の騒ぎであり、他の地域における「街全体が機能停止しており家に十分な食料を備蓄していないと死ぬ」感じとはずいぶん違う。「RUFFIAN」やら「Mogador」やらでごはん。25日からフィラデルフィア旅行。