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2023-05-09 / さようならのあと、unknown

「さようならTwitter」がバズッたのでTwitterの新規フォロワーが数百人近く増えた。ウケる。以前、「やめる」と宣言したアカウントを早々にリムーブする千人単位の人たち、どんな損得勘定なんだか意味わからんね、と書いた。今度は逆に「やめる」と宣言したアカウントをぞろぞろ新規フォローする人たちがいる。そちらの心理は私にもちょっと理解できる。これまた以前も書いたこと、平安貴族の「出家」ってこんなステイタスだったんじゃないか。表舞台から身を引くけど存在感はまだある、というような。活きた権力者でなくなれば用済みだと縁を切り捨てる人のほうが数は多いけれど、鄙びたところへ廬を結べば、それを覗きに来る人もいる。「じつは私も、いずれは出家してみたいと思っているのですが……ぶっちゃけどんな心境ですか……?」と拙宅周辺をうろうろしておられるのであろう。わかるよ。知らんけど。

「いつ退会するの!?」「全削除してしまうの!?」「過去ログの移植先は!?」といった問い合わせもいただいたが、「殺す気はない、別れるだけだ」と書いた通り、アカウントは保持し続けるつもりなのでそこはご安心ください。でも、イーロンマスクが次に打つ手は「休眠アカウントの削除」ですからな。ちょっと目を離した隙にいつでも全部が吹っ飛ぶ可能性はあるので、まったく安心はできませんね。あと私のtweetは37万超あるので簡単に移植できない。アーカイブ取得さえ20GB超でうまくいかないことがあるのだし。今がそうだし。

で、8日、Blueskyで初めて「バズッたなぁ!」と実感を得たのがこのpostになった。みんな同じことを考えているよね。Blueskyのほうは150人くらいフォロワー増えた。あとInstagramも100人くらい増えた。きっとまた減ってちょうどいい具合に落ち着くことでしょう。

Since I started Twitter in 2007, I’ve lost many friends who I met in real or only in social network. Accounts they left and tweets they shared are still precious to us, as memorial markers to visit, keepsakes to hold. It should not be treated like inactive bank accounts.
(2007年のTwitter開始以降、多くの友達を喪った。リアルの知り合いもいればSNSでしか繋がりがない人もいる。彼らが遺したアカウントやつぶやきは、追悼のため何度も詣でる大切な場所であり、あるいはお守りにする形見分けの品である。銀行の休眠口座のように整理されるべきではない)

https://staging.bsky.app/profile/did:plc:47ugnpdfkbrftfwctfy3ms5q/post/3jvaa3vjnx32r

7日、家人と二人、どちらともなく「ちょっと、あの、いったん、いったん極妻から離れてみるっていうのはどうかな!?」となって、大量に積んだままのウィッシュリストから最初に選んだ『イニシェリン島の精霊』を観る。びっくりするほど感想が長くなったので別項を立てる。以下は9日に観た短めの『unknown』感想。いや短いか?


『unknown』第三話、第四話。あくまでトレンディドラマ(死語)なのはわかってはいるけど、新婚カップルの転居先も週刊誌カメラマンの独居アパートもありえん豪華さやな! 「より几帳面で神経質なほうが共同生活がしんどくなるし、それは大抵、誰も見ていないところでもていねいな一人暮らしをコツコツ生真面目にやっていた男性のほうである」新婚あるあるすぎる。しかし虎松、父親が殺人犯だと言い出せないPTSDには同情するが、警察学校首席卒業で五年前まで捜査一課だったことくらい婚約者(と視聴者)に言うべきでは。なんで新納慎也から聞く羽目になるの。そしてなぜ視聴者が新納くんにマウント取られた気分になるの。元カノか。

吉田鋼太郎&麻生久美子ペアの吸血鬼式ウエディングの回想が無駄に楽しい。どんどん過去回想やってほしい。ずっと気になっていた生き血ロジスティクスの提供元も判明。「献血センターから期限切れの血液をネット通販に横流ししている吸血鬼のドンがいる」……そのドンぜったい鹿賀丈史でしょ……長命種なのを代替わりと偽りながら献血界を牛耳ってるに違いないし、たぶん鋼太郎が医学生時代から頭上がらない最高権力者だし、警視総監からの天下りだろうし正体は禅ちゃんにストーンヘンジの作り方教えたケルトの神の遣いであるドラゴンだろう(いろいろ混ざっている)。

