本編最終回に加え、おまけ後日譚15ページ+本誌読み切り。
さまざまなファンの期待にすべて応えるかたちで堂々の最終巻。
岩代氏は、あとのない掲載順を背負って週刊連載を重ねながら
それはもう飛躍的に「漫画」が上手くなっていった。
毎回熱い、飽きさせない。いつも見せ場があって、しかも続きが気になる。
読んでいるこちらは、毎週、胸のすくような思いだった。
「作者・岩代俊明自身が、戦闘中に進化するタイプの少年漫画ヒーロー」
そんなふうに考えたものだ。
ただし、そのぶん失われたものもある。
ハセ編の頃、余白と構図の使い方が美しかった端正な絵柄は
人物がどんどんデフォルメされて背景の書き込みが激しくなり、
顔(とくに目)のアップばかりが多用されて、正直お腹いっぱい。
作画重視の読者からは「絵柄がとっつきにくい」と評される作品になった。
本作の最大の魅力である流麗なストーリーテリングの妙を見せるには
この荒っぽい絵柄変更が正解だったのかどうか? ちょっと疑問が残る。
最終巻の後日譚も、話の内容はどうでもいいのだが、絵柄がなぁ……。
せっかくのラブラブシーンでもギャグっぽい風船顔というのはいかがなものか。
そんなイチャコラした冬悟×姫乃は、ぜひ初期の絵柄で見たかったよ!! キー!!
まあ、あんな王道ラブを真面目に気合入れて描かれたらそれこそ悶死してしまうので
あのくらいの出力でよかった気もしますけど。正視できないよ、ごちそうさま。
だが私も管理人さんのコートにくるまれて二人羽織したいぞ!!
(ああ、言っちゃった……)これからの時代、イチャイチャの代名詞は
屋根の上にてパジャマ姿で朝焼けを眺めながら
8歳上の管理人さんのコートの中で二人羽織
です。しかも「新しい入居者が来ると心配」とまだ見ぬ恋敵全般に嫉妬しながら
「家賃のことなら気にしないで」と世帯主宣言する女子高生。
惚れました、ひめのん。
話はね、話のまとまり具合は、もうどうでもいいですよ。何されても大満足です。
とにかく連載最終譚が素晴らしかったので。
後付は後付でしかないと割り切って、公式同人誌として存分に楽しみました。
15ページに詰め込めるだけ詰め込んで、大きな矛盾もなく、
新事実は「解決・納得」というより「新たな伏線」という感じ(笑)。
轟はやればできる子だと信じていたよ。やりましたよ坊ちゃま。
誘拐目的が皆目わからないが、貧民の子が富豪の子へ復讐を遂げたということ?
いや、ただ単に坊ちゃまを完全に我が物にしたかっただけだと思う。
澪×白金オフィシャルきたー!! 報われない感じがイイ!!
雑魚寝シーンで澪にかけられていたのは白金の上着ですよね。
寝ちゃった後でそっとかけてあげたのならいい。
澪は勇一郎に、白金は澪に、永遠に片思いの青春していてくれ。
そして、グレイとガクは「愛に生きる男」として対になっているのですね!
ちょっと感動してしまった。ガクの存在が明神×姫乃に華を添えるように
グレイがいるからキヨイ×コクテンが活きるのだね。むっつりすけべ万歳。
ここまできて、物語を収束ではなく解放させるところが
さすが岩代先生だな、と思います。困ったモンです、ありがとう。
おかげさまでいつまでも『みえるひと』に夢を見つづけることができます。
今から新連載が楽しみ。本当におつかれさまでした!