2017-09-04 / フリーランス1年生

■サイト更新について

またしても数ヶ月のご無沙汰、皆様いかがお過ごしでしょうか。前回更新時、フィードが不調と書いたのですが、記事のアーカイブ構造がガタガタになっていたことに気づかず放置したまま4ヶ月近く経ってしまいました。申し訳ない。パーマリンク設定をいじるのと同時に、要らんプラグインを入れたり抜いたりしたのがまずかったみたいです。公式サイトとは名ばかり、本人がWordpressでシコシコ作っているので何卒ご容赦ください。子カテゴリのリンク(当ページでいう左側の赤文字の幾つか)が稼働してない不具合は確認しています。その他、過去記事などのリンク切れがあったら教えていただけると助かります。本当はもうちょっとブログっぽい作りにして、もっと気軽に更新したいのだけど、そういうのは TwitterInstagram でやっています。

これを機に、今まで自動生成していた記事一覧を捨てて、ゼロから作り直しました。 ここね 。じつは私、2012年以降、仕事の全容をどこにもまとめていなかったんですね。正確に言うと、何か露出があるたびブログをこまめに更新することでそれに代えようとしていたのだが、結果はご覧の通り……。なので、一念発起して新規スプレッドシートを作成したよ。毎年の確定申告や年賀状送付のときにやるべきアレです。昔はスケジュール帳を見れば一目で把握できたんだけど、2015年に同じスケジュール帳で大学時間割を入れるようになってから、いろいろ崩壊したよね……。とにかく、見栄えよく自動生成すると自分でもそれが絶対だと思ってしまい、うっかり抜け落ちた情報に気づけないのがマズい、というわけで結局手動で並べ直しました。21世紀とは思えない。こちらも、手作業につきまだ完璧には反映できていないのだが、指差し確認しながら徐々に手を入れていきます。それにしても、2012年ってもう5年も前なのか。年取るわけですな。

■近況について(日本フリーランス5年生)

日本語圏では、一番大きいのは『オトコのカラダはキモチいい』の増補改訂版文庫を刊行すべくあれこれ計画中です。フライングで書誌情報が出てしまったようだが、さすがにあの刊行日程では出ないかな。で、ご注目いただきたいのは、文庫版が出てしまうということは、親本を購入することができなくなることを意味するんですね。雲田はるこさんの美しい装画にくるまれた、大きなサイズの単行本、在庫僅少となっております。買うなら今です。ここから!!!! あと外国語翻訳版のオファー、引き続きお待ちしています!! 私が英語で自己紹介すると一番食いつかれるのがこの本の詳細です、自慢じゃないけどめっちゃ需要あると思います!!

『オトコのカラダはキモチいい』(2017)

また、「キノノキ」で『天国飯と地獄耳』が再開して、今のところ順調に連載しています。もともと紙の雑誌『新潮45』に連載していたものですが、もう少し原稿がたまったら書籍にする予定。あとは、講談社「現代ビジネス」やKKベストセラーズ「BEST T!MES」などにも不定期で寄稿しております(本当は定期でなければいけない)。それから、「cakes」で秋から新シリーズの連載を準備中。そして「note」も整備して、有料コンテンツ始めようと思っています。しばらくお待ちください。『女の節目』書籍化が止まっているのはそろそろマズい。というのと、あともう一つ進行中の企画もある。「学校が!」という言い訳はもうきかないので、2015年夏からもろもろ滞っていたものを再スタートさせたいところです。

■近況について(米国フリーランス1年生)

今年5月の大学卒業からいろいろありましたな……。まず、二箇所勤めていたインターン先のうち、一つを円満退職して、一つとフリーランス契約を結びました。よそからもちょこちょこ臨時の声掛けをもらっては、新人グラフィックデザイナーとして活動しています。アパートメントの契約更新もして、幸い恐れていたほど家賃も上がらなかったので、もうしばらくはニューヨーク拠点で働きながら暮らす予定。「住むからにはアメリカ社会に爪痕を残す」が目標だったので、無署名とはいえ、手がけた仕事が実際に世に出ていくのは嬉しい限り。学生時代とはまた別の充実感があります。

学生ビザで米国滞在している留学生たちは「OPT (Optional Practical Training)」といって、大学卒業後、専門技能に関連した仕事に就くことができる。というか、これはむしろ「学業の延長線上で実地研修を積む」ための制度で、あくまでも学生ビザの本分「学業」の一環である、特別な就労許可となる。詳しく正確な情報はググッていただきたいのだが、「卒業したのに無職のまま滞在」も、「留学内容と無関係な就労(飲食店でバイトするとか)」もNGで、最悪は強制送還だと脅される。つまり、世界中から集まってきた留学生たちは「デザイン学部から発行される学生ビザで渡米したら、卒業後の期間は何かデザイン関連の仕事をしていないと米国にいられない」わけだ(※だいぶ意訳です)。一方の企業側はといえば、安い労働力として学生を雇うのは大歓迎。とくに留学生たちは就労期間を途切れさせるわけにはいかないので、たとえ無給でもインターンの口に飛びついてしまう。それがわかっているから、大手インターン求人サイトにある大企業の募集条件は、ほとんど無給のものばかり。ウチの社名を履歴書に刻めるだけ有難いと思えよ、という感じで、なんとも足元見られているんだよなー。(これは留学生のみならず、米国人学生も同じ。実態を目の当たりにすると、大手広告代理店やテレビ局、超有名ファッションブランドなどでインターン経験アリ! と言われても、フーン、と地蔵のような微笑みしか出ない。法曹界とか金融界とかはまた違うんでしょうが。)

