ザ・インタビューズ転載日記(観る将)

見る将棋の魅力を教えてください。



こんなところで質問してないで梅田望夫さんの名著を読んでください。以上。

『シリコンバレーから将棋を観る』
http://amzn.to/lflErX
『どうして羽生さんだけが、そんなに強いんですか?』
http://amzn.to/qQEGQ4

え? ダメなの? これで答えにならないの? せっかく読むだけで「観る将棋」の魅力がわかる本を作って、一冊目は英語版が無料公開までされたというのに……信じられるか、全世界でじつに数十億近い人間が、まだこの二冊を読んでもいないんだぜ……あたしゃ徒労感でいっぱいだよ……。もしかすると「読んでみたけどわからなかった」と言う人からの質問かもしれませんが、だったら尚更、どうして私がそんな人の世話まで焼かなきゃいけないんでしょうか……。ともあれ、質問は質問なので、答えます。

「観る将棋の魅力」は、将棋というボードゲームが本来持つ魅力をベースに、それを超越したところにあると考えています。将棋を指せる人たちに向かって「将棋の魅力を教えてください」と訊くと「取った駒が持ち駒として使えるところですね」「この有限の盤上に無限の可能性があるのですよ」云々と言われるのですが、そんなもの指せなきゃわからないし、負けりゃつまらないだけですよね……。

たとえば、自分では将棋が指せない私にとって「将棋を観る」ことの最大の魅力は、「幼い子供の頃から特異能力だけを鍛え上げてきた、一流の中の超一流の頭脳を持つ、個性豊かな天才の中の天才たちが、世界に六十億もいる人間の頂点に立つたった一人の勝者を決める過程で、答えの出ない問題について本気で悩んでいるときの、その無防備な苦悶の表情を、眼鏡を、手指を、余すところなく観放題」であるところです。それなんて少年漫画、と言いたくなるような、そんな姿を毎日のように人前に晒して戦い続けているのが、プロの将棋指しなのです。

皆さんは「羽生善治」という人名を聞いて、公文式のCMでニコニコしている笑顔を思い浮かべますか、それとも一瞥で人を射殺せそうな鬼神のごとき形相を思い浮かべますか。私は彼が七冠王を達成した頃にテレビで何度もこの二つを見比べて、「いやー、すごいなぁ、後者をもっともっと観たいなぁ」と思って、指したくもない将棋の駒の動かし方を憶えるところから始めました。ご自分で将棋を指す人ほど、私のような不純な動機で将棋を観はじめる女子がいることを理解しづらいのかもしれませんが、たとえ将棋を指せようが指せまいが、我々ホモサピエンス全般にとって「人間が命をかけて真剣に何かを思考する姿」は、大いなる魅力に満ちあふれていると思います。

まずは一度、毎週日曜日の午前中に放送される「NHK杯テレビ将棋トーナメント」を観ることからおすすめします。あれが一番、手軽でしょう。画面が静的で、音もなく、騒がしい民放のテレビ番組を見慣れている方々にはかなりの苦痛だと思いますが、一度でいいので、ナガラ視聴ではなく、録画早送りでもなく、当日その時間に全部、一局通して最後まで観てみてください。誰か贔屓の棋士を作って、他の誰かではなく彼に勝ち進んでほしいと願うまでなったら、たぶん私の回答の意味がわかっていただけると思います。まぁぶっちゃけ、次の時間帯にやってる囲碁トーナメントでもいいです。いやマジで。なぜ「将棋を」観るのが面白いのか、という話は、その次の段階ですからね。私は将棋も好きですけど、別に「将棋こそが至高にして究極のゲーム!」とか思ってるわけではないので……。そういう回答が欲しかったら、アマチュア有段者の方などに訊くといいんじゃないでしょうか。

