note有料マガジンからの転載
私はTumblrをまったく活用できていないので、代わりになる場所を探して、試しにnoteでやってみることにしました。しばらくは無料でいきます。たまってきたらマガジンに課金するかもしれません。最初から連載のつもりで書くので、タイムラインに挙げないでマガジンにだけ記事更新をかけたいのだけど、そういう機能はついていないのかな……。
連載『とっかかりはひっかかり』第一回は、Twitterで見かけたこの画像について。
新しいタブレットPCの宣伝広告に使われていた、スペックを説明するための画像なのだけど、パッと見て「文房具っぽいなー」と思いました。カワイイとかカッコイイとかオシャレといった好意的な感触とはまったく違う、「文房具っぽい」だけで引っかかった。
私が感じたこの「文房具っぽい」とは何か、と考えていくと、Surfaceそれ自体が文具のようだというよりは、「Surfaceの広告画像が文房具の広告っぽく作られている」ということではないかと。
「写真を使えばいいのにわざわざ線画に起こしている」「しかも線画の描線がわざとヘロヘロのフリーハンド風」「文字組みもやけにダサい」というのが、実際の本体価格以上にチープな印象を与えている。高価なものを高価なものとして売るのではなく、まるで安価なもののように着目してほしいという意図が窺える。その見せ方が「最先端のかっこよさがあるわけではないが、安価で多機能で便利な文房具」っぽい。
そんなこんなで「ノートやボールペンや貼って剥がせるテープを新調するように、気軽にタブレットを買い換えてみてはいかが?」というメッセージ性を(勝手に?)感じる。ちなみにSurfaceの製品ウェブサイトを眺めてみると、まったくそんな感じはしない、ごくごく普通のページデザインに見える。この図解だけが「文房具っぽい」。
http://www.microsoft.com/surface/ja-jp
広告の作り手が無自覚なのかもしれないし、この画像を任されたデザイナーだけが、そうした効果を意図しているのかもしれない。水色一色しか使わない辺りには故意を感じるから、後者かな。「キック」を囲むフキダシや、ペンやUSBメモリをさらにわざと手描きっぽく描いている、この描線は故意の発信元である「中の人」が引いている、そんな感じを受ける。(実際にその人が引いているかどうかはどうでもいいことで「感じ」が大事)
線画はSurfaceのブランドカラーである水色で描かれているのだけど、これが大手文具メーカー・キングジムのコーポレートカラーに酷似しているのも一因だろう。正直、私の目にこの画像が引っかかった理由は「キングジムの新製品かと思った」というのが大きい。その後「いや、キングジムというより、むしろ製品自体はコクヨっぽいな」と思い直した(細かい)。ということは、キングジムやコクヨのトーンをまったく知らない外国人などが、同じ画像を見て「文房具っぽい」とは思わないのかもしれない。
http://www.kingjim.co.jp/
いずれにせよ、もしこの線画が黒一色で描かれていたら「ダサいフリーハンドだな、もっとパキッとピクトグラムっぽい画像にすればいいのに」で終わる気がする。今後、何かで一色の線画を使うときに参考にしよう。