このところ、あちこちで、活字を重視したシンプルなウェブデザインを見かけるようになったので、ちょっと真似してみたくなってモリサワのクラウドフォントサービス「TypeSquare」に申し込んでみました。
クラウドフォントとは、インターネットを介してフォントを配信し、ウェブブラウザで表示させる仕組みのことです。クラウドフォントを使ったウェブサイトは、閲覧する側に指定されたフォントが搭載されていなくても、制作側で指定された書体が表示されます。パソコンだけでなく、スマートフォンやタブレット端末などのウェブブラウザでの表示も可能です。
http://typesquare.com/
CSSをいじるだけで簡単にサイトの印象を変えられるのは楽しいですね。でも、紙媒体でもよく使われるありふれた明朝体やゴシック体だと、パッと見て些細な変化に気づいてもらえないかもしれない……。というわけで「カクミン」や「徐明」など、好きだけど普段はなかなか本文書体に選びにくいものを選んでみました。そして、せっかく変えたんだからもっともっと目立たせたい、という気持ちで触っているうちに、フォントサイズもどんどん大きくしてしまった……。
なんで小さかったのか思い出せない
HTMLタグをベタ打ちしてホームページを作っていた昔から、我々にはなぜか「フォントは小さいほうが瀟洒に見える」という、不思議な固定観念がありましたよね。とくにオタク女子の運営する二次創作サイトは、どこもかしこもデザインに凝りすぎた結果(に加え、世間様に対して後ろめたい趣味嗜好を持っている日陰の身という羞恥心も相俟って?)、文字列もボタンも極限まで小さくなっており、一つリンクをクリックするのにも細心の注意を要する感じ、が、お約束のようになっていた。
けれども、格段に解像度の上がったディスプレイで、クラウドフォントをあれこれ試しつつ、パーセンテージでサイズ指定をしているうちに、「いやいやいや、文字サイズなんてもはや読み手に好きに拡大縮小してもらえばいいのだし、もっと言うと、電子書籍を読むくらいの感覚で、大きめの活字をざっくり読んでもらってもいいのだよね」と、すっかり考えが改まったのでした。
途中、ふと気が向いて、iPhoneで動作確認したのも大きかったです。管理画面を開いて作業していたのは15インチのディスプレイなんですが、なんというのかな、目のほうはすっかり「iPhoneサイズで読む」ことを前提に、ブラウザ上の要素をデザインしてるんですよね。本文部分の横幅がたった500pxで、逆に活字は17pt超、というのは、これは完全に、Tumblrのレイアウトとか、Twitterの個別tweetのページとか、またはiPhoneアプリの画面を手元でピンチしてるときの肌感覚ですよね。数年前までの自分にはなかったものです。たとえば、最後にレイアウトいじったのが2008年くらいであるはずの「はてなダイアリー」の日記本文なんかは、スタイルシート側でうんと小ぶりのフォントサイズに固定していたんじゃなかったかな。
でも「時が来た」感はある
まぁ、もちろん私自身、ちょっと老眼が始まってるのかもしれませんよね……? パソコンに向かっていると輝度にやられて目がショボショボするまでが短くなってきたし、テキストエディタの編集画面は黒バックに切り替え、原稿書くときはアホみたいに級数上げて、そのぶん目を画面から離すようになりました。20代前半は、白地に黒字で9ptとか11ptとかの画面を何時間のぞき込んでいても疲れなかったのにな……いや、気づかないうちに疲れてたんでしょうけど。
正直、自分でも「いくらなんでもデカすぎだろ」という感じですが、読みづらさよりも新鮮味のほうが優るので、しばらくこのスタイルでいってみようと思います。ネットブックやiPadの画面でどう見えるのかとか、いろいろ感想を聞かせてください。「TypeSquare」は12月まで無料キャンペーンだというので、ちょうど飽きる頃にまた考えてみます。
しかし、ここまで自由になれるんだったら、どんどん電子書籍風に「紙での読みやすさ」に近づけていきたくなりますね。「ウェブだから我慢しなきゃ」という感覚から解放されていく。今はこのブログの中で本文の「カッコ内級下げ」がしたくてしたくてたまらない。いや、いちいち指定すれば可能は可能なんだけど、さすがに「どうせウェブ」という気持ちで、そこまでは(まだ)めんどくさいかなー。