第一回オフィスアワー開催

事後報告。5月6日、MUSE SQUAREにて「岡田育オフィスアワー」というものを開催してみました。

 オフィスアワーとは、もともとは大学の仕組みで「教員が必ず研究室に在室している時間帯」のこと。あらゆる学生が好きに研究室を訪ねて行って、あれこれ相談や質問、雑談などができる制度です。日本で最初に導入した大学は慶應SFCだそうで、私も進路に悩む学生時代はよく活用しました。いきなりデートに誘うよりお見合いパーティーのほうが気楽に話せるのと同様に、会いに行くのに口実が必要ないとわかれば、訪ねていく側も、待ち構える側も、心理的距離がぐっと縮まりますよね。これに倣い、我らがMUSE SQUAREでは、代表が予定をあけてオフィスに詰めている時間帯を「オフィスアワー」と呼ぶことにしました。

 今回は、私岡田の初めてのオフィスアワーです。いくらオープンネスが売りとはいえ、毎日毎日、見ず知らずの人たちにピンポンダッシュされるのは正直たまったもんじゃないです。でも、時間を決めて「アポなし突撃ドンと来い!」と受けて立つ機会を持つのは、自分にとってもプラスになるんじゃないかなと思っています。道場破りを待ち構えるのも武者修行の一つ、ということで。

 別件の会議中にふと思い立ってその場でイベントを立て、告知には「connpass」というイベント支援サービスを使ってみました。これは同じくMUSE SQUAREで開催されている「Ruby Motionもくもく会」の真似。TwitterやFacebookのアカウントで参加表明ができて、主催者側は参加予定者に一斉メールを送ったり、PayPalで前払いチケットを発行したり、活動報告を掲載したり、といったことも可能です。

「MUSE SQUARE」では定期的にオフィスアワーを開催しておりますが、今回初めてメンバー以外の方にも告知をしてみることにしました。人体実験の生贄ですね。最近ご無沙汰している知人の方、MUSE SQUAREにご興味のある方、岡田育と会って話をしてみたいという方、ふるってご参加ください。住所詳細は参加者の方にメッセージで送ります。なお、基本的に仕事をするための空間ですので、誰も集まらなければ一人で原稿など書いていることにします。悪しからず。
http://connpass.com/event/2386/

 大型連休の最終日だし、その後に懇親会があるわけでもないし、どうせ誰も集まらないだろう……とタカをくくっていたものの、結果的には6名ものご参加がありました。多いな! うち4名は初めてお会いする方で、この機会にお知り合いになれただけでも開催した意義があったなぁと大変ありがたく思っております。

 ライターのヨネザワエリカさん。cakes「ハジの多い人生」担当編集の平松梨沙さん。メディアレップの三井耕太郎さん。人事なお仕事、山本真一郎さん。超DIY系コスプレイヤーのharryさん。「ニコニコ超会議2」でニアミスしてしまったゲームデザイン研究者簗瀬(YanAce)さん。

 当初のイメージは、時間差で入れ替わり立ち替わりいらっしゃるお客様と、個別に面談しながら手短にお茶を飲む、という感じでした。ところがなんと、13時スタートと同時にほとんどの方がいらして、16時の閉会まで車座でぶっつづけでディスカッションしてました。皆さん自己紹介代わりに積極的にご専門分野の話をしてくださって、参加者それぞれに意外な共通点が発見され、最後には複数のイベント企画の萌芽まで生まれるという充実ぶり。私の研究室のオフィスアワーというより、私が一度に6名の研究者のオフィスアワーを堪能した、という感じでした。いやマジで。

 当日はPCを一台プロジェクターにつないで、トピックをあれこれぐぐりながら進行。以前、阿佐ヶ谷ロフトAのイベントに登壇した際に獲得した称号「OJ(OHPジョッキー)」としての腕前がふたたび炸裂した感じで楽しかったです。ああ、ネットサーフィンしてるときのワタシ、ピカピカに光ってる……って思った。以下いくつか、当日の話題に上ったページをメモしておきます。


