昨晩から今朝にかけて、ブックデザイン講義の課題の関係で、久しぶりに本棚の小説を幾つか読んだ。つっても日本語訳で、しかも短編小説ばかりだけど。体調不良を言い訳にして、ベッドでゴロゴロ、積み上げた本に付箋をつけながら順番に読破していく。いやー、読書って本当に気持ちいいものですねー。当たり前といえば当たり前なのだが、「読む」こと自体が仕事の中心だった頃よりものびのび読める。10年以上前に出た本にうっかり誤字を見つけてしまってもあんまり気に病まない。いや見つけるけど。
しかし、普通に生きているとこんなことをしている暇がなさすぎるよなー、ということも実感した。渡米してから一日に(漫画はさておき)活字の本を三冊以上続けて読んだのは、初めてかもしれない。学生をしている間は課題図書以外のものを読むのは本当に難しい。日本でなら逆に「学生をしている間くらいしかまとまった読書はできない」という言い方になるのだろうけど。昔は誰かに「自分の人生に忙しくて他人の書いた小説を読んでいる暇なんかない」と言われるたび、とても悲しい気持ちになったものだが、少なくとも今は明らかに自分がそれを言う番であり、そうか、言う側は、聞く側と違って、あんまり悲しい気持ちはないのだな、と気づいたりする。
読書には体力が要る、面白いものを読んでいる間ほど、他のことがすべておろそかになる。オーディオブックででも聴きながらナガラで別の手作業ができたらいいなと思ったりもするけれど、それはそれで効率が良いようでいて気持ちが持って行かれて大事故を起こしたりしそうだ。集中してページをめくり、早く読み終えて他のことに移ったほうがいい。しかし一度スイッチが入ってしまうと読書以外の何もしたくなくなり、一冊終えると次の一冊を手に取ってしまう。ああ、こうやって週末まるまる潰していたことが、あったよなぁ、と懐かしく思い出す。私はどうやら、長いことスイッチをオフにしていても死なない人種であるようだ。でもオンになったらオンになったで、もちろん生き生きする。いや、傍目にはベッドから這い出すこともしない死人同然ですが……。
現役の小説家でありながら同時代の他の作品も手当たり次第に乱読している人とか、いったいどれだけ筆が速い(=自分の仕事時間を圧縮できている)んだろう。尊敬します。ほとんどカロリー消費しなかったためだろう、まったく食欲がわかず、でもそれが逆に気持ちいいので、閉店間際のコールドプレスジュース専門店に駆け込み、ジュースクレンズ1日コースを買う。気持ちの悪い眠気はずいぶん取れていて、あとは身体のだるさが抜ければまた来週から頑張れるだろう。