ところで最近、「観る将棋」の魅力は、それを「言葉にする」ことと切っても切り離せないんだな、とつくづく感じています。だって、将棋指し同士って基本的に将棋でしか会話しないんですよ……ほっとくとずーっと「あのときの△6四桂がさーwww」「そこで▲2三馬だろwwwすごいwww」とかゆってキャッキャ盛り上がってるだけで、「え、何、今の何が面白いんですか?」というのは、こちらが一つ一つ言葉で質問しないと、言葉に翻訳して返してくれないのです。将棋の魅力をゲームの盤から剥離させ、新たに「言葉にする」ことで味わいなおすことができるのは、彼らの世界において部外者にも等しい、我々「観る将棋ファン」の特権なんじゃないかとすら思う、今日この頃です。Twitter将棋クラスタをはじめ、この数年で「観る将棋ファン」の層はじつに厚く豊かなものになりました。彼らが思い思いに綴る「言葉」の輝きに惹かれて、新しく将棋に興味を持つ人たちが増えていったら、それは本当にすごいことだなと思います。

ザ・インタビューズ転載日記(趣味)

お忙しい中、多くの趣味を深く追求されていますが、ペース配分や時間配分のコツを教えてください



私が最も苦手とするものごと、それがご質問の「ペース配分」や「時間配分」です。とくに趣味の分野に関しては、「本当はもっともっと深く追求したいのに仕事が時間内に終わらず断念」といった事例が多く、毎夜、枕を涙で濡らしております。なので、まずこの問いかけに戸惑いをおぼえております。

一緒にライブなどへ行ったことのある人ならご存じの通り、私は好きなミュージシャンが壇上に登場しただけで演奏前から理性の箍がはずれて絶叫して気絶するタイプの人間です。そんな調子で暴れていたら体力が二時間半もたないじゃないか、などとは考えられない。その場その場を楽しむだけなので、何事にでも熱中しているように見えるのだと思います。たとえば、20代半ばの頃は月に何度も渋谷系クラブイベントへ足を運んでいました。フロアでの様子だけ見た他の客からは朝から晩まで渋谷系に漬かって全身全霊を渋谷系に捧げた毎日ボーダー着てる女だと思われていたでしょうが、翌日はしれっと友部正人のライブへ行ってたりしたわけで、何事に対しても、広く浅いのです。

最近Twitterではミュージカルの話ばかりしてドン引きされていますが、あれにも『レ・ミゼラブル』25周年という明確なきっかけがあります。十数年前に私を「ミュージカル鑑賞」という新たな趣味に引きずり込んだこの作品が見納めとなったので自分の中の引き出しを久しぶりに開けてみた、という感じ。「新しい趣味を作った」わけではありません。中学生のときハマッていたヴィジュアル系なんかもそう。そりゃ「LUNACY復活」なんて言われたら黒服ひっつかんで馳せ参じますけれども、普段それは引き出しの奥の奥にしまってあります。

見ず知らずの方たちとやりとりをしていて不安になるのは、「もしかして、私のことをものすごいオタクだと思っているんじゃないだろうか?」ということです。実際には全然そんなことないんですよ。「一度好きになったら嫌いにならない」というだけで、何十年間も一つのことをコアに追究し続けるタイプではないです。コレクター魂もないしね。たとえばAKB48にハマッたとしても、CDを何枚も買ったりはしないと思います。そうした節度が「ペース配分」ということですかね……え、いやレミゼのCDは、あれは全部キャスト違いだから何枚買ってもいいんだよ、日本公演のパンフレット複数冊買ったのも一部の舞台写真が違うからで……いや、ちょ、待(ry