●簗瀬さんも参加されている「カフェサイファイティーク」。理系で白衣のハカセ系男子に接客してもらいながら個人授業も受けられる、という俺得にもほどがある萌え喫茶。「ニコニコ超会議2」にも出展されていて、なんと、お好きなハカセと会場内デートができるという趣向! いつかMUSE SQUAREでも開催してほしいです。

●「ニコニコ学会β」の充実、そこから生まれた江渡浩一郎さんの新刊『進化するアカデミア』の噂話を受け、簗瀬さんからは「情報処理学会の最新号は無料公開されてるので読むべき!」とご紹介いただく。2012年05月号別刷「《特集》CGMの現在と未来: 初音ミク, ニコニコ動画, ピアプロの切り拓いた世界

●「ニコニコ超会議2」の熱狂すさまじかったですよね……でもなんか、旧来型のオタクとは違う人種向けのイベントでしたよね……という話から、オタクの世代差、意識差などについて。これは、だいたい前のエントリに書いたような話です。「親子二世代にわたるオタク」というのは昔からさまざまなジャンルにいたけれど(鉄ヲタの子は鉄ヲタ、ジャニオタの娘はジャニオタ、将棋アマ強豪の娘は女流棋士、など)、腐女子とか萌えカルチャーについても「子世代」が育ってきている。

●三井耕太郎さんはオタクについて勉強中。ということで、ヲタ寄りの陣営が中心となって、ヲタカルチャーを知らない人々の陣営に「オタクと消費」みたいな話をする流れに。アイドル産業、テニミュの隆盛、など話題が飛んでいった先が、パシフィコ横浜の「ネオロマンスフェスタ」。ちょうどこの連休中に遊んだ私の親友がチケット取りで戦戦兢兢としていた……無事を祈りたい。

●要するに、「御上はクールジャパンとか言ってるけど、本当にすごいことは現場で起きてるよね! もっと周知されればいいのに!」みたいな話です。そうまとめちゃうと陳腐ですが、例示されるものがひとつひとつ私も未知のことだらけで非常に面白い情報交換になりました。

●ヨネザワエリカさんからは、「すみだ川ものコト市」「墨東まち見世」などの取り組みを教えていただきました。MUSE SQUAREでも今後「よき人がよく集まる仕組み」を考えていかねばならないので非常に参考になります。ひとまず「東向島珈琲店」行きたい。

●あと「マチ☆アソビ」「神山アーティストインレジデンス」「蔓餃苑」なんかも参考になるなぁと思いました。人と人とのつながりはバーチャルなんだけど、「リアルな場所」という要素が加わると面白いことができるし、もともと接点のなかったものがその場所にひもづけられていく。「MOGRA」もまだ行ったことないです私。

●で、「ハカセ」と「異性装」という私の二大萌えツボがうっかり邂逅してしまったことにより、簗瀬さんとエリカさんによる、めくるめく「女装アカデミア」談義に。ただの俺得じゃねーか。【大女装時代】各地の学園祭ミスコンで女装勢が大躍進!【男の娘】……で、電気通信大学入江研究室のホームページにもやたらと麗しい初音ミクさんがおる件。

●そして廣瀬通孝センセイを激しくおすすめされる私。これは大変よい博士メガネ男子……。黒縁は正義

●で、生粋のものづくり職人harryさんによるコスプレのお話。コスプレイヤーってのは型紙からおこすもんなんだよ!!……と、いや、決めつけるものではないですが、やっぱり無から有を生み出すことで二次元を三次元にしちゃう人たちへは、買って来たメイド服をただ着てるだけのレイヤーさんとはまったく異質のリスペクトを送りたいわけです。ferio2氏による「アイアンマン マーク7」の制作記録はみんな見たほうがいい。これとか。


……だいたいこんな感じでしょうか。立体物つくるワークショップやりたいねとか、北参道でカフェサイファイティーク&久谷女子のイベントやろうとか、いろいろな構想が生まれたのが本当に楽しかったです。今すぐ具体的な何かになるわけではないかもしれませんが、異業種、異分野の人たちとブレーンストーミングする機会はこれからも積極的に設けていきたいと思います。
というわけで、第二回は是非、皆様のご参加を心よりお待ち申し上げております。