2023-04-22 / 私がTwitterを使うのをやめるとき2023

中年は健康の話しかしない。昨年末に体組成計を新調して5ヶ月、約3キロ減らして当初の目標体重に到達したので嬉しい。タニタHealth Planetさまさま。現生人類を40年以上やってわかったこととして、私は体重が一定以上を超えるとおそろしく疲れやすくなりしょっちゅう寝込み、逆に一定以下まで減ると神経が参って無気力になる。とくに短期間で2、3キロの急増急減をするとろくなことがない。太りすぎても痩せすぎても、ちょっとした傷の治りが遅くなったりしてビビる。現状維持のまま、内臓脂肪を落として筋肉を増やしながら、上下の振れ幅をなんとか1キロ以内に収めたいものだ。

昔は3キロも贅肉が取れたら針金のようにスリムな体型になるんじゃないかと幻想を抱いていたが、服のサイズなど全然変わらない。そして、若い頃さんざん気に病んでたムチムチした体型って結局、脂肪の質が良かったんだな、と思い知る。加齢とともに肉質が落ちるとハリも落ちる。筋トレをサボると肉体が如実にしょぼしょぼ萎むので恐ろしい。カッコよく見える初老たち、あれは痩せてるんじゃなく、ボディメイクでハリを保っているんですね。カサ減らすのとは話が違うんだ。というわけで「太りたくな〜い」ではなく「明日を生きる『力』が欲し〜い」みたいなモチベーションで体組成計に乗ってレコーディングを続ける。


ちょっといいですか?ツイッターやめますっつった人はとっととやめたらどうですか?アレックボールドウィンじゃねえんだからさ
そういうの本当にダサいと思うわ

https://twitter.com/khsjx/status/1649736654524157953

愛の小鳥ことしょーじさんが「Twitterをやめるやめると言いながらずっとTwitterにいる奴はダサい」という意味のことを(何度か)書いており、それは本当にそうだよなと思ってlikeしてRTした。私の生き様がこの人にイけてると思われたことなど今まで一度もないはずだし、割と恥知らずの部類なので、たとえ面と向かって貴様はダサいと言われようとも、まぁそうですね、としか思わんのだが、いい機会なので「Twitterをやめる、とは何か」について少し書いておこう。

さんざん書いた通り、私は現在「Twitterから消えた」わけではなく、ただ「Twitterに新しい内容を投稿しない」というパフォーマンスを「している」。具体的に言うと、毎日見に行って他人の投稿をlikeやRTはする。ニュースクリップや書き下ろしの日常tweetはしない。口はばったいが「オピニオンを述べる」「何かを表現する」ような場としてTwitterを使うのはやめた。広義の宣伝活動にあたる推し活と著作感想へのリアクションは続けている。やめずに出戻ってきてくれて嬉しいです、といったレスは全無視している。私はやめるからだ。

「おいおいTwitterをやめるんじゃなかったのかよ? とっととこの場から消え失せろよ!」というツッコミに屁理屈で返すならば、今の私の状態は「禁酒すると決めた人間が、酒場でミルクを飲みながら、居合わせた酔っ払いどもの話に耳を傾けている」みたいなものである。ドリンクを注文した以上は私だって客であり、店からも他の客からも、難癖つけて席を追い出される謂れはない。体に毒だから家に帰ったほうがいいと気遣ってくれる人もいるが、ほっとけよ、と追い払う。広義の宣伝活動は、この喩えだと何だろう。奢りのお酌かな。

そして、「ほーら、また未練たらしく来やがった、やっぱり酒を飲むのはやめらんねえよな、な?」と声をかけられるたび、すべての語尾に「いいや、俺はもう酒はやめたんだ」「今日で禁酒して3週間になる」「あんたらもどうだい」と付け加えている。誰だって酒をやめられるわけがない、と豪語するような連中が、飲みすぎて肝臓を壊したり、吐瀉物を喉に詰まらせたり、殴り合いの打ちどころが悪かったりして、酒場で突然バタバタ斃れて動けなくなるような光景が、今春からのTwitterでは常態となるだろう。経営者が代わり、哀しいことに店の中はもう客に身分証明を求めることもない無法地帯で、てめえらの出す酒にどんな毒を混ぜて薄めようとお構いっこなしで、ただ「金を払え」とだけ言われる地獄だ。2007年5月から浴びるように飲み続けていた私は、酒をやめて「ミルクを」と注文する。

202304_BOOMTOWN
内田美奈子『BOOM-TOWN』1巻(1992年)、P26。バディは最高の男だよ。いや小津もウィザードくんもハッセイもね。

元ネタが西部劇にあることは大人になってから知ったが、私にとって「ノーミソに刺激を受けたくないの、ミルクを」といえば中学生のとき読んだ内田美奈子『BOOM-TOWN』である。誰よりも早く電脳仮想空間をハックし、その腕を買われて誰よりも長く電脳仮想空間にダイブし続けるデバッガーという職を選んだ主人公が、その電脳仮想空間に建つ行きつけのバーで言う台詞だ。どれだけダサいと笑われようが、カッコいいと憧れるものなんて中二当時からそう変わらない。誰かの真似してカッコつけてミルクを舐めながら、「俺はもう酒をやめたが、それでも、だからこそ、全員が消え失せて最後の一人になっても、きっとこの酒場に座っているだろうぜ、シラフで」と決め台詞をこぼすのである。やるかやられるかだ。11年前にもそう書いた。


「Twitterをやめます」と宣言するのに適した、その言葉をより多くの人に届けるのに最も効果的な場所というのが、現状は他ならぬTwitterである、というこの皮肉を、もうしばらくは味わってみてもよいだろう。再三「フォロワー数を『力』と混同する勿れ」と説いてきた身ではあるが、物理的な引っ越しや法人の清算にだって手順の一つとして周知は大切だ、無理なく進めていくしかない。

あとまぁ、Blueskyで何を書いても、みんなで同じ元カレの愚痴を言う被害者の会みたいにしかならないしね。もうちょっと別のアクティビズムがあってもいいんじゃないのと、ブログを挟みながらそちらとこちらを往き来している次第だ。酒を断つのにせよ、体重を減らすのにせよ、傍が考えるよりもじっくりと長い移行期間が必要で、焦れったいほど時間がかかる、奴もいる。私はmixiもはてなもFacebookも暴飲暴食もそうやってやめてきた。Twitterでも同じようにするだけだ。

ところでそのBluesky、「始めて2週間以上経つのになかなか招待コードがもらえないなぁ」とこぼした数時間後に20枚ほどの招待コードが生えてきた。やっぱり分散型がどうこう言いながら実際は小人が動かしてるんじゃないかあのアプリ? もう何人かには渡したので、残りは希望者を募って配ろうと思う。Blueskyについて予習済みで、「招待制ベータ版」という言葉の意味を正しく理解していて、かつ、私と個別に非公開の私信でやりとりが可能な人に、手動で配っていく。先着順にはせず、選考をかける。その理由についてはBlueskyで想いを綴ったし、本当に現状を予習済みならば、このルールに文句は言わない、言えないはずだ。Twitterでだって話しかけられて全レスなんてしないのだから、リクエストを無視されても逆ギレしないでほしい。エアリプも当然相手にしない。たかだか3000字未満の日記の文章も読み通せないようなせっかちな人間には、今のBlueskyはおすすめできない。