そして、これは私の思い込みかもしれませんが、一般的に「趣味」というと「稽古事」みたいなものを指すのではないでしょうか? 今の私は、何かを練習して上達していく、という類の趣味はまったく持っていないので、そこはずっと引け目を感じています。もう少し時間の使い方が上手になったら、休日を利用して、スポーツとか、楽器演奏とか、工芸とか、舞踊とか、囲碁将棋とか、あるいは料理とか、誰かお教室の師匠に弟子入りしてみっちり段取りを習い、一定レベルに達して免状取って堂々と言えるような「趣味」が欲しいなと、ずっと思っています。そういう意味では、おそろしく無趣味ですよ私。だって、ただ消費財を消費しているだけじゃないですか。この程度のことなら、どんなに時間がなくたってできますよね。

第21期竜王戦が終わった。

うごメモはまだ触れないので感想保留。さあ仕事のふりタイムから本気で仕事しないタイム突入! 世紀の瞬間!… about 4 hours ago from tw.ah-huh.net

タイムラインだと流れていってしまうので、将棋クラスタの皆様の個別ページを別窓で開きました。タブずらり。なんというか、職場に居ながら「カウチポテト的な意味で」というフレーズが思い浮かんだ。… about 3 hours ago from web

うまく呼吸できなくなってきた。 about 2 hours ago from web

うああああ! about 1 hour ago from web

あああああああああああああーーーーーーー!!(94手目までの残り時間しか表示されてないのに107手目が!)… about 1 hour ago from web

この、10分前との駒台の状態の差よ。 about 1 hour ago from web

続) 90手台くらいに戻したら、そこから何が起きたのか全然わからなくなってしまった。 about 1 hour ago from web

@shogitygoo ありがとう、また見えています。自動更新30秒の長いこと長いこと。 about 1 hour ago from web in reply to shogitygoo

職場にて私が奇声を発するので残業組がいちいち覗いてくる。「勝ったの!?どっち!?」「まだだああああ!!」… about 1 hour ago from web

プロ棋士が発狂するのに、われわれがおかしくならずにおられようか!!! 43 minutes ago from web

将棋クラスタと、よそとの温度差が異常。異常!!発狂します!!!! 35 minutes ago from web

歴史が作られた瞬間を、見ました。この目で。ナマじゃないけど。リアルで。 30 minutes ago from web

ここで梅田さんの一言

歴史はまだまだ続いていく。 http://twitter.com/mochioumeda/status/1064677811

そう、歴史は続いていく。 28 minutes ago from web

わたし本当に将棋のこと全然わからないんですよ、何度も何度も何度でも書きますけど。でも、今なんか「年を取った」感じがした。10月のパリが遠い。この道は2009年に続いている。… 26 minutes ago from web

そう、言い忘れていた、渡辺竜王、防衛おめでとうございます。初代永世竜王、歴史に残る三連敗四連勝、本当におめでとうございます。早く次の羽生vs渡辺が見たい、 @shogitygoo の仰るとおり。歴史は続いていく。熱戦をありがとうございます。… 9 minutes ago from web

何をしていても放心状態です。
あと、佐藤棋王の発言があまりにもかっこよすぎるので貼る。
将棋界、なんなんだこれは、面白いよ、面白い。

佐藤棋王「この将棋は渡辺さんは負けを覚悟していたと思う。そこであきらめないで気持ちを切らさず指したことが羽生名人のミスを誘った。歴史に残る将棋でしたね。二転三転したと思いますが、並べているだけで両者の想いが伝わる。劇的な幕切れで、互いに実力、運、執念、気力などあらゆるすべてのものを取り入れた結果、渡辺さんが4勝3敗の僅差で防衛しましたね。おめでとうございます。すごい将棋、すごいシリーズでしたね。私もまた頑張りたいと思います」

清水女流王将「七番勝負を振り返っていかがでしたか」

佐藤棋王「渡辺さんが3連敗をしたときは別の心配をしていたが…、しかし、やはりすごいですね。ただ感嘆するよりないですね。すごいの一言以外に言葉が出てこないですね。普段、人の将棋で寝付けないというのはないが、今日は興奮して眠れないかもしれない

http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2008/12/post-335e.html

佐藤棋王の忘れられない言葉
「渡辺くんは強いです」(要出典、だけど昨年の竜王戦についてかな)が、
今日に繋がるように思う。

いてもたってもいられなかった。

しばらくこの「趣味のブログ」を書いている暇がないのは自業自得なのですが
ひとまず公開設定をパブリックに戻しておきます。過去ログ好きに読んでください。
なかなか再開できないと思いますが。執筆の時間が欲しいです。具体的にはポメラが欲しいです。

