うつくしい説明文

誤読。それは、考えただけで嬉しくなること。

【時計皿】は、もとは観察皿(watch dish)だった

うつくしい説明文/展開図

折り紙とその展開図
http://design.origami.free.fr/Diagrams/cp.htm

 わー。文章じゃないけどイイ。こういうのは文系の人ほど好きなんだと信じています。展開できない人ほど展開図に惹かれるものよ。組み立てられない人ほど組み立て図が好きなのよ。

 自分ひとりで入稿指定ができなかった頃は指定紙ほど綺麗なものはないと思っていた。ピアノが弾けるようになってからというもの、五線譜をモチーフに使ったデザインはすべてが野暮ったく思える。でも図形楽譜や舞踏譜は私にとって、変わらずに美しいもの。人間は、読み解けないものが好きなのよ。

 この創作折紙、折れるようになった頃には、展開図のことを「綺麗」だなんて思わなくなっているのだろう。ならばいつまでも私はこの創作折紙を折れないままで、展開図の美しさを愛でていよう……後ろ向きなこと、久世光彦の小説のごとき。でもきっと小川洋子だって博士の愛した数式は解けない。

 「ああ、そういうことだったのかの供給」(c)佐藤雅彦、と言いますか、意味がわかった途端にハッとする美しさを感じるものだってありますが、それはまた「美しさ」の意味が違いますからね。(なんか途中から入れ子構造みたいな文だな)

うつくしい説明文「バレエ」

この項目では、あるものが文章で説明されているということ、それ自体がうつくしい、と思える説明文を蒐集していきます。とてもきれいなものは、具体的な映像にされると、壊れてしまうのかも知れない。文学の一行や、漫画の1コマに流れる音楽たちにも似て。

(1)ルネッサンス期のバレエ

バレエはルネッサンス期のイタリアに起源を発する。当時、宮廷では余興として詩の朗読、演劇などが演じられていたが、その一部としてバロ(Ballo)と呼ばれるダンスが生まれた。宮廷の広間で貴族たちが歩きながら床に図形を描いていくもので、それをバルコニーから眺めるのが当時の楽しみ方であった。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%90%E3%83%AC%E3%82%A8

これを読むに、歩く軌跡で描かれる幾何学的な図形は、靴先にチョークなどつけて線が引かれるわけでもなければ、床にあらかじめ描かれた線をなぞるものでもない。おそらく、とてもゆっくりと歩むのであろう踊り手たちの、その舞踏が辿る、見えない図形を、見えないものを、バルコニーから「眺めて」楽しむ遊び。舞台装置は宮廷の広間の上に、舞台は脳の中にある。脳の中で、透明なフィルムに描かれた舞踏の軌跡を、舞台装置へそうっと重ねる。そのレイヤー上にある図形の、なんと、うつくしいことか。