ただ、「三角関係バックハグかと思いきや逆恨み襲撃事件」という、この手のドッキリ予告編のハラハラで釣り続ける宣伝手法どうなんですかね。吸血鬼である妻≒ラブコメ担当、殺人鬼を父に持つ夫≒サスペンス担当、のマリアージュで温度差つけたいのはわかるが、だんだん別で食いたくなってきた。町田啓太はおいしい役ですね。この展開、ヒロインが永遠の美少年こと高畑充希だから成り立ってるとこある。周囲からの感情ベクトルに鈍感だったり、実家の両親に甘えすぎたりしてても、あんまりイヤなブリッコ感がない。告白リアクションの練習する名優高畑充希の渾身の「わー(棒読み)」が超かわいい。

居酒屋「どん底」の二人(酒向芳・長田成哉)のサブプロットはなかなか厳しかった。そもそも教師と教え子という馴れ初め、私はもう現代あんなふうに囃すべきではないと思う(現実世界に円満なカップルが実在するのも知ってるけど、それと創作でどう描写するかとは別問題)。男女だとさすがに角が立つ設定だから男同士にしたのかね。また性的少数者をファンタジー化の道具にするのか。ブライダルサロンで鉢合わせしてバレる展開も安易だし、伏線のつもりかウエディングプランナーが営業オネエ口調なのも違和感ある。これで「恋愛結婚なんてどこもみんな『同じ』だよね」「隠していたことがうっすら広まるのはアウティングじゃなくて祝福だよね」と美談風に持ち込まれ「これが『今』だね!」と豪語されると、なんかなぁ。製作陣に悪意は無いのだろうが、同性間での法律婚すら認められていない、それが大問題となっている国で、ヘテロどもからこんな雑な共感を受けながら60年間ゲイとして生きてきたなら、そりゃ源治さんもあのくらい偏屈で不機嫌にもならぁな。観てて哀しい気分になる。

我が推し石川禅の出番は各話それぞれ30秒程度。これで真犯人なら別の意味でびっくりだわと鼻で笑ってしまうが、いや、『ノーサイドゲーム』はそうだったからな……? ずっとヘラヘラしてたのがやっと真顔を見せるようになったので脈はまだあるかもしれない。ただ現状の物語展開の鈍さを考えると、サスペンスパートはさておき商店街パートや闇原家パートにまで曽我編集長が絡んでくる可能性は低そう。第三話の水色のジャケット、似合うなぁ! 高すぎる裾丈からの素足ローファーで夏を先取り、かわいいなぁ! へぇ地底人は都営地下鉄大江戸線より浅いとこ住んでるんだ、でもそのネタ東京人にしか伝わらないんじゃないかな、かわいいなぁ! とルンルン観てたら続く場面で出てきた麻生久美子を前にした小手伸也が完全に推しちゃんを前にした拙者であるデュフフフさーせん何あのおっさんオタクの感情移入装置として優秀すぎるやろ俺の深森伊織は石川禅や。

第四話、目先の展開に手一杯の若手たちに代わって「ジャーナリズムへの冒涜だ!」と怒るのはいいけど、案の定その言葉もずいぶん軽い。ラブコメとサスペンス、どっち陣営なんだこの人は。たとえ加賀美が契約だろうと春雨出版労働組合がちゃんと機能して入院費おりてることを祈る。まぁこの編集長に労災手当のこと言っても無駄か。仕方ないよ曽我さんきっとバブル絶頂期に講談社新卒入社だろうし残業代だけでマイホーム建てて領収書で象買ってたクチでしょ(偏見)。普段はハプスブルクの皇帝とかロマノフの偽貴族とかケルトの魔術師とか演じてる推し俳優が、現代日本の還暦前後の「あの」絶滅危惧種の出版人の感じを生々しく演じてるのは本当に稀少だなと思う。禅ちゃんが充希に「人の話は最後まで聞けってお母さんに言われなかったか?」と言うので『アリスインワンダーランド』を連想して和む。ま、あの家庭で誰よりも人の話を聞かないのはお母さんだったが? はー、高畑充希アリスに小南満佑子帽子屋様に平方元基ジャックあたりで再演しませんかね『アリス』観たいよー!(もはやunknownの感想ではない)