Timの授業、3部作ブックデザインは「最後の1つだけ法則性に仲間はずれ感がある」とのことで作り直し、抽象表現のほうは「1つの画面に9個も10個もエレメント入れるのは得策ではない、多すぎることが煩雑にしている、2、3個で作り直し」とのこと。ちょっと時間が余ったので、授業後にHelenの課題で出ている別の戯曲3部作の途中経過を見せてみると、あんまり評判がよくない。好評だった「影」のほうについては「抽象的なようでまだまだ具象的すぎる。いっそ具象の方向に振り切ってしまうか、そうでなかったら『足から頭の影が生えてる』くらいおかしなことをするべきでは?」、時系列のほうについては「フォーマットを徹底して統一するのでなければ、個別かつ恣意的に一冊ずつバラバラな『時の流れ』を示したところで、それをやるreasonがないよね」と言われる。徹底して統一、したらしたで「変わり映えしない」と言われたりしそう。単体の表紙なら面白くていいけど、シリーズ物に使うのは向かないアイディアかもね、と話す。なかなか難しい。
Andyの授業、他のもろもろが差し迫っていてヤバいので、宿題をすっぽかしてしまう。授業内に終わらせようと思ったがそれもうまくいかなかった。今週は宿題ナシで、春休み明けにミッドタームのテストがあるそうで、それまでに提出したものは見てやるよ、と言われたのでギリギリセーフと思いたい。
授業はIllustratorのTips。最初のうちは未知の機能をあれこれ教わって感動していたのだが、最近だんだん「これ、教わってもきっと一生使うことないな」「ていうか、この機能を便利だと思うような単純労働が続く仕事には就きたくないな」と思うようなTipsが増えてきて複雑な心境。スーパーのチラシの囲み罫とか、トイレの張り紙の飾り文字とか、「誰かデザイナーがこの仕事を請けて給料をもらっているはずで、それに見合うだけの手間がかかってることも認めるけど、壊滅的にダサい」存在って、この世にたくさんあるじゃないですか。ああいうものの作り方を教わっている感。まぁでも、もし私がクライアントで、いかにもオシャンティなデザイナー然としたデザイナーに何か仕事を発注して、そのデザイナーがこうした便利機能たちを知らずにすげえ回りくどい手法で一つ一つモタモタ丁寧に手作りしていたら、それはそれで「おまえ何年やってんだよ、ドコ大の出だよ、プリセット使えよ!?」みたいなキレ方をしかねないから、大事なのもわかる。職業訓練。
Andyのマシンガントークを浴び続けてフラフラになったものの、19時から21時40分までの4限にあたるコマを使って、プリントメイキングラボへ。フォトリソグラフィは「各自が自習で仕上げて最終発表までに完成品を持ってくる」形式なので、毎週どこかでプレス機の予約を入れて、自分で作業を進めないといけないのだった。私のポスターは、一版目をピンク、二版目をブルーで刷る予定。この日はピンクの試し刷りをして、作ったインクを備蓄しておくまでが課題。行くと、テックのクリスティンからいきなり「水が出ないのよねー」と言われる。築何年か想像もつかないオンボロ旧校舎、階下は絶賛リノベーション工事中、この日は全館、上下水道が動かなくなったのだそうだ。水がないと何もできないプリントメイキング。ショックを受けていたら、洗い場の下からミネラルウォーターのガロンボトルが出てきて、「こんなときはこれを分けあって使うのだ」と洗面器に流し込んでくれる。停電しても断水しても、ぶつくさ文句を言いながら、ラボは眠らない。生涯学習系講座の夜間クラスなのか、おじいちゃん先生がおじいちゃんおばあちゃん生徒を相手に教えるエッチングか何かの授業が行われているのを横目に、ひたすらリソグラフィの一人作業。
二人一組だと二倍の時間を分け合いながら使えるのだけど、ひとたび足並みが揃わず相手に遠慮してしまうと、自分のほうもうまくいかなかったり、待ち時間を無駄に感じたりする。一人だと、短時間で倍の作業量をこなさないといけないのだが、次に何をすべきかとか、今日はこのへんで止めておこうとかいった思考はハッキリする。心細かったけど、「手順の確認」という意味ではここで単独作業ができてよかった。刷りは早々に切り上げて、閉館時間ギリギリまで水を節約しながら丁寧に清掃していたら、その真面目そうな姿勢がよかったのか、一日の終わりの片付けをしているテックたちから、やたらにこやかに話しかけられる。「頼んでもいないのに人のつけたインク汚れまで拭いて、ゴミ箱に捨てる直前の布切れで最後にゴミ箱側面の汚れまで拭いて、来たときより台をキレイにして帰る、これだから日本人学生、好き」と書いてある笑顔。そうね、顔はみんな同じだけど、アメリカ育ちの東洋系や他国からの留学生と競って、ここだけは負けない自信、あるね。終わりころには水道も、蛇口をひねると赤茶けた水がドボドボ出るまでには復活したが、明日にならないと修理業者は来ないそう。気づけば22時前、日付が変わる前にはもうこれ以上、何かができる気がしない。4限の授業は今まで一つも取っていないのだけど、取るとこんな感じの毎日かぁ、とぐったりしながら帰宅。