筆者に話しかけたい人はこちらへどうぞ。
http://www.twitter.com/okadaic/

先日、友人のWebサイトのBBSにこんなことを書きました。

常にアクティブで、友人にも見知らぬ他人にも好きに読んでもらえる、
ネット上の顕名の発言の集合体といえば、今の私にはtwitterログなのです。
「友人まで公開」とか「閲覧許可」とか読み手を限定するのは気持ち悪いし、
一方で「閉鎖中」「工事中」のサイトを「ホームページ」とは(私は)呼べない。

ようするに、「いつまでも気持ち悪いことを続けていたくない」という想いが、
「いま読んでもらっては困る」という想いを、はるかに上回ってしまったので
何度も閉鎖しているはてなダイアリーを、ここにふたたび、元の状態へ戻します。

ついでに近況報告をふたつほど。

(1)
10月、将棋の第21期竜王戦を観戦にパリへ行ってきました。
掛け値なしに「一生に一度の経験」でした。いずれ書く。

(2)
11月末、(なぜか)小室哲哉を語るイベントに出演します。
予約受付中。詳細はこちら→ http://www.loft-prj.co.jp/lofta/

佐藤康光さんの文体が好きなんだ。

 私は、たまに一般誌などに書かれる佐藤康光さんのエッセイの文章がすごく好きなのだ。と言って回っていたら、『将棋世界』バックナンバーの「我が将棋感覚は可笑しいのか?」と題した自戦記を(もちろん冒頭だけ)拝読する機会に恵まれた。この単発記事から同誌で自戦記の連載が始まり、その連載が一冊にまとまったものが『注釈 康光戦記』。

注釈 康光戦記 (最強将棋21)

注釈 康光戦記 (最強将棋21)

 もちろん私がすべて理解しているなどとは思わないように。そんなはずがありえない。囲碁将棋の本を棋譜のところスッ飛ばして読むのは保坂和志『羽生』の頃から大得意なので(そんなもの得意って言わねえ!)、例によってざざーっと読んでは佐藤さんの文体の味をかみしめた。

 そう、文体なんですよ。一気に読み、私が好きなのは佐藤さんがデアル調で書くときのテンポ、とくに「Aである。Bである。しまった、なんとこれではCではないか。」といった<短・短・長>のリズムによる言い回しが好きなんだなー、などと分析しました(少しでも指し手を分析しろ)。ところで、渡辺明五段についての言及。

(本文)
「若いときは一カ月単位で急激に強くなれる時期がある。★1」

(脚注)
★1 今回の見出しは佐藤さん自身がつけたんですよね。
佐藤 変えますか?
――このままでいいと思います。ご自身が一番伸びた時期は?
佐藤 やはり10代です。(後略)

 朝のアイスミロオレ噴きました。ご自分でつけたなら変えなくていいでしょうよ! なんだろう。これは談話部分だから「編集の妙」なのかもしれないけれど。そもそも冒頭の前書きからして「連載中は私の記事を誰も読んでてくれなかった」といった恨み言から始まる……。

 この独特の文章センスを単に「面白い」と言ったら失礼にあたるだろうか。ひとつ思ったのは「ブログ世代」の棋士には居ない文体かな? と。さまざまな若手棋士の文章をネットでたくさん目に留めるようになった。厳然とある<世代の線引き>のアチラ側で書かれた感じがあるから、逆にこの文体に惹かれるのかもしれないな、と。私の場合「中身」を読んでないので印象語りですけどね。