で、以前書いたチャイナタウンのデザイン事務所は、プレイングマネジャーである社長のほか、正社員が2、3名いるほかは、全部で何人いるのかもわからないほど大量の「無給インターン留学生」を受け入れて人件費リスク皆無で回している職場だった。少数精鋭の経営者&社員が有象無象のバイトたちのシフトを組んで回すのは日本のコンビニや飲食店と変わらないだろうが、バイト相当の学生がほとんど全員無給なのは日本では考えられんよね。交換留学で来て下宿の決まってないフランス人とか、地下鉄の乗り方もわからないようなインド人とかをホイホイ雇って機密保持契約を結ばせ、ポートフォリオにも載せられないような作業に従事させ、新学期になったら辞める子たちの人数分また新しい子たちを採用し、なかなかにタコ部屋感があった。ちなみに私は英語には難ありだがビザ問題がないので、もう少しはマシな待遇だった。同じ待遇の米国人学生が一人いて、英語にもビザにも問題がないのにこんな職場で働いているということはそれは技能のほうに問題g……というか、在学中に結婚が決まって愚直に手堅く宮仕えの空きを狙っているという例。数少ない正社員のうちデザイナーはブラジルと韓国出身、英語ネイティヴではないが仕事の打ち合わせに支障ないという感じ。私の次の目標このへんか、と勉強になりました。

もう一つの会社は今年2月に創業したてで猫の手も借りたいベンチャー、インターン期間の終了と同時に正規雇用してくれるという約束になっていて、ウキウキしながらこちらから諸条件を提示したのだが、……「その金額では出せない」と言われたね……。ニューヨークの物価と、私の過去の職歴と学業実績(一応は首席卒業扱い)を鑑みたら妥当、むしろ良好な関係を築くためディスカウントしたつもりだったのだが……。日本相手の「副業」をやたら奨励してくれて喜んでいたら、どうも「腰掛け程度の賃金で働ける奴」と思われていたようで、結構ガッカリ。試用期間が長すぎたのかな。とはいえ、無い袖は振れぬのならば仕方ない、とフリーランス契約を締結。一応まだ籍を置いていて、固定給は出ないけど、呼ばれれば働いたぶんだけもらえる。ここはプロジェクトベースで動いていて、学生寮や音楽フェスティバルのトータルブランディング、新規開店する飲食店のコンセプトワークなどなど、建築家や映像作家とやりとりしながら、デザインだけでなくスタイリングとか何でもかんでもやる。たとえば自分の担当案件ではない お酒のCM映像 に、現場で手がすいてるという理由でモブ出演したりもする。笑。

並行して、あちこちで好条件の求人を見つけては応募して断られるの繰り返し、「うそ、私の希望年収、高すぎ……!?」(AA略)と不安になっていたのだが、そういうのって大半が経験者採用かつフルタイムでいきなり部下とかつくような役職なので、冷静に考えると全然向いてない。我ながら経歴が異色すぎて面接もその話で終わってしまうしな。もし私が20代そこそこの大企業の人事採用担当だったら「37歳、社会人学生、兼業著述家(ただし日本語に限る)」とか、得体が知れないからそっと落とすよ……。でもまぁ、会員制求人サイト「WNW(Working Not Working)」 (日本語記事だと ここ に言及されていた)の審査通過してからは、ぽつぽつ話が来るようになった。今のところ提示条件が断られたこともない。これはWNWサマサマなんだろうな。

渡米した頃から「日本語圏でフリーランス、英語圏でサラリーマン」という二足の草鞋が理想形で、大学在学中の就職活動もそこを目指していたのだけど、米国では社員でも容赦無くクビになり日本でいう「正社員の安定」とは程遠いという話も聞く。日本とはずいぶん雇用形態や待遇も違うので、フリーランスのままでもなんというか「サラリーマン感」はある。たとえば、私を臨時雇いしてくれた毎日常勤しているスタッフもまた、その会社の正社員というわけではなく古株のフリーランスである、ということが平気で起こる。みんながみんな「うちの職場」という物言いで、同じ釜の飯ならぬ同じデリバリーのピザを食い、決められた時間、決められた給料で、名前の出ない仕事に従事する。LinkedInでは「会社員」ということになっているが、ポートフォリオサイトでは「アーティスト」と名乗っていたりもする。ちょっと暇になってきたらよそで職探しをして、条件がよければそちらへ移り、どうも二度とここへ帰ってくる気はないようだと察されたところで「転職」扱いとなる。社員になりたい! 職業安定したい! と吠えていた舌の根も乾かぬうちに、「定収入」にさえこだわらなければこれはこれで気楽でいいのかもな、とも思い始めた。

この揺れ動く心境、数年後に読み返したら、「日本人っぽいー!」とゲラゲラ笑うのかもしれない。どうなるかわからないけど、現状メモ。つい最近まで目標が「採用初日にクビにならないこと」だったのだが、どこへ行ってもさすがにそれはクリアするだろうという感じの今は、「評判を得て継続して仕事がもらえること」が目標で、その次は「ネイティブと同等の条件で働けること」になるだろうか。雇用形態が正社員か否かより、こうしたステップアップが着実にできるかどうかが問題という気もする。