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うつくしい説明文「バレエ」

この項目では、あるものが文章で説明されているということ、それ自体がうつくしい、と思える説明文を蒐集していきます。とてもきれいなものは、具体的な映像にされると、壊れてしまうのかも知れない。文学の一行や、漫画の1コマに流れる音楽たちにも似て。

(1)ルネッサンス期のバレエ

バレエはルネッサンス期のイタリアに起源を発する。当時、宮廷では余興として詩の朗読、演劇などが演じられていたが、その一部としてバロ(Ballo)と呼ばれるダンスが生まれた。宮廷の広間で貴族たちが歩きながら床に図形を描いていくもので、それをバルコニーから眺めるのが当時の楽しみ方であった。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%90%E3%83%AC%E3%82%A8

これを読むに、歩く軌跡で描かれる幾何学的な図形は、靴先にチョークなどつけて線が引かれるわけでもなければ、床にあらかじめ描かれた線をなぞるものでもない。おそらく、とてもゆっくりと歩むのであろう踊り手たちの、その舞踏が辿る、見えない図形を、見えないものを、バルコニーから「眺めて」楽しむ遊び。舞台装置は宮廷の広間の上に、舞台は脳の中にある。脳の中で、透明なフィルムに描かれた舞踏の軌跡を、舞台装置へそうっと重ねる。そのレイヤー上にある図形の、なんと、うつくしいことか。