最近、Twitterで盛り上がっていたのは「日本の美を世界に発信したい若者」について。香山リカ氏が『ぷちナショナリズム症候群』という本を書いたのが2002年だそうで、当時からうまい言い回しだなと思ってはいたけれど、その後15年かけてこんなふうに見事に(エスカレートして過激化するのではなく、ほとんどその逆として社会に)浸透していくものなんだなぁ、と感じ入る。しつこいようだが、感じ入っているだけであり、「今後は若者に対して、こういうメンタリティかもしれんなと身構えながら接していこう」と気を引き締めただけで、批判したり憂えたり脱洗脳洗脳を仕掛けようとしたりしているわけでは、ない。
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それから、ケヴィンスペイシーの問題について。これは、いずれきちんとどこかに書かなくてはいけないなと思っている。社会問題としてではなく、私個人の問題として。私は、本当に、本当に、ケヴィンスペイシーが大好きだったんですよ。先日ようやく生で観劇ができたのが心底嬉しくて、そのとき買ったマグネットを、石川禅マグネットの横に並べて冷蔵庫に貼っているような、そういうファンだったんですよ。今はそのことを過去形で語らなければならないことがとてもつらい。悲しい。でも、あの謝罪文はないわ。マジでない。まるで擁護のしようがない。こんなことであんなに偉大な役者生命が絶たれてしまうなんて大変もったいないけど、あんな立ち居振る舞いをしても役者生命が絶たれず今後も平気で出役を続けられてしまうようならそのほうがガッカリなので、少なくとも今は、半永久的に地に沈めていい。最終シーズン目前で主演者を引きずり下ろした『ハウス・オブ・カード』シリーズ制作陣が、無理のない新脚本で因果応報の美しい美しい悪滅エンディングを迎えることだけをひたすらに祈念している。
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「#日本の漫画とファッション」については、7日に第一回勉強会を開催。予想外の出来事として、タッグを組んだ教授が本当に何もまったくマンガのことを知らなかったので、こ、これは、対外的に発表するとしたら私の個人プロジェクトになってしまいそう……? だけど、小さく始めつつ、米国英語圏でのコネクションはフル活用させてもらいつつ、大きな研究プロジェクトにしていけたらよいのですが。まぁ論文の書き方もおぼつかない状態なので、まずは日本語&英語併記のエッセイシリーズなどだろうか。そんなものに興味を持ってくれるマスメディアは存在するのか。連載媒体のご提案などお待ちしております……!!
このあたりから気温が下がって摂氏一桁台に。マイナスまで下がる日もあったかな。金曜日、真夏に買ったくるぶしまであるアニエスベーのコートをおろす。ボタン位置の関係で膝まで割れるデザインなので一瞬怯んだが、まぁ暖かい。これにエディバウアーの防水防寒ブーツを履けばなかなかに最強。みんなどうせエディバウアーのことバカにしてるでしょ、まぁ私はバカにしてましたけどね、渡米後初めての冬に100ドルくらいで買ったブーツが軽くて薄くて大変素晴らしいぬくもりで、ニューヨーク程度の気候ならまったく問題なく一冬過ごせるので超おすすめ。って、もう書いてある。二年間、冬場はほとんど毎日履いていた初代がくたびれてきたので、一片の迷いもなく似たのをもう一足購入。底面がビブラムに進化したこれが税込150ドル。東京で履いてたブーツは接地面から痺れるような冷気が刺さってくるので使い物にならず、でも積雪少なめの都市部で単に防寒対策とするだけならビーンブーツやSORELまでは要らないよね、という絶妙なニーズにぴったりなので、皆様も是非。日本ではみんなきっともっとオシャレなブーツを履いているんでしょうが、私は出張もこれで行く気まんまんです。アウトドアブランドだけど黒無地なら十分フォーマル!(←ダメなアメリカ人風発想)
8日水曜、もう二年以上住んでいるアパートメントのバスルームに「隠し戸棚」が存在していたことを、夫婦揃って、初めて知る。海外ドラマで薬瓶が隠してあるような、よくある「鏡裏の収納」なんだが、うちはバスルームに大小二つの作りつけ鏡があり、どちらも厚みがまったくないので、鏡以上の何物でもないと思っていたのだ。小さいほうの鏡、開けたら開いた、壁をくり抜いて奥があって、中まで鏡面張りでぴかぴかに輝いていた。びっくり。たぶんこの調子で、まだまだ知らない秘密が隠されている部屋なのに違いない。
知らないことは他にもたくさんあって、今はオーガニックのど飴の研究をしている。これもまた、乾燥で喉を痛める頻度が高まり普通の日本製のど飴では追いつかなくなってきたものの、Drug Facts(医薬品表示)付きのものは逆に強力すぎて本気でヤバいときしか使いたくない、中間の落としどころとして、ちょっと高級めのオールナチュラル健康食品的なやつをいくつか買ってみたのだ。ハーブきつめの、薬臭い味のやつがプラシーボ効果があって好き。高価なやつは、どいつもこいつも「オペラ歌手の楽屋での必須アイテム」といった推薦文が付されている。日本なら「タカラジェンヌや演歌歌手も愛用」みたいなノリの広告宣伝なんだろうが、別に全米、言うほどオペラ聴かんでしょ、というあたりが可笑しい。ちょっとヨーロッパ風パッケージなのも可笑しい。舶来物を有り難がりたい心理はどこでも同じだね。
……と楽しくAmazonショッピングして、おいしかったから何なら定番商品として買い足そうと思っていたキャンディが、マルチ商法企業傘下かつ別銘柄でニセ科学紛いの商品も出していると知って己の情報弱者ぷりに凹んでいるのが今です。エッと思ってパッケージ裏返したら本当に「メイド・イン・ユタ」って書いてあった。モルモン教徒とネットワークビジネスの州、みたいなそういうレッテル貼りのステレオタイプはよくないよ! と思ってはいるが、完全にソレである。Amazonレビューもなぁ、「高価い」「まずい」という不評はあっても「生産流通工程に疑問」みたいな感想はつかないものね。そして日本語圏でならたとえば「あの有名医大の医師も太鼓判!」的に書いてあるところの医師が怪しそうかそうでないかの区別は大抵「空気」で読めるものだけど、外国語圏ではこういうのに「ピンと来る」センサーの感度も圧倒的に鈍るわけで。よき勉強代を支払いました……。まぁマルチでハッピーな人たちにだってマルチでハッピーになる自由と権利と合法性があるのでしょうが、私は御免蒙りたいので、プラシーボ効果だけならおとなしく普通の工場で作られた市販のケミカルな飴をなめていようと思います。