2018-05-15 / トークイベントのお知らせ、装幀のことなど

5月末新刊『天国飯と地獄耳』着々と進んでおりまして、これはカバーの色校、印刷がちゃんと出ているかチェックするための試し刷り。私は直接見ていないのだが、担当編集者さんが写真に撮って送ってくれました。モックアップ(見本)よりも落ち着いた色合いで、紙の具合も良さそうですね。

じつは当初、「せっかくグラフィックデザイナーなんだから『著者自装』でどうですか?」と言われたのだが、今回は本当に、名久井直子さんとタダジュンさん、そして担当編集の渡邉さんにお任せしてよかった……。自分でやるとなると、装画の打ち合わせも、紙材選びや試算や業者とのやりとりも、全部リモートで指示を飛ばさないといけない。ニューヨークで印刷製本するならまだしも、これは厳しい。自分一人で書いて送ればよい原稿とは全然違うのだ。『オトコのカラダはキモチいい』文庫版に引き続き遠隔地からのやりとりだが、東京にいるとついつい何にでも口を挟んでしまう私は、やはりこのくらいの距離感がよいのかもしれないなと再認識した……餅は餅屋ですよ。

で、この感じ、何かに似ているなと思ったら、テレビ番組に出ていた頃の衣装合わせだった。最初はすべて私物で行くつもりだったのが、いろいろあってテレビ業界を知り尽くしたプロのスタイリストさんがついてくださり、自分では絶対に選ばないようなブランドの、でも着てみると非常にしっくりくる服やアクセサリーで、毎回ガラッとまるで違う人間に変身させてもらっていた。スタジオセットと喧嘩しない色味、年齢や性別や肩書きを視聴者に誤認させない情報操作、あるいは個別具体的な容姿外見のアラ隠し、などなど、私一人では到底御しきれない、TPOや細かなルールがたくさんある。しかも、CM中に着衣の乱れを整えてくれたりもするんだぜ(本人は話すのに夢中で服のことなんか考えていられない)。既製服を着ているだけでも、役割期待ありきという意味では、舞台衣装などと同じ。

「なんでも口を挟めばいいってもんでもないなー」と痛感した。自分にヴィジョンがあったとしても、それが最適かどうかなんてわからない。むしろ、私自身ではない誰かプロに提案してもらうほうが、ずっと斬新で、そして、私自身ではない誰か視聴者や読者の目に、しっくりくるものが完成するに違いないのだ。しかも書籍の装幀ともなれば、スタイリングや舞台衣装ともまた違う、いわばオートクチュールの一点物である。手放しで絶賛するけど、この表紙、かわいくて怖くて、禍々しいなかにも食欲がそそられて、罪深くもイノセントで、最高じゃない!? 雑誌連載ともウェブ連載とも違う新しい自分、誰より楽しみにしているのは著者本人です。


と、ファッションの話に引きずられているのはなぜかというと、下記トークショーへの登壇が決まったからでもある。大手小町連載『40歳までにコレをやめる』に多大なる影響を与えた「先輩」の一人、トミヤマユキコさん『40歳までにオシャレになりたい!』の刊行記念イベントで、奇しくも発売日が同じ『天国飯と地獄耳』も先行販売していただけることに! やったー! 5/27の「待ち合わせ密売会」とハシゴしてくださるもよし、日曜日に予定がある方はこちらへ駆けつけていただくもよし。併せてよろしくお願いいたします!

『40歳までにオシャレになりたい!』刊行記念
「40歳までに身につけたいこと、手放したいもの」
トミヤマユキコ × 岡田育 トークイベント
2018/05/30 @青山ブックセンター本店
http://www.aoyamabc.jp/event/40/

トミヤマユキコさんの新刊『40歳までにオシャレになりたい!』発売を記念して、著者のトミヤマユキコさんと文筆家の岡田育さんがトークショーを実施します。
好き勝手に服を着て生きてきたせいで、大人のオシャレがわからない。グレーのパーカーばかり着てADにまちがわれていたトミヤマユキコさんが、自分のコンプレックスと向き合い、オシャレする喜びを再発見していく本書。
現在ウェブメディア『OTEKOMACHI』にて「40歳までにコレをやめる」を連載し、「下着の上下を揃えるのをやめる」「敬語は使わず不遜に生きる」など、自分を縛っていたさまざまな価値観を見直している岡田育さんをゲストに迎えて、アラフォー女性が自由に生きるために身につけていきたいもの、手放したいものについて考えていきます。
後半は、岡田育さんの新刊『天国飯と地獄耳』(キノブックス)の制作裏話も! 普段はニューヨーク在住の岡田さんとトミヤマさんのレア対談、必聴です!
※来場者にはオリジナルステッカーをプレゼント!
※トークショー後、対象書籍購入者様を対象にサイン会を実施します。
対象書籍『40歳までにオシャレになりたい!』(扶桑社)、『天国飯と地獄耳』(キノブックス)